中国の大人、97%が携帯電話所有、スマホでも55%…新興国の携帯電話とインターネット普及の現状
中国では大人のほぼ全員が携帯電話所有
他人との意思疎通を容易にし、さらにスマホではインターネットへの本格的なアクセスの窓口としても使われる携帯電話。その普及の勢いは新興国にも及びつつある。最新状況を海外調査機関Pew Research Centerが2015年3月に発表した調査結果「Internet Seen as Positive Influence on Education but Negative on Morality in Emerging and Developing Nations」(33か国に渡り2014年3月~5月実施、18歳以上の男女対象に対面調査、有効回答数は各国1000~3000人)の公開データから確認していく。
次に示すのは調査対象国における携帯電話の所有率。「非保有」「従来型携帯電話所有」「スマートフォン所有」のいずれかを選択している。諸国の中央値としてはスマートフォンの所有率が24%、従来型携帯電話は60%、非保有者率は16%との結果になった。
携帯電話所有率の最大値を有する国は中国。スマートフォンだけで過半数、従来型で4割超え、非保有者は3%のみ。非保有者の同率はヨルダン、そして1%ポイント下がってロシアが続いているが、スマートフォンの所有率では中国がその3か国内では一番。ただしスマートフォン所有率に限れば、チリがさらにその上を行く58%の値を示している。
その中国やチリ、ヨルダンなどのように、携帯電話全体の普及率の半分前後にまでスマートフォンが浸透している国もあるが、大よそは携帯電話全体が浸透するのと共に、スマートフォンの普及比率も大きく上昇する傾向があるように見える。現在ではスマートフォンの廉価化が進んでいるため、新たに携帯電話を所有したいと考える人に、従来型携帯電話を選ぶメリットはさほど大きなものでは無くなりつつあるからだろう(利用料の安さやお手軽感など、見逃せない点は多々ある)。
スマホ、パソコンを問わずネットにアクセスできる人は!?
日本で普及したマルチメディア型携帯電話なら話は別だが、海外における従来型携帯電話は多分に本当の意味での「携帯できる」電話に過ぎず、ネットアクセス機能はほとんど有さない。一方、スマートフォンでは利用料金を気にしなければ、パソコンに近い形でのインターネットへのアクセスが可能になる。金銭面以外にインフラ面などでインターネットの利用を制限されていた人にとっては、スマートフォンは世界への扉を開く魔法のアイテムとなる。
そこで何らかの形(主にパソコン)で時折以上にインターネットを利用しているか、あるいはスマートフォンを所有している(=いつでもインターネットを利用できる状態にある)、いずれかの条件に合致する人の割合を示したのが次のグラフ。
新興国の平均値は44%。すでに4割以上の大人がインターネットにアクセスできる。アメリカ合衆国の値が一番高く87%を示しているが、それにチリやロシア、ベネズエラのような、スマートフォン所有率の高い国が続いている。スマートフォンの所有率上昇が、その国のインターネットへのアクセス率を底上げする好例といえる。中国も63%と高い値を呈している。
一方、新興国ですら、デジタルデバイスに関する世代間格差は生じている。
どの国も多かれ少なかれ、スマートフォンを所有しているかインターネットを利用している人の割合で、世代間格差が生じている。%ポイントの差ではタイが56%ポイント、レバノンが53%ポイント、比率ではインドネシアが4.1倍、ベトナムが3.3倍、タイが3.1倍もの差が生じている。
元資料では他のデータも開示されており、それによると世代間格差以外に教育水準の差、そして英語を知っているか否かによる差も生じている。これらの差が大きいと、それだけ情報の取得量に関する差が生まれ、生活のさまざまな面での格差を生み出すきっかけとなりうる。この差は先進諸国でも問題視されているが、今後新興国においても小さからぬ問題として物議をかもすことになるだろう。
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