子供達の本離れは本当なのか?
高校生は過半数が「本はほとんど読まない」
以前はテレビの影響で、昨今ではデジタルメディアの普及に伴い、子供達の間で本離れが進んでいるとの話をよく見聞きする。本当に子供達は紙媒体の本を読まなくなりつつあるのだろうか。少年教育振興機構が2014年6月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書の各種公開データから確認していく。
次に示すのは調査対象母集団(小学校は1年から6年まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校。回答数は子供が1万7900件など)に対し、普段月に何冊ぐらいの本を読むかを尋ねた結果。「本」には漫画や雑誌は含まれず、さらには純粋に紙媒体のものを意味していると判断する。
小学4年生では2割強が一か月に10冊以上も本を読む。逆にほとんど読まない人は1割強でしかない。これが小学6年生になると10冊以上が1割強に減り、読まない人は2割に増加。そして高校2年生では6冊以上ですら7%に留まり、読まない人は過半数に達してしまう。学年が上になるほど読まない人は増え、読む人でも冊数を減らしていく。特に高校生における本離れは著しい。
この状況に関して概算平均を算出したのが次のグラフ。一様に高学年ほど閲読冊数が減るようすが分かる。
本自身の中身、分量は対象学年によって異なることが多々ある。小学4年生の1冊と高校2年生の1冊が、そのままイコールでは無い。一方で、手に取る機会、気概がどれだけあるのかとの観点では、冊数の違いは参考になる。また間接的には最初のグラフ中の「ほとんど読まない」の回答率も概算平均冊数には反映されるため、学年が上になるほど本から距離を置くようになるとの考えは間違いではない。
子供の本離れは起きているのか
気になるのは昔と比べた今の読書傾向。子供達の本離れが進んでいるのなら、平均閲読冊数も減っているはず。
意外なことに今件調査では、子供達の間には本離れどころか本に近づく傾向が確認されている。わずかずつだが確実に、多くの冊数を読む人の割合は増え、ほとんど読まない人やあまり読まない人の割合は減っている。平均冊数も明らかに増加を示している。本離れは起きていないと見た方がよさそうだ。
未成年者、特に高校生へのスマートフォンの普及が加速化するのは2013年以降。まだ本を読む冊数の減少傾向は数字に表れていないのかもしれない。子供の本離れは進んでいるのか否か、次年度分の動向で、より確かな状況が確認できよう。
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