子供達の虫歯最新事情を探る
自然治癒することの無い、そして子供の時には痛い思いをしながら治療した経験を持つ人も多いであろう「虫歯」。今の子供達はどの程度虫歯を有しているのだろうか。文部科学省が2015年1月付で発表した2014年度版「学校保健統計調査」の速報値から、現状を確認していく。
まずは学校別の対象者動向。「処置完了者」は虫歯を持っていたがすでに治療が終了した人。「未処理歯有の者」は今だ治療していない、あるいは治療中の虫歯がある人を指す。例えば幼稚園児では全体の15.68%が「虫歯だった(が今は虫歯を持っていない)」、22.78%は「現在虫歯持ち」となる。
グラフからも分かる通り、中学校で一度虫歯率が減少する。理由としては「乳歯が永久歯に入れ替わる過程で、虫歯・処置完了の歯諸共抜けてしまった」が考えられる。実際、「学校保健統計調査」の報告書内でもその可能性を示唆している。
これを年齢別に細分化すると、その実情が良くわかる。
10歳-12歳までは虫歯率が明らかに減少する。これは乳歯から永久歯に入れ替わる過程で、虫歯まで一緒に抜けてしまうのが主要因。しかしせっかく歯の入れ替えで下がった虫歯率も、17歳までにはほぼ元に戻る。そして一度生えた永久歯は「虫歯だから」との理由だけで抜くのははばかられる。無論治療の最終手段として「抜く」選択肢は存在しうるが、永久歯の生え代わりは無い。
男女別で見ると、小学生までは男性の方が虫歯率が高いが、中学生以降はむしろ女性の方が高くなる。中学生以降は男性より女性の方が心身共に成長が早いことで知られているが、それが要因なのだろう(つまり「乳歯から永久歯への生え変わりに合わせ、虫歯ごと抜いてしまう」が早めに行われてしまう)。あるいは食生活上で甘いモノ好きの特性が中学生以降、女子に顕著に表れるのかもしれないが、今データからだけではその判断は不可能。
高いように見える虫歯率だが、実はこれでも以前と比べれば随分と低い値。かつて幼稚園児では9割超の値を見せる年もあったほど。これについては機会を改めて、その流れを追っていくことにしよう。
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