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アメリカの喫煙状況の今を探る

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日本の喫煙率と比べると低そうなイメージはあるのだが……

米成人喫煙率は19.0%

日本以上に喫煙者への風当たりが強いとのイメージがあるアメリカ。日本ではJTの最新調査結果によれば19.7%との値の喫煙率について、アメリカの状況を同国の医療関係における公的機関CDC(Centers for Disease Control and Prevention:米疾病予防管理センター)の公開データから確認していく。

まずは純粋な「現在喫煙率」。全体では19.0%という値が出ている。前年分2012年では19.6%との値が出ており、それから0.6%ポイント減少している。

↑ 現在喫煙率(米、18歳以上、2013年、CDC・BRFSS)
↑ 現在喫煙率(米、18歳以上、2013年、CDC・BRFSS)

男女別では男性が女性よりも喫煙率が高い。興味深いのは他の属性別傾向で、「若年層」「低年収」「低学歴」ほど喫煙率が高い傾向を示している。

「若年層」は若気の至りや健康に対する意識がまだ薄いのが、高めの値を示す要因。「高年収」「高学歴」で喫煙率が低いのは、喫煙が社会的に敬遠されていることに起因するもの。あるいは年収や学歴が上がり、生活環境が向上すると、たばこ以外の娯楽を選択できる結果かもしれない。弊害を考慮しなければ、たばこはもっとも安易で安価な娯楽であるからだ。

また経年別で見ると、日本同様喫煙率は減少傾向にある。

↑ 喫煙率推移(米、18歳以上、CDC・BRFSS)(世代別)
↑ 喫煙率推移(米、18歳以上、CDC・BRFSS)(世代別)

前世紀末期から喫煙率では最上位となった18-24歳層だが、2003年から2004年以降は急激に値を落としている。一方で25歳から34歳層をはじめ他の階層の減少率は緩やかで、2007年には両者の喫煙率はほぼ同じ値となる。「若年層のたばこ離れ」というところか。2011年の計測様式の変更後も、18歳から24歳層の喫煙率は落ちたままで、25歳から34歳層が最上位を維持している。

他方高齢層、具体的には55歳以上は喫煙率の減退ぶりは穏やかなまま。このままの状況が続くとあと数年で55歳から64歳世代の喫煙率が、それより若い世代よりも上になる状況が生じる可能性はある。

喫煙への姿勢をより細かく

喫煙動向に関してより少し詳しく見たのが次のグラフ。喫煙しているのならどの程度なのか、喫煙していないのなら「経験無し」か「以前吸っていた」かを答えてもらったもの。非喫煙者のうち大体1/3程度は「昔は吸っていたが、今は禁煙している」状態。

↑ 喫煙動向(米、18歳以上、2013年、CDC・BRFSS)
↑ 喫煙動向(米、18歳以上、2013年、CDC・BRFSS)

女性は元々たばこを吸わない人が多い一方、男性は禁煙状態の人が多め。また高齢者ほど「昔は吸っていたが今は吸わない」人が増え、歳を経るに連れてたばこを止めていく。

興味深いのは学歴の部分で、禁煙している人の比率にさほど違いは無い。純粋に「今吸っている人」と「一度も吸ったことが無い人」との違いが、学歴上の差異に現れている。

なお、喫煙が法令で許される年齢だが、日本では20歳以上なのはご承知の通り。一方アメリカでは18歳以上となっている。2年ほど「大人」の概念が異なる点に注意してほしい。

■関連記事:

2014年の全体喫煙率19.7%、はじめて2割を切る(JT発表)

米喫煙者は非喫煙者ほど「間接喫煙」のことを気にしない

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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