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それでもやはり新聞一番テレビが二番、メディア信頼度

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ テレビや雑誌、インターネットよりも新聞への信頼度は高い

信頼度は新聞が一番、テレビが接戦、ネット・雑誌はあてにならない

信頼性の実態としてはメディアを用いる企業団体をはじめとした情報発信元に寄るところが大きいのだが、メディア単位の信頼度が、情報内容の真偽を見極める時に参照されることは少なくない。そこでメディア単位の信頼度に関して、総務省が2014年4月に発表した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値から、その実情を探ることにする。

該当項目では主要メディア、具体的にはテレビ、新聞、インターネット、雑誌を選択肢として挙げ、それぞれのメディア全体の信頼度について「信頼している」「やや信頼している」「あまり信頼していない」「信頼していない」の4段階評価で判断をうながしている。そしてそのうちポジティブな「信頼している」「やや信頼している」の値を足した結果が次のグラフ。全体では新聞への信頼度がもっとも高く71.3%、テレビが65.7%と続いている。

↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」)(2013年)
↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」)(2013年)

歳を経ると新聞とテレビ、特に新聞の値が上昇し、インターネットが下がる。またインターネットと雑誌は10代で特に高いなどの特徴をのぞけば、世代間の格差はさほど見られない。10代ではテレビと新聞の順位が入れ替わっているが、これは利用頻度によるものと考えられる。いずれにせよテレビと新聞の2大従来メディアにおける、信頼性という観点での権威は今なお健在のようだ。

一方、インターネットへの信頼度が低いのが目に留まるが、この理由は2つ。1つはインターネットそのものを利用していない層が一定数居るから。利用している・していないで大きな差異が生じている。

↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」)(2013年)(ネット利用形態別)
↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」)(2013年)(ネット利用形態別)

利用者と非利用者との間ではこれほどまでの大きな差異が確認できる。

また、昨年発表の同様項目の詳細値(今回年分はまだ未公表)を確認する限り、インターネットの信頼度の詳細に関して、ニュースサイトはそれなりに高いものの、ソーシャルメディアとブログで信頼性が低く、これがインターネット全体の値を大きく下げている。全体では高めのテレビや新聞同様、インターネットでも対象となる場所により、信頼度は大きく異なると見て良い。

つまるところ、新聞もテレビもネットも単なる情報伝達手段に過ぎない、結局は各発信元単位の信頼性の問題と考えれば、道理は通る。新聞やテレビはそれに加えて、これまでの時間的蓄積がアドバンテージとして存在するのが高値の一因だろう。

1年間でどこまで信頼度は変わったか

次に示すのは前年分となる2012年分同様調査の結果、そして今件2013年分を比較し、その変化を算出したもの。

↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」)(2012年から2013年への変移)
↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」)(2012年から2013年への変移)
↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」)(2012年から2013年への変移)(ネット利用形態別)
↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」)(2012年から2013年への変移)(ネット利用形態別)

世代別ではテレビと新聞の信頼度が上昇、インターネットも上昇しているが微々たるもの。一方、雑誌は多くの世代で減少しており、全体値でも信頼度が損なわれている。

インターネットの利用状況別では、インターネット利用者においてテレビや新聞の信頼度上昇幅が大きく、非利用者ではインターネットや雑誌への信頼度が大きく落ちている。ネット非利用者のメディアへの不信感が一層強まった雰囲気ではある。

繰り返しになるが、各メディア全体の信頼度は、そのメディアの歴史と共に、利用している各企業団体の信頼性に担保される。とりわけインターネットの信頼度の低さは、その内部区分にあるソーシャルメディアとブログの信頼度によるところが大きい。恐らく前年分2012年分との大きな違いはないはずだが、7月の詳細値発表の際には、新聞やテレビも合わせ、もう少し詳しい状況精査を行うことにしよう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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