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日本はどうかな? 国毎に大きく異なるニュースやゴシップの取得元

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ニュースの取得元を介して世界が見えてくる?

テレビはニュースにも強し

技術の進歩でインターネットをはじめ新しい情報取得源が登場し、また既存のメディアも進歩を遂げ、人がニュースを知る媒体も増え、ハードルは下がっていく。それではニュースを知るための手段として、どのような媒体・メディアがよく使われているだろうか。イギリスの情報通信省が2013年12月に発表した通信白書「International Communications Market Report 2013」から探りを入れていく。

次のグラフは主要国において、調査時点から過去一週間に、テレビ・ラジオ・紙媒体・オンラインのうち少なくともいずれか1つのメディアを介してニュースを見聞きした人を対象にしている。その人たちに「自分はこのメディアでニュースを見聞きすることが一番多い」対象を選んでもらった結果。

↑ メインとなる種類のニュースを取得する際にもっとも重要な媒体は?(過去一週間に例示媒体経由でニュースを取得した人限定)(2013年1-2月)
↑ メインとなる種類のニュースを取得する際にもっとも重要な媒体は?(過去一週間に例示媒体経由でニュースを取得した人限定)(2013年1-2月)

多数の国では「テレビ」を一番に挙げている。フランスやドイツでは他の3媒体を圧倒的に引き離している。他方イギリスやアメリカでも「テレビ」の回答率は高いが、「オンライン」がかなり競った状態。

「紙」(実質的には「新聞」)は意外、あるいは当然の結果として日本が最上位。ニュース取得者の20%は「新聞でニュースを見聞きすることがもっとも多い」と回答している。その他の国々はドイツが18%とやや高めで、大体1割前後に留まっている。そのドイツは「ラジオ」の値も高く、ニュースの取得構造が分散していることが分かる。

イタリア、日本、スペインの3か国は「テレビ」以上に「オンライン」の回答率が高い。特にスペインでは両メディア間に8%ポイントもの大きな差が出ているのが特徴的。同国は「テレビ」への回答率も一番低く、ニュース確認用のメディアとしてのテレビの有益性の低さが、少なからぬ人をネットに走らせているようだ。

ゴシップは多種多様

一般的なニュースでは無く、有名人の話や、ゴシップネタではどうだろうか。こちらは対象となるニュースを見聞きした限定では無く、調査対象母集団全体を対象にした結果。また対象媒体も多いため、上記グラフとは項目の仕切り方を変えている。

↑ 有名人のニュースやゴシップを知りたい時には主にどのメディアを使うか(択一、2013年9月)
↑ 有名人のニュースやゴシップを知りたい時には主にどのメディアを使うか(択一、2013年9月)

全体的には「テレビ」と「インターネット」が多め、「新聞・雑誌」がそれに続き、「他人からの口コミ」「ラジオ」の順。そして4割前後の人は「興味は無い」と答えている。

もっとも「テレビ」と「インターネット」との間には、国により大きな順位の違いがある。ドイツとスペインは「テレビ」を重要視、それ以外の国では「インターネット」を重視している。特にイギリスでは「インターネット」の利用率はテレビと比べて17%ポイントも高い。

ゴシップ系の話はイメージ的には「雑誌・新聞」が強そうだが、メインとして使う分には力不足のようで、各国とも値は低い。せいぜい1割が関の山で、日本は4%しかいない。

「他人から」という口コミ系の項目は1割前後。「ラジオ」よりは高いが、「新聞・雑誌」よりは低い。日本では3%と、「ラジオ」「新聞・雑誌」同様に諸外国中最も低い値を示している。さらに日本は「興味なし」の項目も最多回答数を示していることから、「芸能系、ゴシップ系の話にあまり興味は無く、ある人もテレビとネットに集中している」ことが分かる。

アメリカの大手調査機関Pew Research社による同国内調査などをかえりみると、アメリカではすでにニュース取得用媒体として「インターネット」が「テレビ」を追い抜いている感はある。しかし今調査に限れば「まだテレビが優勢」。もっともさらに差が縮まり、立場が逆転するのも時間の問題だろう。むしろフランスやドイツのような、テレビの圧倒的な優性感の国が結構存在しているのが驚き。そしてゴシップなどのエンタメ系では、すでに「インターネット」の優位性が果たされている。

グラフの形状を見る限り、今後は今まで以上に「テレビ」と「ネット」のせめぎ合いが続き、「ラジオ」と「新聞・雑誌」は脇に追いやられる雰囲気が強い。一方で日本におけるニュース入手における「新聞」のウエイトの高さのように、歴史的な背景やメディア事情から、引き続き一定の重要度を維持する事例も多々あることだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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