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サラリーマンのこづかい防衛作戦発動、対象は昼食代・水筒持参せよ! そして切り札は…

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ お財布の中身は常に寂しいサラリーマンのこづかい事情

40代の切迫感…足りなければまず削る。その対象は昼食代

「サラリーマンのこづかい」という身近で、しかしながら調査対象と成りにくい項目について、長年定期的に調査を行っている新生銀行の「サラリーマンのおこづかい調査」。今回はその中から、昨今のサラリーマンにおけるこづかい防衛作戦と、その作戦ですら果たせなかった場合の切り札について確認をしていく。

今調査によると2013年時点でのサラリーマンのこづかいは平均で約3万8500円。前年から1000円強のダウンとなっている。理想とするこづかい額と比べると、2万円以上の差があり、当然不足感を覚えることとなる。

それではどのような工夫・節約による「こづかい防衛」を遂行しているのだろうか。上位項目について世代別に区分し、グラフ化したのが次の図。

↑ こづかい面における自衛策(対処する項目、一部、世代別)(2013年)
↑ こづかい面における自衛策(対処する項目、一部、世代別)(2013年)

全体、さらには各世代でも「昼食代(を削る)」が2割強で最大値を示す結果となった。具体的には外食を止めたり、大盛りから普通盛り、サラダ追加を無しにするなどのグレードを下げる、弁当ならば食後のデザートやドリンクの購入を無しにするといった具合だろうか。あるいは持参弁当に切り替えるのも一つの施策。

良く見ると「昼食代」では40代がもっとも値が高く3割近くとなっている。この世代はこづかい額自身も全世代においては最低値を示している。次の「水筒持参」でも40代は最上位値にあり、切迫感が実体化している。

続く回答は「水筒持参」。購入弁当・持参弁当では欠かせない飲み物を、別途購入するのではなく、持参の水筒で間に合わせる切り口。社内でお茶が出る環境ならば良いが、そうでないところも多い。飲み物なしでの食事は辛いものがある。

他方「(お酒を)飲む回数(を減らす)」「タクシー乗車(回数を減らす)」は各世代中50代がもっとも高い値を示している。付き合いによる飲みや、その後帰宅が遅く公共交通機関が使えない時のタクシー利用を減らすことで、出費削減を推し量っている。両項目がほぼ同じ動きをしているのも納得がいく。それより若い世代は、元々の利用機会が少なく、節約のしようがないものと考えられる。

削ってもまだ足りない。その時はどうする?

節約しただけではこづかいの不足が追いつかない場合もある。その時はどのような手段でねん出するのか。今調査対象母集団(サラリーマン諸氏)でもっとも多数の意見として挙げられたのは「使わずに我慢」だった。全体で2/3を超えている。

↑  こづかい不足の際のねん出方法(複数回答)(2013年)
↑ こづかい不足の際のねん出方法(複数回答)(2013年)

次いで多いのは「預貯金の取り崩し」「家計からねん出」。不足理由にも寄るが、一時的な出費、突発事項による不足の場合ならば、それも仕方あるまい。一時的補完の手段として「クレカ利用」で、高世代、特にこづかい額が一番少ない40代が高い値を示しているのが気になる。首が回らない、追い詰められるような状態に陥らなければ良いのだが。

このねん出方法につき、経年変化を見ると、他の資金・資産からの切り崩し事例が年々減少し、「使わずに我慢」する事例が増えているのが分かる。

↑ こづかい不足の際のねん出方法(サラリーマン、上位5位変移、複数回答)
↑ こづかい不足の際のねん出方法(サラリーマン、上位5位変移、複数回答)

「我慢」が大きな上昇を始めた2011年は、こづかい額がダイナミックに減少した2010年の翌年に当たる(2009年から2010年にあたり、平均で5000円も減少している)。こづかい実額の大削減を受けて、サラリーマンの心境に大きな変化が生じたことを示している。具体的には「やりくりしてもどうにかなる額ではないので、あきらめよう」というところだろう。

少なくともこづかいの面では、サラリーマンは「ガマンリーマン」となりつつあるのかもしれない。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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