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世界規模でスマートフォンが普通の携帯電話以上に売れ始めた現実

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日本ではスマートフォンばかりが店頭に並ぶ携帯電話市場だが、世界でも…

四半期単位の販売数ではじめてスマートフォンが過半数に達する

ガートナー社では四半期単位で世界全体の携帯電話販売動向(その時点での利用台数では無い)を公開している。スマートフォンの普及に連れて、その販売シェアも拡大しているが、先日発表された2013年第2四半期(Q2)分で、はじめてシェアが50%を超えた。つまり同四半期において世界中で販売された携帯電話全体のうち、半分以上がスマートフォンということになる。

↑ 全世界における携帯電話「販売」台数シェア(各四半期毎)
↑ 全世界における携帯電話「販売」台数シェア(各四半期毎)

これはもちろんスマートフォンが販売され始めてから、初めての話。日本の実情からは「一般携帯が未だに半分近くも売れている?」と驚く人もいるかもしれないが、新興国を中心にまだまだ一般携帯電話の需要は大きい。とはいえ、それらの国でも確実に「一般携帯電話からスマートフォンへ」という、所有者の機種変換、新規購入者の初期購入機種選別の上での、トレンド変換は起きつつある。今リリースでも「アジア・太平洋地域の74.1%の伸びをはじめ、ラテンアメリカ、東ヨーロッパ諸国におけるスマートフォンの販売台数増加率は著しく、これらの増加が全体数を押し上げる形となった」と、新興国での伸びが著しいと説明している。

安価な端末がスマートフォン普及を加速化する

次に示すのは、そのスマートフォンの販売台数における、OS別シェア動向。

↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数(OS別)(万台)
↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数(OS別)(万台)
↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数シェア(OS別)
↑ 全世界におけるスマートフォン「販売」台数シェア(OS別)

ブランド力で安定のセールスを示すiPhoneシリーズが一定の値を維持する一方、Android端末が加速度的に台数を伸ばしているのが分かる。これは多分に安価の、例えば100ドル未満で気軽に手に入る機種のセールスが底上げしている。そして、その多くは上記に挙げた新興国で受け入れられている。

これまでは新興国では「携帯電話=一般携帯電話」だった。初期投資・ランニングコストの高さや、国レベルでのインフラの未整備などの環境が、スマートフォン普及に対するハードルとなっていた。ところが新興国でもIT化を国策事業として次々に推し進め、スマートフォンが単なるモバイル端末としてだけでなく「気軽なインターネットへの窓口」として大いに注目を集めるようになった。さらに安価なAndroidが次々と登場し、手が届きやすい端末となりつつある。

現時点で(一人で複数契約の事例もあるが)、携帯電話全体(一般携帯電話とスマートフォンの合計)の契約数の上位国は中国とインド。それらの国々でも、少しずつ、そして確実に一般携帯からスマートフォンへのシフトが起きている。

↑ 2012年時点の携帯電話契約者数上位国(※一人で複数契約の事例あり)(万人)
↑ 2012年時点の携帯電話契約者数上位国(※一人で複数契約の事例あり)(万人)

新興国が先進諸国のように、スマートフォンの飽和状態になるまでには、まだ相当な時間と台数が必要になる。それまでの間はスマートフォンの販売台数シェアはさらに伸びていく。世界の携帯電話市場は大きく変化し続け、それと共にスマートフォンを有する人たちによるインターネット界隈そのものもまた、変貌を続けていくに違いない。

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中国11億人・インド8.6億人…世界の携帯電話契約者数上位国をグラフ化してみる(2013年)

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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