東京2020オリンピックに続き、8月24日から東京2020パラリンピックが開催中ですが、そのパラリンピックの開会式前に行われた航空自衛隊のアクロバットチームであるブルーインパルスの飛行展示の後に起きた行動が波紋を呼んでいます。

 航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」が、8月24日に都内で東京2020パラリンピック競技大会開会日の展示飛行後、帰投した入間基地周辺に駐車してあった複数の一般車両にカラースモークが付着したトラブルで、9機飛行していたT-4練習機のうち、予備機3機の中の数機が着陸前までスモークを使用していたことがわかった。空自は担当者を現地へ派遣し、詳しい状況や原因などを調査している。

Aviation Wire「ブルーインパルスのスモーク付着、予備機が着陸前まで噴出」

 パラリンピック開会式前、東京上空でパラリンピックのシンボルマークである「スリー・アギトス」と同じ、赤・青・緑の3色を用いたカラースモークを用いた展示飛行が行われました。この飛行からの入間基地に帰投する際、基地周辺で低高度でカラースモークを使用したことが原因で、数百台の車に染料が付着したと報じられています。次のNHKの動画からは、着陸直前のかなり低い高度でカラースモークを使用していたことがわかります。

20年以上使用されていなかったカラースモーク

 1964年に行われた東京オリンピックの開会式では、ブルーインパルスによって空に5色の五輪マークがカラースモークによって描かれました。1998年の長野冬季オリンピックでも開会式で5色のラインを描いていたことは、覚えている方も多いかもしれません。

 しかし、ブルーインパルスのカラースモーク使用については、地上へ降りた染料による着色問題があったことから1999年から20年近く使用が停止され、白色のスモークのみが使用されてきました。

6年以上に渡るカラースモーク再開の努力

 そのため、今回の東京オリンピック・パラリンピックで使えるよう、防衛省では平成25年度から30年度までの間に2億3100万円を投じ(※1)、『飛行展示におけるカラースモーク再開に向けた調査研究』を行っています。この研究では地上に影響が出ないよう染料の粒子を従来の半分以下の25マイクロメートル以下にし(※2)、また環境負荷も少なくしたカラースモークをメーカーと開発。2019年9月には空中で試験も行い、定められた高度で使用した場合、地上への影響がないことも確認されました。

 また、20年以上もカラースモークを使ってこなかったことから、カラースモークを知る隊員も少なくなっており、その運用にあたっては手探りで進められていました。

 こうした努力の末、2020年3月には松島基地で行われた聖火の到着式典では、ブルーインパルスによるカラースモークを使った飛行展示が実際に行われ、今年のオリンピック開会式前、そしてパラリンピック開会式前でもカラースモークを使った飛行展示が行われましたが、いずれも飛行展示そのものでの地上への影響は確認されていません。

不適正使用の防止を

 しかし、パラリンピックでの飛行展示からの帰投において、適正な使用を行わなかったために、地上に影響を及ぼしてしまったことは、これまで費やしてきた各方面の努力を無に帰すもので、最後の最後の瞬間に大変残念なことになったと言わざるを得ません。

 しかし、今回の展示飛行では適正に使用した場合、改良されたカラースモークは問題を起こさないことが確認されたので、今後はなぜこのような不適正使用が起きてしまったかを明らかにし、再発防止のための取組が求められます。

出典

※1:会計検査院「別図表1 各府省等が実施する大会の関連施策に係る事業別の支出額一覧(平成25年度~30年度)」

※2:時事通信社「5色の五輪再現へ カラースモーク試験」