こちらの記事は「「一番つらい決断」を経て、コミケはどうやって開催されたか。」記事中のインタビューの中で、記事の都合上掲載できなかった部分について、今後のコミックマーケットに関する質問・回答をまとめたものになります。構成上、前記記事の内容と重複する部分もあること、文字数制限の関係上圧縮した文章といった点はご了承ください。

C99で導入された新施策の今後

──C99はいろいろ新機軸が出て、先行して入場できるアーリーチケットも導入されましたね。これは感染症対策とはちょっと考えにくいなと思ったのですが、これは今後コロナが収まった後も続く施策になるという理解でいいですか。

市川 これも実はコロナ対策で、来る時間をまばらにしたいからです。同じ時間にたくさんの人が集中すると密になりますね。今回、アーリーじゃないチケットもAからFまで時間が分かれてますよね。少し間を取ることによって密を避けよう。よくやられている企業のコアタイムをずらしましょうみたいなのを、われわれも導入していこう。早く入れるんであれば、そこは他のイベントもやっているので、われわれも導入していこうと入ってきたのがアーリーチケットですね。だから、そもそもアーリーチケットやろうではなく、時間をまばらにするためのアーリーチケットなんですよね。

──今後コロナ禍が収まった後、アーリーチケットはなくなる可能性もあるのでしょうか?

市川 そこも考えようと思っていて、今回アーリーチケットのおかげかもしれないことで、徹夜組がかなり減って、始発ラッシュもほぼいなかった。これはやっぱりいいことなんですよね。これだけ徹夜が少なかったコミケットって、もう初めから何回目ぐらいまでだろうぐらいな状態になっていますんで、これは続けていってもいいんじゃないかとか、これから考えなきゃいけないんですけども、どういうふうに続けていくかは考えていこうかなとは思っています。

──逆に今回導入された施策の中で、今後も続くと思われるものはありますか。

市川 そうですね。見本誌の提出もそうだし、先ほど言ったアーリーチケットも、一般入場チケットも全部戻るかどうかもあるんですが、カタログをいつからしっかり作っていけるんだろうとか。つまり、またいつものようにたくさん作って、余らしたらそれはそれで大変なこと起きる。また中止になる可能性だってゼロじゃないって考えたら、カタログだって新しい方式を考えなきゃいけない。そうすると、われわれの収益構造が変わってきますので、C96~97で導入しましたリストバンドを今回もやってるわけですけども、一般からも少しずつお金を取ってカタログの全員購入をだんだん抑えていって、収益構造変えていくって方向もなくはないと考えたりとか、いろんなことを考えていく必要があると思っています。

 まだ1回しかやってないので、どう残すという選択はこれから考えながら、さらに新しいことを考えなきゃいけないし、どれをやめるっていうのも1回じゃ決められないので、2、3回やってみて、じゃあこうしましょうかという形で決まると思うんですよね。

今後のエアコミケ

──先ほどエアコミケの話が出ましたが、中止したC98の代わりにエアコミケを行う構想が出たのはいつぐらいだったんでしょうか。

市川 4月の頭ぐらいですかね。コミケ中止を3月27日に発表して、その後に僕の方でいろんなとこに声掛けて、うちもこのままだと中止だし、いろんなところが駄目になってしまうと考えたんですよ。意見出し合って、何かやらないとということで、「がんばろう同人」っていう仲間内で話をしていったんですね。その中で、ニコニコさんがネットで何か流そうかとか言ってくれたので、それを4月の頭ぐらいにスタッフにその話を持ち帰ったら、じゃあエアコミケしかないかって話になって、4月の11日ぐらいにエアコミケって話が進んでいきました。

 スタッフの方も頑張ってくれたし、ニコニコで中止だったっていうのを放送とかしてもらったりとか、あと当日、他の即売会さんの主催者も交えてZoomで話し合いをしたとかもやりましたので、結構皆さん協力してくれたのでよかったなと思います。

──オンラインイベントは、コロナ禍が収まった後は縮小していくんでしょうか。

市川 エアコミケに関しては、どうしようかって今みんなで悩んでるところもありまして……。悩むというか、どうやろうかとかも考えてるわけですね。このままやめてしまうのも1つなんですけども、ここまでやったんだから何か当日連動できる企画にもっていけないだろうか。C96ぐらいから、当日のTwitterを結構活発にやってるんですけど、それと同じように、一緒に連動して何かしてくことできないかっていうのは、模索してる途中であります。

──じゃあ、コロナ禍が収まった後は、リアルとの相乗効果を狙った形になるんでしょうか。

市川 そうですね。それとあと来れない人とか……。コロナ禍が終わったとしても来れない人って、何かのタイミングで仕事で来れないとか、何かあったと思うんですよね。そうする人のために何か拾えるものになったりすればいいな。相乗効果狙えれば、もっとうれしいし。もっと広げていくことに使いたいな。

折衝、そして同人誌の監督官庁が決まる

──いろんな関係各所と折衝を行われたということですが、一番折衝を行った機関はどちらになりましたか。

市川 内閣官房コロナ室(編注:新型コロナウイルス感染症対策推進室、現・新型コロナウイルス等感染症対策推進室)です。今回、ワクチン・検査パッケージでいうと、内閣官房コロナ室の技術実証っていう枠組みに乗ってやっているので、それはJリーグさんとか野球と同じなんですけども、そういった内閣官房コロナ室のご担当者の方とは密接にさせていただきました。

──内閣官房コロナ室の次に折衝されたのはどちらですか。

市川 東京都。あと文化庁さんですね。これもコロナ禍でいろいろあって、同人誌即売会ってどの省庁が面倒見るのって話がそもそもあったわけです。文化庁なのか経済産業省なのかと。展示会産業っていうと経済産業省なんですよ。でも、同人誌即売会は展示会産業と違うじゃないですか。もともと経済産業省には、コンテンツ産業課や旧・メディアコンテンツ課があったんですが、文化庁は文化庁でやっててみたいな話があるので、どっちが面倒見るかとなったら、漫画、アニメ、ゲーム産業については経済産業省、そうじゃないのは文化庁みたいな割り振りになっているんです。

 色んなお話の末に、われわれの知らないところで結局文化庁が引き取る話に最終的になっているので、文化庁さんがカウンターパートです。ですから、今はDOJIN JAPANで同人誌即売会業界の感染症ガイドラインを出してるわけですけども、あれの出し先も文化庁さんからコロナ室さんに行くことになっています。

──文化庁というと、チケット控除も文化庁ですね。それも関係があったんですか。

市川 直接はないですね。それでいろいろなことにあたり、様々な関係の方々、特に山田太郎先生とか、藤末健三先生とか、鈴木晶雅先生とか。国会議員の方にはいろいろお世話になりましたし、東京都では自民党の鈴木晶雅都議にもお世話になりました。あと、かつて都民ファーストの都議だった栗下善行さんにもお世話になりましたし、その4人にはほんとにTwitterでも名前を挙げて謝辞を出すぐらいにはお世話になっている感じです。われわれそんなこと、あんまりしないんですけど。本当にこの2年間お世話になったので、ここはお礼言っとかないとなぐらいのレベルではお世話になりました。やれる状態まで持ってくために、ほんとに力を貸してくれたのがその4人なので、大変ありがたく思ってます。

C100、そしてコミケ50周年に向けて

──C100について。日程も発表され、ハレの日としてさまざまな企画を検討されてるということですが、現在何かやりたい企画は具体的にあるんでしょうか。

市川 まだこの時期なんで、これはというのはないです。ただ、まずしっかりやりたい、まずC100をやろうっていう根本はみんな持っているので、まずC99をブラッシュアップして、さらに今回8万人か9万にっていう目標立ててますので、その中でしっかりやりましょうっていうのは考えています。カタログはC100は欲しいなと思ってるので、そこはしっかりやりたいな。ただ、前みたいな状態ではない形になるかなとは思ってます。

 もともと何もなければC100は、当然ながらお祭り感あふれる形ではやりたいなとは思っていたわけですけども、現実問題そこにじゃあ人が集まっちゃったらみたいになると、また本末転倒の話になってしまうので。あと、さっき言ったように来れない人が出てしまうので。実際問題、今募集して何サークル、皆さんに来ていただけるのかってとこもあると、あんまりそういうのに場所取ってサークルさん抽選漏れで落としちゃうのも本末転倒なので、まず今は3月までの申込期間で何サークルが集まって、配置するとどのくらい空くかが大きく左右してくるので、ちょっとこのご時世なので申し込み若干少なめになったら、ちょっと空いちゃったからそこに何か置こうか、と。そういう話も出ると思うんですけど、そこはもうイベントでやりながらなので、何とも言い難いってとこですね。その先のもう50周年っていうの3年後にありますので。

──あと3年で50周年ですか。

市川 そう。次は50周年いきますかねみたいな気持ちにはなってますけどね。2025年ですので、もう実はこの2年間、ふっとした瞬間に進んでるんですよね。そういうこともあって、45周年って、かっこつけてですけどね。何もネットばっかりやっててもしょうがないので、じゃあリアルな本でも作りましょうかって、ちょうど45周年だし、じゃあ過去彩ってきた皆さんにご参加いただく形でイラスト集作ったりしたわけですけれども。すごいいろんな方に描いていただいて、ありがたかったですけどね。