ロシアによる親ロ派勢力の国家承認など、緊迫の度合いを増すウクライナ情勢ですが、まだ本格的な戦闘には至っていません。しかし、ロシアや親ロ派勢力はウクライナから攻撃を受けたと度々主張しており、反撃や防衛を名目に戦端が開かれる可能性も依然としてあります。

 緊迫状況が続く中、SNS上では公開されている情報からロシアらの主張を検証する人々がいます。近年、マレーシア航空機撃墜事件などの調査で注目されたOSINT(公開情報を収集・分析する諜報活動)により、事実を明らかにしょうとする人々です。

 OSINTで明らかになった事例としては、ロシアから国家承認を受けた自称ルガンスク人民共和国は、ウクライナの攻撃に備えて住人に避難を呼びかけるビデオを配信しましたが、配信されたSNSのテレグラムはビデオのメタデータ(付帯情報)が削除されない仕様になっており、配信された2日前に撮影されたものだと明らかにされました。つまり、ロシア側の自称ルガンスク人民共和国の仕込みだった事がバレたのです。

 この他にも、TikTokに投稿されたロシア軍の移動の動画から、ウクライナ周辺へのロシア軍の集結状況を明らかにするなど、OSINTでは様々な事が明らかになっています。(下のツイートは、国家による影響力工作に対抗する活動を行っている非営利団体Center for Information Resilience(CIR)がSNS上の動画から明らかにした、ロシア軍部隊の集結状況についての解説)

 しかし、日本時間2月23日頃から、ウクライナ情勢をチェックしているTwitter上のOSINTアカウントが、次々と凍結、ロック(使用不能)させられています。紛争情報を扱うConflict Newsの共同創設者であるKyle Glen氏のアカウントが、Twitterの規約違反を理由に12時間ロックされた他、ウクライナのドンバス地方の情報収集に長けたNecro Mancer(アカウント名)もロックされるなど、著名なOSINT関連アカウントが同時にロックされています。

 Kyle Glen氏のアカウントロックでは、Twitterは具体的にどの規約違反だったのかを明らかにしませんでした。後にTwitterは誤ってロックしたと謝罪したものの、なぜロックされたかは依然として不明なままです。(下ツイートと画像はKyle Glen氏のTwitterのロック画面と、Twitterからの謝罪の文面)

 Conflict Newsは1月にもTwitterアカウントが凍結(現在は復旧)されており、なぜ凍結されたか訝しむ声がありましたが、最近のOSINTアカウント凍結多発に、ロシアがbot(自動化された動作を行うプログラム)を使用して大量の虚偽通報を行ったとみられています。

 調査機関べリングキャットのメンバーであるNick Waters氏は、過去にシリア、インド、ロシアといった国家が、公開情報から調査しているアカウントをターゲットにしていたことから、現在の状況を懸念するツイートをしています。

 Twitterからロックの理由についての詳細な報告はなく、今後の調査と発表が待たれます。ただ、SNS上のOSINTアカウントがロシアといった国家によってロックされていたとすると、国家がこのような民間組織や個人の調査活動を疎ましく思っていることの証左でもあり、信頼性を認めているとも言えそうです。