応募倍率10倍以上。総合火力演習とは?

富士山を見上げる74式戦車(筆者撮影)

富士総合火力演習をご存知でしょうか?

富士総合火力演習(総火演)は、元々は陸上自衛隊の教育機関である富士学校が、生徒に普通科(歩兵)・野戦特科(野砲)・機甲科(戦車)の火力戦闘様相を認識させることを目的に1961年から始まった演習のことで、1966年からは国民の自衛隊への理解を深める為、一般公開も行われるようになりました。2013年度は8月25日(日)に行われます。

92式地雷原処理用ロケット弾の発射
92式地雷原処理用ロケット弾の発射

近年の自衛隊への関心の高まりもあってか、総火演一般公開日チケットの抽選倍率はここ数年、10倍と高い値で推移していましたが、今年度のインターネット応募数は9万584件と去年度の6万2839件を大幅に上回り(リンク:朝雲新聞)、一般見学者にとってはますます参加が難しいイベントとなっています。

今回は、プラチナチケットと化した総火演について、どうチケットを入手するか、また見学のポイントについて解説したいと思います。

複数種類がある一般公開チケット

例年、総火演は8月下旬から9月上旬に一般公開が行われます。近年は8月下旬に一般公開が行われており、2013年度は8月25日が一般公開日となります。一般公開日チケットは6月上旬から7月上旬にかけての応募期間中に、インターネット又は往復はがきで応募します。当選者には7月下旬から8月上旬にかけて当選はがきの発送が行われ、1枚の当選はがきで4人まで入場可能です。

応募の際にポイントが2つあります。まず第一に、参加予定者に29歳以下の方が1人でもいれば、抽選が有利になる青少年券への応募が可能です。ただし、青少年券で応募したにも関わらず、演習当日の来場者に29歳以下の方がいなかった場合、陸上自衛隊は入場をお断りするとしていますので、しっかりと参加者を確認してから応募して下さい。

第二のポイントは、駐車券希望の有無の選択です。総火演会場は臨時バス(有料)が御殿場駅から出ていますが、会場が交通の便が悪い地域にあるので、バスは非常に混雑します。駐車券があれば、指定された駐車場にマイカーで来場し、そこから自衛隊が用意した送迎バス(無料)で会場に送迎されるので、行き帰りがスムーズになるなどのメリットがあります。このように便利な駐車券ですが、駐車券無しでの応募と比べて、非常に倍率が高くなるプラチナチケット中のプラチナチケットとなっています。一般公開チケット入手の確率を高めたいなら駐車券無しで応募すべきで、逆にマイカー以外で来れない事情のある方は駐車券有りで応募すべきでしょう。

総火演チケット応募のフローチャート(陸上自衛隊サイトより)
総火演チケット応募のフローチャート(陸上自衛隊サイトより)

会場に行く前に

幸運にも一般公開チケットに当選したら、まずは会場への移動手段を考えましょう。

総火演会場へはJR御殿場駅から臨時のバスが出ており、片道550円で利用可能です。バス待ちの行列を避けたいのならば、手っ取り早くタクシーで移動する方法もありますが、演習当日は御殿場周辺のタクシーの争奪戦になるため、確実に移動したいのならばバスをお勧めします。

マイカーで御殿場駅周辺まで移動し、周辺の駐車場に停めてから、バスで移動する手段もあります。ですが、御殿場駅周辺の市営駐車場は、総火演の時期は深夜から満車になっていることもあるので注意しましょう。

移動手段が決まったら、持ち物の用意です。必ず必要なものをリストアップしてみましょう。

  • 当選ハガキ
  • 雨具(傘NG)
  • 帽子(日傘NG)
  • 長袖の上着
  • タオル
  • 飲料水

上記は絶対に必要なものです。総火演会場は富士山の裾野にありますので、天候が目まぐるしく変わります。雨も降れば、強い日差しを浴びることもあり、逆に肌寒い気温になることもしょっちゅうです。できれば着替えも用意しましょう。

注意して欲しいのは、雨具や日除けとして傘・日傘を使用するのはトラブルの元になるということです。演習中に傘を差した場合、後ろの見学者の見学の妨げになり、後方から前方に向けて怒号が飛び交います(オーバーな表現ではありません)。カッパやツバの広い帽子など、他人の妨げにならない物を利用しましょう。

会場周辺は演習場とゴルフ場しか無い場所ですが、演習当日は多くの出店が出店しています。しかし、混雑や売り切れは毎度のことですので、最低限の食料や飲料水はあらかじめ用意しておきましょう。

あると便利なものとしては、敷物があります。会場はシート席・スタンド席がありますが、シート席は土足で歩くために汚れる可能性があり、スタンド席は硬いために座ると疲れます。敷物があれば長時間座っても、だいぶ楽になるのでオススメです。晴天なら、新聞紙などでも代用できます。

また、会場には仮設トイレが多数設置されていますが、女性トイレは例年混雑します。会場に向かう前、御殿場駅などで済ましておくのを忘れずに。

会場へ到着後

会場へ到着したら、スタンド席の間に設置されたゲートで当選ハガキを提示します。そこで、受付の隊員が下記の入場券に引き換えてくれます。この入場券はゲート外にあるトイレや出店に行った場合、再入場時に提示を求められますので、必ず無くさないように持っていて下さい。

平成22年度の青少年券サンプル
平成22年度の青少年券サンプル

ゲート入場後、見学場所には2つの選択肢があります。1つは券で指定されたスタンド席で観覧することで、会場を一望できるスタンドから演習の全体像を見るのに適しています。スタンド席は写真撮影向きでもあるため、早い段階で席が埋まってしまうために注意が必要です。

スタンド席からの展望パノラマ(筆者撮影)
スタンド席からの展望パノラマ(筆者撮影)

もう1つは前方のシート席で、目の前で演習が行われるため、装備品の走行時の振動や射撃の衝撃を体感することが出来、臨場感溢れる体験が期待できます。

入場の際、ゲートには「防衛ホーム」と呼ばれる自衛隊の新聞が配布されています。総火演の装備品の説明や、演習プログラムにもなっていますので、これは必ず貰っておきましょう。

総火演は10時から始まりますが、6時半から8時頃にかけて、会場内で点検射撃が行われています。これは演習本番を前に、実際に戦車や野砲が射撃や機動を行い装備の点検をするものですが、スピーディーに進行する演習本番と比べて、落ち着いて射撃や機動の様子を見ることが出来ます。会場に早く着かれたら、点検射をじっくり見てみるのも良いでしょう。

なお、会場は周りに原っぱとゴルフ場しか無い場所で、携帯電話の通信インフラが貧弱なところです。そのような場所に大勢の人が押し寄せるため、携帯電話が繋がりにくい・データ通信が出来ないなどと言った問題があります。会場内での待ち合わせは、携帯電話に頼らない方法で、事前に場所と時間を決めておくのが確実です。

ただ、会場周辺の携帯事情については朗報があります。手前味噌な話になってしまい恐縮ですが、私の方で総火演会場周辺の携帯接続状況の改善を携帯キャリア3社に要望する署名運動を行ったところ、これを書いている8月20日現在、auは車載型臨時基地局を会場周辺に出動させ、ドコモも既存基地局の調整にて対応する回答を頂きましたので、この2社につきましては例年より状況が改善すると思われます。この場を借りて、ご対応頂いたキャリア様、そして署名にご協力頂いた方に、心より感謝申し上げます。

演習開始と演習後

演習は10時から開始されます。それまでに余裕を持って自分の席に戻りましょう。

演習は前段演習、後段演習の2段階に分かれ、間に休憩時間が設けられています。前段演習は陸上自衛隊の持つ装備の紹介と射撃を披露し、後段演習では各職種が緊密に協同した実際の戦闘に近い演目を実施します。

演習の内容は実際に来場して見て頂くとして、演習後の話に触れたいと思います。

演習は12時に終了し、その後は装備品が会場内に展示され、来場者は装備品を間近に見ることが出来ます。装備品の近くには、実際にそれを使う隊員もいますので、色々と話を聞いてみるのも良いでしょう。

なお、装備品展示に長く時間を割いていると、帰りのバスやタクシー待機列が数時間待ちの行列になっていることもしばしばあります。早めに帰りたい方や、装備品は別のイベントでも見れる方は、装備品展示をパスして、演習終了後に速やかに帰った方が良いかもしれません。

なお、ゴミはきちんと指定の場所に捨てるか、持ち帰りましょう。

どうしても抽選が当たらない方へ

さて、ここまで総火演の一般公開について、ざっと説明してきました。

しかし、先にも述べたように、一般公開チケットは非常に抽選倍率が高く、おいそれと手に入るようなものではありません。ちょっと昔は、知り合いの自衛官に頼めば入手できたりもしましたが、近年は幹部自衛官でも入手が困難になりつつあると言われています。何度応募しても当たらない方は、下記のような方法を試してはいかがでしょうか?

まず、地域の自衛隊地方協力本部や自衛官募集事務所に相談してみましょう。地域によっては、自衛官募集のための宣伝活動の一環として、総火演見学のツアーを実施しているところもあります。また、貴方が学生なら、募集官が頑張ってチケットを手配してくれるかもしれません。頑張る理由は察しましょう。

また、日頃から自衛隊の活動に協力している団体などには優先的にチケットが回ります。各都道府県や自治体には、自衛隊協力会がありますので、そちらに入会してみるのも手かもしれません。

これらの抽選と異なる手段でチケットを入手した場合に注意して欲しいのは、一般公開日以外の平日開催の演習になる可能性があることです。総火演では一般公開日の前週から、一般公開日とほぼ同じ内容の演習が数日間に渡り行われています。チケットを入手しても、行けない日だったら意味がありません。そこは気を付けましょう。

見学困難にな総火演ですが、近年はニコニコ生放送やUstreamでの生中継も行われるようになりました。

今年度のチケット入手はもう困難ですので、興味のある方はまずは自宅で生中継を見てみるのも良いかもしれません。

ニコニコ生放送:自衛隊 平成25年度富士総合火力演習 - 2013/08/25 10:00開始

Ustream:富士総合火力演習 (そうかえん)

【関連】

陸上自衛隊:富士総合火力演習公式サイト