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憧れより共感と自己投影?恋愛に積極的な若者が求める恋愛系コンテンツ5選

道満綾香Z世代のメディア「Z総研」アナリスト
(写真:アフロ)

私が所属する株式会社セクションエイトが運営している、さまざまな相席業態の調査・未婚男女へのヒアリングを通じて、恋愛・婚活・出会いのリサーチを行っている「相席LABO」では、独自に行ったトレンド調査をもとに「恋愛に積極的な若者女性ユーザーから見えた2022年夏のトレンド予測」をまとめ、発表しました。今回はその調査の中でも反響が大きかった「YouTubeや番組部門」でのトップ5を解説していきたいと思います。(調査は、全国に住む20~25歳 女性249名を対象に、2022年6月12日~19日にインターネット上で実施しました)

バチェロレッテ

才色兼備のバチェロレッテ(独身女性)が、職業、年齢、容姿、性格も様々な男性候補者から“真実の愛”を見つけ出すAmazon Prime Videoの婚活リアリティー番組。シーズン2が本日の2022年7月7日(木)夜10時より配信開始で話題を集めています。

バチェロッテとは未婚の独身女性を意味する言葉で、ここでは日本でも一躍ブームを巻き起こしたアメリカ仕込みの人気婚活リアリティーショー『バチェラー』の男女逆転版。これまでの『バチェラー・ジャパン』シリーズとは違った視聴者層の心にも刺さった模様です。初代バチェロレッテ・福田萌子(ふくだ もえこ)さんのカリスマ性も相まって、ドハマりする視聴者が続出。あれから約2年、待望のシーズン2が配信されることになりました。

華金カップル

華金カップルは、“商社マン”と“受付嬢”のカップルYouTuberとして現在人気沸騰中のチャンネルで、2020年5月31日にYoutubeチャンネルを開設して、わずか1ヶ月で登録者が3万人を突破するという話題のカップルチャンネルです。

そんな彼らのYouTubeチャンネルのチャンネル登録者数は47.4万人(2022年7月7日現在)で、内容はデートや旅、二人の日常を映したvlogがメインで、2021年1月21日公開の動画「【神回】年上彼女の誕生日全力で祝ってみた」は約222万回再生(2022年7月7日現在)を誇っています。

整形ちゃんねる

美容整形に約1億円以上を投じた“整形男子”として知られ、「整形ちゃんねる」で、赤裸々な整形事情や美容の話題について発信しているアレンさん。独特で解読が難しすぎる言語表現は「アレン様構文」「クリマン語」と呼ばれ、アレンさんのファン=“クリマン”を増やし続けています。

「整形男子」としてテレビデビューした後、タレントとしても様々な番組で整形についての体験談を語っているアレンさんですが、チャンネル登録者数 は15.2万人(2022年7月7日現在)を突破しており、最高視聴回数の動画は「アレン様登場で大荒れ!おすすめ出来ない整形を解説」という2020年10月2日公開の動画では約77万回再生(2022年7月7日現在)を誇っています。

ニューヨーク恋愛市場/abema

『ニューヨーク恋愛市場』とは、2021年9月28日からABEMAにて放送されているニューヨークの冠番組。 「どこまでが浮気?」 「ヤキモチのちょうどいい加減は?」など、男女にまつわるさまざま疑問をニューヨークが徹底検証し、恋のあれこれを学んでいくオトコとオンナのリアルを射抜く恋愛バラエティ。人気の芸能人がゲストとして恋バナをしたり、街頭調査でリアルな恋愛や結婚のエピソードが話題になっています。

2021年9月28日から放送が始まり、毎週火曜の22:00から22:45で現在放送中です。

私たち結婚しました/abema

韓国MBCで放送された『私たち結婚しました』の日本版。「私たち結婚しました」は、2021年7月9日よりABEMA SPECIALチャンネルで配信が始まりました。もしもあの芸能人が結婚したら、という仮想結婚の模様を送る恋愛バラエティー番組。番組ジャンルは結婚モキュメンタリーとも記述されます。

シーズン1は野村周平とさとうほなみ、白洲迅と堀田茜の2組、シーズン2は浅香航大とトリンドル玲奈、塩野瑛久と足立梨花の2組そして今シーズンは、佐野岳と島崎遥香ペア、中田圭祐と川島海荷ペアの2組が夫婦となり結婚生活を送っており、20代女性の婚活勢に非常に刺さっています。

ネット配信番組は他者に感情移入ができるか否か

写真:アフロ

恋愛系コンテンツは、これまでに何度もブームを生んでいます。80年代には「ねるとん紅鯨団」が人気を集め、90年代は「東京ラブストーリー」、2000年代は「あいのり」と年代ごとに様々な恋愛コンテンツが視聴者を熱狂させてきました。こうした人気番組の誕生をきっかけに、最近ジャンルを増やしながら幅広いファンを獲得しているのがネット配信の恋愛コンテンツです。

ネット配信番組によってバラエティー豊かなラインナップが誕生しました。見つめ合うだけでドキドキしてしまうようなピュアな恋愛に憧れる若者から、従来の恋愛コンテンツに関心を示してこなかった既婚女性・男性視聴者まで、幅広い層にファンを獲得したことでこれまでの「恋愛系コンテンツ」のイメージは大きく覆ったようにも思えます。

推しを探して応援する楽しさ

写真:アフロ

推し活」とは、アイドルや俳優、アニメのキャラクターなど、自分が好きになった対象を応援する活動のことを意味します。パナソニック株式会社の調査によると、Z世代だけではなく、20代~50代女性の幅広い年齢層の女性のうちの約5人に1人が推し活をしており、そのうち92.2%が「人生が変わった」と回答しています。楽しみだけでなく、日々の活力や幸せ、癒やしや感動まで与えてくれる「推し活」は若者だけでなく幅広い年齢層に浸透しているようです。

参考:「推し活」女性の9割超が「人生が変わった」と実感 、「推し活」で得たものTOP3は、楽しみ・活力・幸せ 。普段の活動はSNSチェックや映像鑑賞が中心(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000619.000024101.html)

推し活は、自分が好きなタレントが出ているから、といったいわゆる一般的な理由だけではなく、「バチェラーやバチェロレッテのように複数いる参加者(候補者)から自分の推しを作り、番組が完結するまで応援する」ことのように、推しを探すところから始まり番組の視聴開始と同時に推し活を始めだす人も多くなっています。

空想のシチュエーションより共感と自己投影を好む

写真:アフロ

最近は、漫画やドラマより共感や自己投影ができるリアルな内容を好む人が増えているように感じます。実際、華金カップルのように、カップルYouTuberが日常を公開している動画へのコメントには『りこちゃんがずっと欲しいって言ってたの覚えてるだけでもさすがすぎるのに、更に1人で内緒で買いに行って何でもない日なのにプレゼント…どこまで完璧なのたっちゃん!満点!』などといった具体的な内容への共感の声が多く見られます。ニューヨーク恋愛市場でも同じ悩みを抱える視聴者からの相談や意見に、共感したり自己投影したりするファンは多いのではないでしょうか?

また、2泊3日で恋をする、3ヶ月間の旅に出かける、結婚生活から初めて見る、男女がひとつ屋根の下で生活するなど、恋愛リアリティ番組といいつつも、非日常の中で展開される恋愛コンテンツが多い理由も同様に、「こんな恋愛に憧れる、自分もこんな風になりたい」といった思いから視聴する人が多いからだと思います。

一見、シチュエーションとしては非日常に見えても、そこでストーリーを生む人物やキャラクターが存在する以上、日常の延長として捉えることができるため、一種の日常として非日常を観ているのかもしれません。

Z世代のメディア「Z総研」アナリスト

兵庫県出身。大学在学時に女子大生のマーケティングを目的としたTeamKJを設立し、プロデューサーを務める。大学卒業後はリクルートグループに入社。その後、スタートアップ数社でZ世代を対象としたPRやプロモーションを行い、数々のメディアに取り上げられるなど若者向けのアプリがブレイク。その後、Z世代のプロモーションやインフルエンサーのキャスティングを行う株式会社N.D.Promotonで取締役に就任。Z世代の研究メディア「Z総研」ではアナリストとして、ジェネレーションギャップが生まれるZ世代の「今」を取材している。

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