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焼酎しか勝たん。好きが高じてビジネスに、Z世代は好きなものへの想いの強さが原動力に?

道満綾香Z世代のメディア「Z総研」アナリスト

Z世代のほとんどに推しがいると言われ、実際にアンケートを取ったところ96.7%と本当にZ世代のほとんどに推しがいるということがわかりました。

調査時期:2021年7月9日~7月18日 調査方法:インターネット調査調査 対象:全国、12〜15歳59名、16〜18歳100名、19〜22歳41名、23歳〜25歳18名、計女218名
調査時期:2021年7月9日~7月18日 調査方法:インターネット調査調査 対象:全国、12〜15歳59名、16〜18歳100名、19〜22歳41名、23歳〜25歳18名、計女218名

何かにどハマりできるほど『好き』なものを持っているZ世代ですが、そんな好きが高じてビジネスに発展させてしまうなんてこともしばしばあるようです。

好きなものを追求するというのは非常にエネルギーのいることですが、その熱意を武器に焼酎を世界に広めようと頑張っているZ世代がいます。

焼酎を愛してやまないZ世代の橋本さんに、そもそもなぜ焼酎にどハマりしたのか、焼酎をビジネスにしようと思ったきっかけなどのお話を伺いました。

ーー自己紹介をお願いします。

橋本:1998年2月生まれ、株式会社SHOCHU X代表の橋本と申します。Z世代の上の方ですね。

焼酎ブランドの『SHOCHU X』を運営していて、いわゆるD2Cのような感じでやっているのですけれども、九州の焼酎メーカーと一緒にOEMで、自分たちのオリジナルコンセプトを元に、高単価な焼酎をネットで販売しています。

※D2C:「Direct to Consumer」の略で「自ら企画、生産した商品を製造者がダイレクトに消費者と取り引きをする」という意味の言葉

※OEM:「Original Equipment Manufacturing」の略で「相手先ブランドで設計から製造まで請け負うこと」という意味の言葉

ーーたくさん聞きたいことはあるのですが、そもそもなぜ焼酎なのですか?

橋本:話すと長くなってしまうのですが、そもそも焼酎というのは、九州で95%以上作られていて、私自身九州出身でもないし、酒蔵や酒屋の息子でも全くないし、縁もゆかりもありませんでした。

たまたま大学1年のときに始めた居酒屋のアルバイト先が、焼酎がとても多いところで、そこで焼酎の美味しさを知ったことがきっかけです。その後1~2年間は単純に一消費者として焼酎が好きで飲んでいたのですが、大学3年のときに、日本酒が海外で流行っていることや日本酒のスタートアップが結構出てきているという記事をたまたま見て、なぜ自分の好きな焼酎にはこういうものがあまりないのだろうかと思い、そのときに一消費者として焼酎が好きという思いに変化が訪れました。

ネットで調べていると焼酎を新たなビジネスとしてやっている人は少ないことも知り、様々な焼酎メーカーさんに会いに行ったり、業界の人に話を聞きに行ったりしました。その中に1つ、焼酎専門の商社、焼酎を海外に輸出している会社がありました。

そこもネットで検索をしてホームページを見つけ連絡をしたら話を聞いてくれて、とても仲良くなりインターンをすることになりました。

また、個人的には若い人向けの焼酎イベントのようなものを手伝う活動など1年ほどしていました。

焼酎はまだまだ世界に進出できていないのですが、ウイスキーやブランデー、ラム、ジン、ウォッカなどは世界中で流通しています。焼酎は、そういうものに全く引けを取らないポテンシャルがあると思ったのです。

その一方で、マーケティングやプランニングの面で全く駄目だと、外国の方に言われることも多くありました。それは日本酒も同じで、その壁を乗り越えようとして日本酒のブランドを立ち上げたベンチャーなどを見てきたので、自分も焼酎で同じようなことができると思い、高単価に特化した『SHOCHU X』というブランドを立ち上げました。

ーー偶然の出会いから会社を立ち上げるに至ったのですね。ちなみに、最初に出会った焼酎はなんだったか覚えていますか?

橋本:1つの焼酎に衝撃を受けたというより様々な焼酎があって、それぞれの味がこんなに違うのか、と驚かされました。

明確に覚えている初めておいしいと思った焼酎は、サトウの麦焼酎ですね。当時働いていた居酒屋で出会いました。

ーーそもそもその居酒屋で働いたのには何か理由はあったのでしょうか?

橋本:特に理由があったわけではなく、シンプルに学校から近かっただけです。あと、時給が高かったので。

最初は焼酎に全く興味がなくて、バイト先の人に勧められて飲んだという感じです。

それまでは焼酎に対していいイメージがなくて、そこでたまたま飲んでみたら、焼酎ってこんなに美味しいものなのかと驚かされたのがきっかけです。

ーー本当に偶然の出会いなのですね。

橋本:そうですね。大学に行っていなかったら出会っていないですし、そもそもそこでアルバイトしていなかったら焼酎が美味しいものだと気づけなかったかもしれません。

ーー好きになったものに対して、調べることは昔からよくしていたのですか?

橋本:自分は好奇心旺盛なタイプで、ハマったら結構色々調べますね。その中でも焼酎は格別です。

単純に味が好きということもあるのですが、もうひとつは、誰も新たなビジネスとしてやっていなかったのが非常に面白いというのがあります。誰もやっていないと言うと語弊があるのですが、ほかのお酒や業界に比べると相対的にとても少なくて、大きなチャンスを感じていました。

もともと起業したいとは思っていなかったのですが、好きが高じて焼酎もビジネスとしてやったら面白そうだなと思い、今に至ります。

ーー好きなものに対してここまで熱意を持って取り組めるというのは本当に素晴らしいです。

ここまで来るのに葛藤や悩みなど何かありましたか?

橋本:個人的に焼酎において一番良くないなと思うところが、新規参入しづらい業界というところです。この業界をもっと盛り上げたいと思っているからこそ一事業者として上り詰めたい、この業界にはもっともっと競争する力が必要だと思っています。

ーーなるほど、確かに古くからある業界だからこそ新しい風が吹きにくいというのはありますよね。

そういうことを感じた場面はよくありましたか?

橋本:結構感じる場面はありますね。

要は新規参入がないので、色々古いというか、一つ一つのメーカーの戦略などもちゃんとターゲットにアプローチ出来てないなと思うことが結構あります。

でも、メーカーさんは理解していなかったりそれが駄目だとも思っていないことも多く、そういうこと1つとってもギャップを日々感じます。

自分が言うのもおこがましいのですが、新規参入が増えて切磋琢磨していけば、もっと盛り上がると思うし、焼酎が国内にも世界にももっと広がると思っています。

ーー好きをここまで突き通して、そこから湧き出る原動力が凄まじいですね。

その好きから来るワクワクを大人になった今でも忘れない秘訣はありますか?

橋本:難しいですね(笑)

でも、1つ考えられるのは周りの人たちに恵まれているなというのはあります。

大学生の頃、軽音サークルに入っていたのですが、そこにいた人たちはみんな心から音楽が好きで、それぞれ好きなことをやっていて、個人的にその雰囲気がとても好きでした。

そういう人たちを見ていると自分も好きなことをやり続けようという気持ちになります。人と環境に恵まれて今の自分があります。

ーー今後やりたいことなどはありますか?

橋本:数年後の酒蔵(蒸留所)設立を1つの目標にしています。焼酎以外はないですね。

結局1つのことを全力投球でやらないと、目標としていることはなかなかできないだろうなと思っているので、今は焼酎に集中しています。

あとは焼酎の悪いイメージを払拭したいです。

例えば女性4人で飲みに行ったとして、1人の人が焼酎を好きだったとしてもあまり言えない雰囲気が今はなんとなくあると思うので、そういうことを変えていきたいです。焼酎に出会って、悔しい思いもたくさんしてきましたが、焼酎のおかげでいろいろな人との出会いもありましたし、色々と経験していくうちに、業界を変えたいと思っています。

ーーその焼酎をどういう人たちに届けたいなどはありますか?

橋本:1番はやっぱり『SHOCHU X』というものを自分なりに定義して、焼酎のエクスペリエンスを自分たちで創造するというか、デザインするのが自分たちの役目だと思っています。

なので、今まで焼酎を飲んだことがなかったけれども、これはおしゃれで格好いいし買ってみるかとか、飲んだことはなかったけれどもプレゼントされたとか、その経験から焼酎ってこんなに面白いのか、と思ってもらえるのが一番うれしいです。なので今まであまり焼酎を好きではなかった、飲んでいなかった人に届けたいです。

また、2021年12月16日(木)に『SHOCHU X』より第三弾の商品として58%のアルコール度数でボトリングナンバー入り471本限定の「凜和(りんわ)」を発売しました。こちらもぜひさまざまな方に楽しんでいただきたいですね。

偶然の出会いから橋本さんは焼酎にどハマりしてビジネスへと発展させ、自身で焼酎ブランドを立ち上げてしまうほど焼酎にのめり込んでいました。

大人になると自分の好きなことに対してのワクワクが徐々に減っていってしまうように感じますが、Z世代の好きに対する熱意の高さには非常に驚かされます。

狭い業界に飛び込むのは非常に勇気のいることだと思いますが、Z世代が参入することによって今までとは全く違った新たな風が吹いていくことでしょう。

好きの気持ちを蔑ろにせず、その気持ちに従うことで新たな道を見つけることが上手なZ世代。

好きな気持ちに正直に従って、どんどんと次のワクワクを見つけていくことは大人も見習っていくべきですね。

プロフィール

橋本 啓亮

1998年生まれ。日本大学法学部卒業。九州出身でも酒蔵や酒屋の息子でもなく、焼酎に縁もゆかりもなかったが、在学中に焼酎業界に従事。そこで日本の焼酎のポテンシャルの高さを目の当たりにしたのと同時に、マーケティング・ブランディングの意識の低さを痛感し、焼酎ブランドを立ち上げることを決意。

2020年4月に株式会社SHOCHU Xを設立、「TRANSFORM SHOCHU」をミッションに、伝統的な日本の焼酎の良さを守りつつ、新たな焼酎の創造に挑み続けています。

『SHOCHU X』公式Twitter:https://twitter.com/shochu_x

『SHOCHU X』公式Instagram:https://www.instagram.com/shochu_x/

Z世代のメディア「Z総研」アナリスト

兵庫県出身。大学在学時に女子大生のマーケティングを目的としたTeamKJを設立し、プロデューサーを務める。大学卒業後はリクルートグループに入社。その後、スタートアップ数社でZ世代を対象としたPRやプロモーションを行い、数々のメディアに取り上げられるなど若者向けのアプリがブレイク。その後、Z世代のプロモーションやインフルエンサーのキャスティングを行う株式会社N.D.Promotonで取締役に就任。Z世代の研究メディア「Z総研」ではアナリストとして、ジェネレーションギャップが生まれるZ世代の「今」を取材している。

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