新型コロナウイルスの感染拡大により手放せなくなってしまったマスク。そんなマスクをZ世代（1996～2012年に生まれた若者たち）は『付けなくてはいけないもの』から『おしゃれアイテムの一種』として捉えているようです。

様々な有名ファッションブランドやスポーツブランドからマスクが発売されており、高性能なマスクが発売されるたびに話題となっています。

先日10月30日にGUから発売されたマスクも販売直後に即完売、現在もなお完売が続いている店舗もあり、オンラインでも完売している色があったりとその人気ぶりが分かります。

コロナウイルス対策のために生活必需品となったマスクですが、Z世代の「マスクの使い方」は、機能面だけでなく、さらに進化しているようです。

マスクはシーンに合わせたコーディネートの一部に

リアルだけでなく、SNS等で複数のコミュニティに属するZ世代には、その日のシーンに合わせて異なるファッションテイストを楽しむという特徴があります。

そんな中、今ではコーディネートの一部として洋服のようにマスクを選ぶZ世代が急増しているというのです。

マスクを含めたトータルコーディネート

洋服の一部としてマスクを着用するのが流行し始めているようです。

中でもアパレルブランド「one spo」は服とマスクを組み合わせた新たなスタイルをSNS上で数多く発信しています。

いずれもZ世代らしいポップなコーディネートを際立たせる個性的なマスクが印象的です。

単に感染対策として使用されることが多かったマスクがここまでおしゃれに進化したのか、と驚かされますね。

まさに「マスクありき」の斬新なファッションは感度の高いZ世代の関心を集め、今後ますます広がっていきそうです。

デートにぴったりの女性らしいデザインのマスク

Z世代に人気のある数々のブランドから出ているのが『リボンマスク』。

一時完売が続くブランドも出るほど人気のデザインです。

このマスクの大きな特徴は、紐の部分のリボンがアクセサリーをつけているように見えるデザインにあります。

さらに、耳元のリボンにより女性らしいアイテムとも相性がよく、Z世代のデートコーデにぴったりです。

テーマパークのキャラクターマスク

8月には、ユニバーサルスタジオジャパンからキャラクターの顔がデザインされたマスクが発売されました。

カチューシャやメガネなど従来のアイテムとあわせて使用することで思い切りキャラクターになりきって楽しめるアイテムです。

現在テーマパークでキャラクターと近くで触れ合うことはできませんが、その分グッズを使った新しい楽しみ方がZ世代にも支持されているようです。

Z世代にとって、キャラクターに扮して写真を撮り、映える写真をSNSに投稿するまでが一連の楽しみ方なのです。

診断に基づいた「私の顔に似合う」マスク

Z世代の「単なる流行ではなく自分に似合う物を身につけたい」という意識は非常に高く、パーソナルカラー診断や骨格診断がZ世代向けの雑誌などで特集されているのを見かけます。

パーソナルカラーとは人が持って生まれた髪色や肌の色をタイプ別に分類したもので、大きく分けると黄みを帯びた「イエローベース」と青みを帯びた「ブルーベース」に二分されると言われています。

タイプによって似合う服の色などが異なるため、パーソナルカラー診断を受けて服やコスメ選びの参考にする人が増えています。

一般的にはサロンでプロに診断してもらう方法が一般的ですが、無料でセルフ診断する方法も沢山あるため、気軽に試してファッションに取り入れるZ世代が多いです。

パーソナルカラー診断のトレンドに着目したアパレルブランド「ROPE' 」のマスクが話題を集めています。

そして、パーソナルカラーと同様に話題なのが、「骨格診断」です。

生まれつきの骨格のタイプを知ることで、自分の体型が最もきれいに見える服を選ぶことができます。

Z世代の間で骨格診断が流行していることから、彼女たちの「顔や全身のスタイルを良く見せる」ことに対する関心の高さがうかがえます。

人気ブランド「SNIDEL」は、顔の形を美しく見せる独自のカットラインを取り入れたロゴ入りマスクを発売しました。

マスクで小顔に見せたいし、おしゃれさも欲しい。

そんなニーズを満たしたアパレルブランドのマスクはSNSで話題になりやすく、Z世代に注目されているのです。

機能性を超えたおしゃれマスクは韓国カルチャーの影響？

コロナ禍で急速に広まったおしゃれマスクですが、一体どこから生まれ、広まったのでしょうか。

日本では多くのアパレルブランドに先駆けて、韓国服の通販サイト「CHUU」がファッション性の高いマスクを販売していました。

このブランドに限らず、韓国ではコロナ流行以前からおしゃれマスクを使ったファッションが存在していたようです。

韓国カルチャーはZ世代にとって比較的身近であり、韓国発のコスメブランドやアイドルなどが日本のZ世代の間で流行することがあります。

韓国のトレンドに敏感なZ世代も多いので、おしゃれマスクの広まりと何らかの関係があるのかもしれません。

今後も続くマスク生活で変化する価値観

最近では、ノベルティとしてブランドがオリジナルのマスクを配布したり、贈り物としておしゃれなアパレルブランドのマスクが選ばれるといった動きも見られます。

コロナ以前は「顔を隠すもの」「ウイルス感染や風邪を予防するもの」として捉えられることの多かったマスクに、考えられなかった役割の変化がまさに今起こっています。

そして、ファッションとして「マスクを楽しむ」スタイルには、周囲に気を配りながらも新たな楽しみや流行を生み出すZ世代の特徴が現れていると言えそうです。

（写真ACより）

マスク生活は今後もしばらく続くことでしょう。

そんな中、Z世代の「マスクに対する価値観」がより幅広い世代に浸透すれば、サラリーマンがスーツに合うマスクを選んで出勤する、なんて日が来るのかもしれませんね。