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香川県でeスポーツ大会に参加者が集まらなくてピンチ… Z世代への浸透を探ってみた!

道満綾香Z世代のメディア「Z総研」アナリスト
(写真:アフロ)

最近、eスポーツやゲームを取り上げたテレビ番組が様々な放送局で取り上げられるようになりました。

それにも関わらずこんな事態が起きているようです。

香川県では「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」が1月10日の県議会において議案が提出され、3月18日に賛成多数で可決されネット上でも物議を醸しました。

先ほどのツイートのリプライ欄にも「条例違反になるから未成年の参加は難しいんじゃないでしょうか。」や「1時間しかゲームをしてはいけないという規制の中で社会の目を気にしないといけないので参加しません。」など消極的な意見が多く投稿されています。

日本でも徐々にeスポーツの認知が広まってきており、これからという時にこのような状況では香川県も条例について考え直すこともあるかもしれませんね。

ゲームは子供たちに悪影響を及ぼすものだというイメージを持たれてしまっていることがよくわかります。

一方でZ世代はeスポーツに対してどのように認識されているのでしょうか?

Z世代のeスポーツの認識

Z世代(1990年代後半~2000年生まれの世代)にとって今やゲームは当たり前に日常の中にあるものです。彼ら、彼女らは外出自粛となる以前から友達とオンライン対戦のゲームで遊んでいます。

しかし、Z世代にはeスポーツの存在は浸透してきているのにもかかわらず、世間においてはスポーツとしてはまだまだ認識されていないようです。

eスポーツとは?

eスポーツとは「エレクトロニック・スポーツ」の略称で、コンピューターゲームやビデオゲームを使い、複数人のプレイヤーでプレイし、対戦することをスポーツと解釈したものです。海外では非常に発展しており、市場規模も日本とは桁違いの大きさがあるそうです。

日本から生まれたゲームも非常に多く、海外の方にも親しまれているゲームがたくさんあるにも関わらず、なぜスポーツとして浸透していないのでしょうか。

日本のスポーツの認識

まず、日本ではスポーツとは「体を動かすもの」という固定概念が根強く残っています。

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Free-PhotosによるPixabayからの画像

リサーチ会社である株式会社クロス・マーケティングが行なった調査である「eスポーツの認知度やスポーツとしての意識などを調査」(https://www.cross-m.co.jp/report/it/es20190912/)において「eスポーツをスポーツと思うか」という問いに対して全年代で半数以上が「スポーツとは思わない」という結果が出ました。

この調査における10〜20代の結果は他の世代と比べると「スポーツと思う」という意見が多いものの、それでも10代は38%、20代は30%と非常に低い結果となりました。

日本人のゲームに対するイメージ

また、日本においてeスポーツが浸透しにくい理由として、ゲームは”遊び、悪いもの”というイメージが強いことが考えられます。

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Лечение наркоманииによるPixabayからの画像

もちろんゲームは楽しいものですから、それに夢中になって勉強が疎かになるというのはよく耳にする話です。しかし一つのゲームを熱心に極めていたらもしかしたらプロゲーマーになれるかもしれません。各家庭で上手に付き合って行くことが重要なのです。

また、海外ではeスポーツの大会の賞金は数億円にものぼることだってあるそうです。しかし日本では「景品表示法」「賭博罪」「風営法」の3つの法律の関係で多額の賞金は出せないというのが現状のようです。

それに加えて「ゲームでお金を稼ぐのは良くないことだ」というステレオタイプな考えが日本に浸透しているのでこれを覆さないとeスポーツの発展はなかなか難しいでしょう。

Z世代に人気のゲーム

Z世代の間では最近、FPS(ファーストパーションシューティング)視点のゲームTPS(サードパーソンシューティング)視点のゲームが流行しています。

FPS視点のゲームで有名なものの例として「荒野行動」や「PUBG」、TPS視点のゲームで有名なものは「スプラトゥーン」や「フォートナイト」があります。これらはスマホのアプリで出ているものもあるほどメジャーなゲームです。

Z世代に人気のゲーム「フォートナイト」の開発元である米エピック・ゲームズは米アップルに宣戦布告をし、全面戦争と言われており、世界的に話題のニュースとなっているためご存知の方も多いのではないでしょうか。

「荒野行動」はYouTubeの広告でもよく出てくるので、こちらも認知度の高いゲームだと思います。

相手と戦うゲームは男の子がよくやるもので女の子は「どうぶつの森」みたいなのんびりしたゲームをやっていると思われがちですが、これらのFPS視点やTPS視点のゲームはZ世代の女の子にも非常に人気なのです。

Instagramのストーリーにゲームの結果のスクリーンショットを投稿している人もよく見られます。

さらに先日、芸能人の本田翼さんがYouTubeでゲーム実況をした動画をアップして話題になりましたが、YouTubeではゲーム実況はZ世代にとって非常に人気のあるジャンルの一つです。

「ゲーム実況も見ているのは男の子でしょ?」と思われがちですが、女の子のリスナーも非常に多く、また女性のゲーム実況者も多くいます。

eスポーツの認知度

ここまでZ世代には様々なゲームが浸透しているのになぜ日本ではeスポーツがスポーツとして認知されていないのでしょうか。

先ほど述べたスポーツの固定概念以外にも、自分のプレイしているゲームがeスポーツの種目だと認識していないことも一つの理由だと考えられます。

現在20代後半〜30代後半の世代が青春時代ハマったであろう「ストリートファイター」もeスポーツの種目の一つです。

自分が普段何気なくプレイしている(もしくはしていた)ゲームがeスポーツの種目だと考えている人は非常に少ないと考えられます。

また、2018年に開催された第18回アジア競技大会では日本代表が「ウイニングイレブン 2018」において優勝しました。もちろんこのゲームもZ世代の間でも親しまれています。

しかし、非常に身近なゲームであるにも関わらず、eスポーツとしての認知が著しく低いのが現状のようです。

2019年に中学生男子・高校生男子を対象にソニー生命保険株式会社が実施した「将来なりたい職業」に関するアンケートでは、男子中学生の部門の2位にプロeスポーツプレイヤーがランクインしていますが、まだまだ職業としてプロゲーマーは世間一般には浸透していないと言われています。

(アンケートは2019年6月25日~7月2日の8日間、全国の中学生・高校生男女1000名を対象にインターネットで実施)

eスポーツの未来

近年、テレビなどのメディアにも取り上げられる機会が増えてきたこともあり、eスポーツの認知度が徐々に上がってきているようです。

実際にeスポーツという言葉を耳にしたことがあるZ世代が多くいると感じます。

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dife88によるPixabayからの画像

基本プレイ無料のゲームが増え、誰でも気軽にプレイできるゲームがeスポーツの種目として採用されているそうです。

また、eスポーツは性別も年齢も関係なくフェアに戦えるスポーツです。スポーツとしての認識が日本でも広まれば職業としての認識もより広まっていくことでしょう。

Z世代のメディア「Z総研」アナリスト

兵庫県出身。大学在学時に女子大生のマーケティングを目的としたTeamKJを設立し、プロデューサーを務める。大学卒業後はリクルートグループに入社。その後、スタートアップ数社でZ世代を対象としたPRやプロモーションを行い、数々のメディアに取り上げられるなど若者向けのアプリがブレイク。その後、Z世代のプロモーションやインフルエンサーのキャスティングを行う株式会社N.D.Promotonで取締役に就任。Z世代の研究メディア「Z総研」ではアナリストとして、ジェネレーションギャップが生まれるZ世代の「今」を取材している。

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