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さらに盤石な投手王国へ―阪神タイガースにコルテン・ブルワー投手が新加入

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
コルテン・ブルワー

 阪神タイガースへようこそ!

 優勝へ向かってひた走るタイガースは、より堅固な投手王国を築き上げるため、アメリカからまた新しい外国人選手を獲得した。名前はコルテン・ブルワー。右投げの投手だ。(プロフィールは文末)

キャッチボールをするブルワー
キャッチボールをするブルワー

■来日初の投内連係

 鳴尾浜球場で昨日8月10日、来日後初めて投内連係の練習に入った。まずは岩田将貴投手や岡留英貴投手ら“タテジマの先輩たち”の動きをファウルゾーンで見学し、藤本享也通訳と話しながらさまざまな確認をしていた。

 そして順番が回ってきてマウンドに立つと、アウトカウントやランナーの状況など、あらゆるシチュエーションを設定する中で、ゴロを捕球して内野手へ送球したり牽制球を投げたりと、軽快にこなした。時折タイミングが合わないこともあり、その都度、コーチ陣とも話をしていた。

 シーズン途中での加入だ。短期間でサインを覚えたり、日本語での咄嗟の指示に対応したりは大変ではないかと思うが、藤本通訳から日本語を教わっているとあって、教わった言葉を耳にすると「あ、あれだ」と理解し、問題なかったという。

 「サインが大丈夫かというのを確認していて、自分が思ったのとサインが合ったのでオッケーだなと。ちょっとタイミング的に早かった部分があったので、それはやりながら『もっとこうしよう』というのができた」。

 納得顔でそう振り返り、サインの数なども「アメリカとほとんど変わらない」と、慣れれば大丈夫だと適応能力の高さを強調していた。

藤本享也通訳(右)のレクチャーを受けるブルワー
藤本享也通訳(右)のレクチャーを受けるブルワー

■8日には来日初ブルペンも

 3日前の同8日には来日後初のブルペンにも入って26球を投げた。

 「グッド!感じはよかった。しっかりトレーニングしていたのがブルペンで体現できたし、自分が思っていたよりもキレがよかった」。

 150キロのストレート、ツーシーム、スライダー、カットボール、カーブ、チェンジアップを投げ、中でも得意のカーブには思わぬ収穫があったようだ。

 「カーブはアメリカにいたときよりも動きがよさそうな感じで投げられる。アメリカのボールは滑っていたけど、日本のボールはしっとりしているんで、しっかりかかってくれる。そういう面で、ちょっと変わるかなという印象はあります」。

 また、1球ずつタブレットでデータを確認しながら投げていたのは、アメリカで投げているときとの数値の違いを確認したかったからだという。「全体的に悪くはなかった。もしかしたらちょっとよくなっているかもしれない」と、手応えはかなりよかったようだ。

8月8日はブルペンで26球投じた
8月8日はブルペンで26球投じた

 見守った福原忍投手コーチも「前回投げてから1週間ぶりくらい、久々のピッチングだったんですかね。コントロールが乱れるという感じではないのかなと思います。ある程度まとまっているというか、ゾーンの中に強い球を投げられるんちゃうかなと思います」と印象を口にした。

 150キロを計測したストレートにも「ベース板で強いという印象。ゲームに投げていったら、上がってくるんじゃないですかね。(バッターと対戦すると)アドレナリンが出るというか、そうなればもうちょっと上がるからもしれないですね」と、上積みを期待していた。

投内連係
投内連係

■今日、岡田監督の前でブルペン入り

 今日11日に1軍の試合前練習に参加し、岡田彰布監督の眼前でブルペン投球を披露する予定だ。

 「岡田監督は勝利に対してすごく厳しい方だなというイメージがありますし、僕が勝利に貢献できたらいいなと思います」と話し、「カイル・ケラー投手には『どんな感じでやってるんですか?』とか『みんなどういう調子なの?』とか聞きたい。1軍も今すごくいい状態なので、いいタイミングで来たなと思います」と、前日から楽しみにしている様子だった。

サインを確認
サインを確認

■すっかり日本がお気に入り

 4日に来日してまだ1週間だが、早くも食事の面などすっかり日本が気に入っているようだ。朝食は自分で作るが、夕食は外食を楽しんでいるという。

 「食べものに関しては、出されたものすべてがおいしかった。アメリカでも日本食やアジア圏のごはんを食べてはいたけど、そっちより断然おいしい。甲子園の近くの焼き肉屋さんが一番よかったなぁ。あと、家の周りだったらメキシコやアメリカ、いろんな料理を置いているお店がお気に入り。日本食もちょっとあったりして、多国籍な感じかな」。

 食べものがおいしいって、なによりだ。異国でのストレスも軽減されるだろう。

 さらに、我々が辟易としているこの暑さにも「ベリーホット」と言いつつも、涼しい顔をして笑っているから驚きだ。

 「テキサス出身なので。テキサスのほうが暑いし、湿気もある。40度近い気温でさらに湿気のあるところにいたら体が慣れる。今、(鳴尾浜の)この感じは湿気がそんなにないから、過ごしやすいなと思います」。

 なんと、“灼熱地獄”の鳴尾浜を「過ごしやすい」とは!なかなかのツワモノではないか。環境の変化に適応できるというのは、異国で活躍するための大きな要因でもある。

暑い中でもはつらつと
暑い中でもはつらつと

■早く家族が来られますように…

 ただ、そんなブルワーにも一つだけ、淋しいことがある。家族と離れ離れなことだ。お子さんは2人いて、「17か月と6週間のベビーだよ。どちらも男の子なんで、女の子ができるまで頑張るよ(笑)」と冗談めかして話す。

 いずれは家族も来日する予定だが、生まれたばかりの赤ちゃんもいるので時期は今のところ未定だ。パパとしては、家族を迎える前にしっかり1軍で結果を出しておきたいところだろう。

 まずは週末のウエスタン・リーグの広島東洋カープ戦(鳴尾浜球場)で登板する予定だ。どんなピッチングを見せてくれるのか、非常に楽しみである。

【コルテン・ブルワー(Colten Brewer)*プロフィール】

1992年10月29日生(30歳)

193cm・100kg/右投右打/米国出身

出身校 :カントン高校

最終所属:ニューヨーク・ヤンキース(3A)

投内連係終了後、田中秀太コーチ(左)の話を聞く
投内連係終了後、田中秀太コーチ(左)の話を聞く

(撮影はすべて筆者)

フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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