「OHMATSU DAY」で盛り上がった福井ME!大松尚逸が見守る前で快勝だ!

「OHMATSU DAY」に快勝して、大松尚逸選手に恩返し

  大松尚逸は頼られている。

  大松尚逸は慕われている。

  そして…

  大松尚逸は愛されている。

 ―そんなことをあらためて感じさせてくれた「OHMATSU DAY(大松デー)」だった。

■「大松尚逸選手 特別イベント―OHMATSU DAY」

大松尚逸選手
大松尚逸選手

 千葉ロッテマリーンズでは生え抜きの主砲として、東京ヤクルトスワローズでは勝負強い代打の切り札として、NPBのセ・パ両リーグにわたって活躍した大松尚逸選手。今季はBCリーグの福井ミラクルエレファンツに籍を置いている。

 マリーンズ時代の先輩である田中雅彦監督が招聘したのだ。その技術、練習量、取り組む姿勢…そしてなにより人柄。大松選手がエレファンツナインに好影響をもたらしてくれるであろうことは、田中監督には容易に想像できた。

プレ始球式のあと記念撮影
プレ始球式のあと記念撮影

 これだけのビッグネームだ。福井球団にとっても宝である。

 「NPBで活躍された大松さんが、せっかくうちの球団に来てくださったのだから、何もしないのはもったいない。県外の人にも知ってもらえると思い、企画しました」と、広報担当の鈴木小町さんが紹介してくれたのが『大松尚逸選手 特別イベント―OHMATSU DAY』だ。

OHMATSU DAY
OHMATSU DAY

 「その日全体を大松選手一色にしようと、田中監督とも相談して3日間の日程を決めました」と、鈴木さんもさまざまなイベント内容を考え、SNSで発信した。

 「ロッテファンやヤクルトファンの方々からもツイッターなどですごく反応があって、球場に来ることはできなくても拡散してくださったりしたのは本当にありがたかった」と、その広がりを喜ぶ。

オシャレなロゴ
オシャレなロゴ

 6月28日、7月6日に続いて、夏休み最後の日曜日である8月25日に「OHMATSU DAY FINAL」が開催された。

 受付ブースには多数の“OHMATSUグッズ”が並べられ、グルメコーナーでは唐揚げや飲みものがオリジナルロゴ入りの限定のパッケージで販売された。テントやスタンドに上がる階段にも、「OHMATSU DAY」のロゴが飾られた。

大松選手を囲んでティーパーティ
大松選手を囲んでティーパーティ

 練習後には抽選で選ばれた3人のファンとのティーパーティが、試合直前には同じく抽選によるファンとのグラウンドでの記念撮影がそれぞれ行われた。

 ティーパーティでは話が盛り上がり、大松選手と過ごすひとときを堪能できたようだ。記念撮影も普段は入れないグラウンド内とあって、ファンにとっては貴重なショットとなった。

第2号ホームランボールが当選!「隠しとく(笑)」と喜ぶ小3のボク
第2号ホームランボールが当選!「隠しとく(笑)」と喜ぶ小3のボク

 五回終了時には抽選会が開催された。景品はなんと大松選手のサイン入りユニフォーム、第2号と第3号のホームランボールという豪華なものだった。

 ちなみに第1号のホームランボールは大松選手本人が所持している。「家で背中や足の裏のマッサージに使ってるんだけどね(笑)」。

 普通は記念に日付などを書き入れるものだが、なぜか荒道選手にアンパンマンやカバの落書きをされたそうだ。大松選手にとって記念のひとつになっていることは間違いない。

サインに撮影に大忙し
サインに撮影に大忙し

 試合後はいつものように、球場外でファンのお見送りをする。ここでも大松選手は大勢のファンに囲まれ、サインや写真撮影に応えていた。

 マリーンズ時代からの長きにわたるファンが多く、遠方から駆けつけたファンは名残惜しそうに、いつまでもそこに佇んでいた。

 まさに“大松尚逸一色”の一日だった。

■「OHMATSU DAY」の日に負けるわけにいかねぇ

試合出場は叶わず…
試合出場は叶わず…

 ただ残念だったのは、大松選手本人が試合に出られなかったことだ。本来なら4番にドーンと座ってゲームで暴れまわるところを見せるはずだったが、あいにく8月17日の試合で左膝を故障してしまったため、出場は叶わなかった。

 しかしそこで奮起したのが、これまで大松選手にお世話になってきたエレファンツナインだ。「OHMATSU DAY」の日に負けるわけにはいかねぇとばかりに、必死に戦った。

ベンチの奥から戦況を見守る
ベンチの奥から戦況を見守る

 まず四回だ。工藤祐二朗選手が二塁打で出塁すると、続く荒道好貴選手が2ランで先制点を叩き出した。相手の富山GRNサンダーバーズに1点を返されたあとも即座に五回、澤端侑選手のタイムリーと清田亮一選手の犠牲フライで追加点を挙げた。

 投げても小澤将伍投手がテンポよく打たせて取り、6回を2失点(自責は1)。そのあとを楊鑄真原田宥希高橋康二の3投手が無失点でリレーし、みごと勝利した。小澤投手は6勝目、高橋投手には7セーブ目が記録された。

 まさに投打が噛み合った快勝だったが、そこには選手たちの大松選手への感謝の気持ちが溢れていた。

■大松選手からエレファンツナインへ

試合後、ナインの前で語った
試合後、ナインの前で語った

 お見送りのあと、ベンチでは恒例のミーティングが開かれた。実は大松選手、左膝の治療のために一旦、チームを離れる。そこで選手たちの前に立ち、熱く語りかけた。

 「約6ヶ月くらいですね、みなさんと一緒にプレーさせてもらって。今日の試合を見て、すごく心強かった」と、まずは選手たちのプレーを讃えた。

「年下だけど尊敬している」と田中雅彦監督
「年下だけど尊敬している」と田中雅彦監督

 「最初はみなさん自身も歯がゆい部分もあったと思いますし、僕自身もみなさんに難しいことを投げかけることが多々あった。そうやって投げかけたことがちょっとずつみんなの中で意識して、その意識したことがちょっとずつ練習でできるようになって、練習でできることがちょっとずつゲームでできるようになって、ゲームでできたことがまた自分の自信になって…。今日の試合なんか、すごいその意識が僕にも伝わってきたんで、そういう気持ちを今後も忘れずにやってほしい」。

 見ていて本当に嬉しかったのだ。そしてNPBを目指す選手たちにこんな言葉を贈った。

グラウンドでのファンとの記念撮影
グラウンドでのファンとの記念撮影

 「NPBを目指すなら、自分の課題や弱点について考えられる、またその弱点をしっかり見極めて克服できる気持ちを持って日々過ごすこと。これが野球じゃなくて社会人ってなったときにも絶対に生きることなんで。こうやって好きな野球をできている今のうちから、そういうような考え方とか取り組み方、行動、そういうところを意識してやってほしい」。

 また、今後の取り組み方のアドバイスとして、こんなことも言った。

ティーパーティで笑顔が弾ける
ティーパーティで笑顔が弾ける

 「他人を変えるにはまず自分が変わんなきゃダメだと思う。打席の中でも、自分が変わんないことにはピッチャーの配球も変わんないし、ピッチャーの意識も変わらない。でも、自分が変わればピッチャーの配球も変わるし攻め方も変わってくる。そうすると次のステップがくる。

 ピッチャーだってそう。バッターに対して同じような攻め方でボンボン打たれてたりしたら…自分が変わんない限りはバッターも変わらない。

 変わることの重要性、変わることに恐れてほしくない。まだまだみんな若くて、これからどれだけの伸びしろがあるかわからない。無限の可能性があるんで、縮こまってほしくないし、自分でこんなもんだなって思ってほしくない」。

 もっともっと大きくなってほしい―。そんな思いを込めて、熱弁をふるった。

田中監督とはマリーンズ時代からの長い付き合い
田中監督とはマリーンズ時代からの長い付き合い

 「みんなで千羽鶴、折ろう、な。みんなで千羽鶴折って、持っていこうぜ(笑)」と茶化しながらも、淋しそうだった田中監督。

 「大松尚逸」を野球人としても、ひとりの人間としても尊敬しているのだ。

 そして大松選手がナインにもたらしてくれた功績に対し、非常に感謝している。

■福井球団に感謝

カップにもOHMATSU DAYロゴが…
カップにもOHMATSU DAYロゴが…

 この「OHMATSU DAY」の開催によって、これまでの大松ファンも福井まで来るきっかけができた。遠く千葉から、東京から、静岡から、岐阜から…と何人ものファンが訪れた。

 「球団の社長、関係者の方にはほんとに感謝している。こういう機会を設けていただいたことによって、また自分の元気な姿をファンの方々にお見せすることができたっていうのは、選手冥利に尽きる」。

 福井球団への感謝の言葉を何度も何度も繰り返した。

抽選のクジを引く
抽選のクジを引く

 「そういう中で、本来ならばケガなく元気なプレーを見せることができれば一番よかったんだけど。まぁ毎日一生懸命プレーしている以上、いつどこでケガがあるかわかんないんで、それはしかたないことなんで。でもこうやってみなさんと目と目を合わせて、また話ができたっていうのはすごく大きかったなと思う」。

 訪れたファンも「静かだけれど芯が通っている。やるときはやる人」「2010年のイメージが強い。現地でサヨナラタイムリーとか見て好きになった」「勝負強いところとファンサービスに熱心なところが好き」などと、大松選手の魅力を口々に語ってくれた。

 今なお、さまざまな人々を魅了している大松選手。ずっと変わらず応援してくれている人、そしてまた、この福井に来たことによって新たにファンになってくれた人…。彼らの存在もまた、大松選手をここまで奮い立たせてくれた一因だ。

 今後、手術という運びになるが、これまでもアキレス腱断裂などの大ケガから復活した“不屈の男・大松尚逸”だ。

 リハビリを経て、再び元気な姿で現れるのを待ちたい。

(撮影はすべて筆者)