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プロの第一歩・・・阪神タイガース新人選手の入寮あれこれ。過去にはあんなことやこんなことも…!!

土井麻由実フリーアナウンサー、フリーライター
タイガースの独身寮「虎風荘」

■今年のルーキーたちの持ち物は・・・?

年が明けたこの時期、プロ野球界で“風物詩”となっているのが新人選手の独身寮への入寮だ。阪神タイガースでも1月6日、新人5選手が「虎風荘」に入寮した。

その際、毎年話題になるのが“持ち物”。以前は「嫁入りか!」というくらい多くの荷物とともにお引越ししてくるといった感じだったが、近年は最小限の物だけ送り、電化製品などは入寮後に連れ立って買い物に行くというように様変わりしている。

そんな中、「どうしてもこれだけは」と持ち込んだ物に興味が集まる。今年のルーキーでは、ドラフト2位・石崎剛投手のアロマ、同4位・守屋功輝投手のけん玉、そして同5位・植田海選手の信楽焼の狸(タイガースバージョン)が注目を浴びた。

登板前夜、興奮してなかなか寝つけないという石崎投手。音楽を聴くなどしたが効果がなく、アロマに行き着いたという。この香りを嗅げば寝付きもよく安眠でき、パフォーマンス向上に役立っているそうだ。

守屋投手のけん玉はなかなかの腕前で、1級の技「日本一周」「世界一周」などができると胸を張る。(いや、正確には“できた”だが…。)近頃、集中力を高める為、練習や試合の前にけん玉を取り入れるアスリートが増えてきたが、守屋投手も「気分転換になりますし、集中力も高まります」と、積極的に使いたいと話している。

植田選手の狸はペットボトル大の小ぶりなサイズで、タイガースの帽子をかぶりタテジマのはっぴを着て「優勝」の絵馬を持っている。地元の名産品を持ち込むなんて、若いのに郷土愛に溢れている。

■過去にはこんな物が!!

梅野選手の4色のキャッチャーミット
梅野選手の4色のキャッチャーミット

振り返ってみると毎年、何がしかの面白い物にお目にかかる。昨年は梅野隆太郎選手がそれぞれ色の違うミットを4つ持ってきたことに注目が集まった。「ピッチャーの好みも色々あると思うので」と、カラーリングの情報も仕入れて色を増やしてきたと話した。さすがキャッチャーだ。

山本翔也投手は「お世話になった会社なので、その恩を忘れないようにしたい」と、出身の王子の製品であるティッシュを持って来て、同期の選手に配っていた。

身長197cmの藤浪投手でも余裕の特注ベッド
身長197cmの藤浪投手でも余裕の特注ベッド

一昨年の注目は藤浪晋太郎投手だった。話題になったのは、持ち物ではなくベッドだ。虎風荘の各部屋には備え付けのベッドと机、クローゼットがある。ベッドは畳が敷いてあるタイプで通常より20cm長い特注品なのだが、藤浪投手のそれは、更に20cm長くカスタマイズされた。

藤浪投手の同期・金田和之投手は、前代未聞のこたつとの入寮だった。大学時代に愛用していたものだそうで、金田投手のふんわり感と妙にマッチしていた。しかし翌年には「面倒くさい」と出さなくなり、現在は「必要ないことに気づき、捨てました(笑)」とのこと。冷暖房完備ですもんねぇ。

こたつが似合う金田投手
こたつが似合う金田投手

同じく同期の北條史也選手はお香を持ち込んだ。女子っぽいなぁと思っていたら、その前の年の西田直斗選手は大好きなダッフィーのぬいぐるみや香水を持って来ていた!翌日の新聞には「オトメン」の文字が踊り、友達に散々からかわれたそうだ。ちなみにダッフィーちゃんたち、今も大切に飾っているそうだ。

“定番”はチームメイトの寄せ書きだが、お世話になった恩師の書などもある。伊藤隼太選手は見事な書を披露してくれた。これらは部屋の壁に飾ってあるそうだ。

恩師の書を掲げる伊藤隼選手
恩師の書を掲げる伊藤隼選手

更に昔に遡ってみると…こんなことがあった。入寮取材をしているところに大型トラックがやって来た。ボディを見ると、某有名インテリアショップのものだ。我々が見つめる中、トラックから担ぎ出された巨大な物はウォーターベッドだった。寝ている時の体圧を分散させたり温度調節をしてくれたりという優れモノ。このベッドの主は、15歳でドラフト指名された辻本賢人投手だった。家でずっと使っていて良かったからと、寮用にも新調したのだ。体が資本の野球選手。睡眠は大事ですもんね。

赤松真人選手も体の為にとマッサージチェアを運び込んだ。しかし残念なことにサイズが大き過ぎたとのことで、お父さんが再び車に積んで持って帰られた。

■あの一流選手はこんな物を・・・!

そして最も強烈な思い出として残っているのは、赤星憲広選手が持って来た鈴木亜美さんの等身大のポスターだ。当時人気絶頂のアイドルだった鈴木亜美さんのファンクラブにも入会するくらい大ファンだったという赤星選手は、ポスターを丁寧にくるくると丸めて大切に持ち込んだ。

今、改めて話を聞くと、「もぉ〜っ、それ蒸し返します〜?横山クンなんて『裸一貫で入寮!』とかカッコイイのに、ボクのそれ、話題にします〜?」と苦笑しながらも、その当時いかに好きだったのかを熱く語ってくれた。

鈴木亜美さんはテレビ番組のオーディションの最終電話投票審査で優勝し、晴れてデビューとなったのだが、「後輩たちを総動員して電話かけまくりました!」と、その電話投票に多大なる力を注いだのが社会人時代の赤星選手だったのだ。接戦だったというから、鈴木亜美さんのデビューは赤星選手の奮闘に依るところが大きかったかもしれない。それくらい思い入れのあるアイドルだから、入寮の際にも等身大ポスターは欠かせなかったようだ。

ちなみに今年のドラフト1位・横山雄哉投手は赤星氏の言葉にあるように、新調したグラブと服などの最小限の物のみで入寮した。社会人時代に使っていた野球用具や電化製品のみならず、愛車までもチームメイトに譲り、「一からじゃないけど、そういう気持ちで」と新しいスタートを切った。

期待と不安を胸に入寮した選手たちが、これからどのように飛躍していくのか楽しみだ。

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フリーアナウンサー、フリーライター

CS放送「GAORA」「スカイA」の阪神タイガース野球中継番組「Tigersーai」で、ベンチリポーターとして携わったゲームは1000試合近く。2005年の阪神優勝時にはビールかけインタビューも!イベントやパーティーでのプロ野球選手、OBとのトークショーは数100本。サンケイスポーツで阪神タイガース関連のコラム「SMILE♡TIGERS」を連載中。かつては阪神タイガースの公式ホームページや公式携帯サイト、阪神電鉄の機関紙でも執筆。マイクでペンで、硬軟織り交ぜた熱い熱い情報を伝えています!!

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