■2003年以来のタイガース対ホークスの日本シリーズ

2014年度のプロ野球日本シリーズは明日25日に開幕する。タイガースの相手はホークスに決まった。現在のソフトバンクの前身、ダイエーとは2003年、日本シリーズの舞台で相まみえ、タイガースは敗れた。

当時プレーしていた選手は、タイガースにも僅かしかいない。関本賢太郎選手も「あんま覚えてないんよなぁ、正直なところ」と笑う。もちろん悔しかった記憶は残っている。「やり返す気持ちはある」と意気込む。しかし「チームもユニフォームも違うしね。どっちもメンバーも違うし」と、必要以上に気負うこともないようだ。

今年のホークスを「巨人のようなチーム」と評する関本選手。「いいピッチャーが揃っていて、バッターの破壊力もある。投打のバランスがとれている。去年の楽天のマー君のような突出した選手がいて、その選手を中心にして回っているというようなチームではなくて、チーム全体、選手個々のレベルが高いので、強い戦い方をしているなぁというイメージやね」。実際、パ・リーグの打撃10傑に5人の選手がランクインしており、チーム打率・280、チーム出塁率・344、チーム長打率・396はすべてリーグNo.1。チーム防御率も3・25で同2位だ。

会話の中で関本選手は「巨人のようなチーム」と何度か繰り返したが、そのジャイアンツをクライマックスシリーズのファイナルステージで4連勝という圧倒的な強さで下したのはタイガースだ。だから「今すごく、ウチは雰囲気がいいんよ」と笑顔がこぼれる。決戦を前にしても、リラックスしているのが伺える。「普段と変わらんで、みんな(笑)」。ファイナルステージでの戦いが自信になっているのか、関本選手だけでなくチーム全体に、どっしりとした余裕のようなものが感じられる。

■代打の極意とは・・・

今季は「代打の神様」の称号を授けられた。タイガースでは勝負どころでの代打の切り札は「神様」と呼ばれる。八木選手から桧山選手へと受け継がれ、今季から関本選手がその重責を担っている。「代打っていうのは去年もそうやったし変わらんけど、桧山さんが引退して、やっぱりより重みは感じるかな」と話す関本選手。「でもそれが、いい集中力に繋がっているっていうのはあるかな」。ここぞという時の勝負強さは、集中力の結集でもある。

7月のジャイアンツ戦では、二死満塁から代打逆転満塁ホームランも放った。球団史上、代打満塁弾は2007年の桧山選手以来、そして代打逆転満塁本塁打となると2002年の八木選手以来。まさに神様の仕事なのだ。

ただ毎回、結果が出るわけではない。大事な場面で打てない時だってある。チームの勝敗を握る打席で凡退した後の切り替えは、さぞや難しいのではないだろうか。そう思って尋ねてみると一言。「切り替えはない」。

切り替えないとはどういうことか。引きずったままで次の試合、次の打席を迎えるのか。キョトンとしていると真意を明かしてくれた。「代打なんて打てないもんやと思っている。たとえ凡打しても『あぁ、やっぱり打てんかったな。こんなもんやな』と、ガッカリはしない。むしろ打った時に『打てた』って、ちょっと喜ぶという感じかな。だから切り替えというのはないんや」。

なんと深い。決して心を波立たせないのだ。経験の積み重ねで体得したものなのだろうが、こういったメンタルコントロールこそが、「代打の神様」と称される所以なのだろう。

■さらに進化を目指す

また、そこに至るまでの準備にも抜かりがない。早くからグラウンドでランニングをし、全体練習の前には若手選手に混じって室内練習場で早出のバッティングをする。グラウンドでは内野ノックを欠かさない。バッティング練習でも様々な工夫をする。1打席のために、いや、その日出番があるかどうかもわからない。それでも毎日、変わりない練習をする。

今年、バッティングフォームも大きく変えた。「最短距離でバットが出せるように」と自ら取り組んだのだが、「毎年、試行錯誤はするものだけど、セキからは1打席に賭ける思いが伝わってくるよね。常に現状に満足しないし、もっと上へいこうと進化を目指している」と、コーチ時代から見守ってきた和田監督も舌を巻く。

また和田監督は「セキはレギュラーを張ってからの代打。レギュラーの経験が生かせている。配球はもちろんなんだけど、状況の読み方もね」と、経験に裏打ちされた“読み”も絶賛する。

関川打撃コーチは「狙い方がいい。経験と観察によるものなんだけど、ベンチで相手をよく見ている。漠然とではなく、常に自分が打席に立ったことをイメージして見ている。だから見る視点がいいよね」と言い、高橋打撃コーチも「今年は、自分がリーダーにならなきゃとい気概が見える。それが行動や姿に現れている。コーチじゃないから指示するわけじゃないけど、後輩たちはセキの準備の仕方とか、見ているからね」と評価している。

天理高校からプロ入りして18年目。2010年オフにはFA宣言したが、「甲子園の打席に立つということは何ものにも代えられない。ボクの中で、タテジマ以外のユニフォーム姿が想像できなかった」と、タイガースに残った。

タテジマで、大好きな甲子園の打席で、「僕も3度目のシリーズ。そろそろ勝ちたいね」と、日本一への思いを沸々と煮えたぎらせている。

バッティング練習中の関本選手
バッティング練習中の関本選手