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サラマンダーズ小窪、千葉ロッテに電撃入団【九州アジアリーグ】

阿佐智ベースボールジャーナリスト
6月、途中入団でKAL初安打を放った小窪(写真提供・火の国球団)

 8月31日、火の国サラマンダーズの小窪哲也内野手が、NPB千葉ロッテマリーンズと契約を交わすことが発表された。小窪は2008年に広島カープに入団。昨年シーズン限りで自由契約となり、プレー先がなくなっていたところ、火の国サラマンダーズがオファーを出し、シーズン中の6月に入団していた。ここまで18試合に出場、57打数24安打で打率.421、1本塁打と独立リーグにあって格の違いを見せつけていた。

 ロッテは、現在パ・リーグ2位。8月は独走状態だった首位オリックスを猛追している。逆転優勝に向けて手薄な右の代打要員として経験豊富な小窪を獲得したかたちだ。

 復帰というかたちではあるが、今年スタートした九州アジアリーグからは初のNPB選手誕生。有望株が揃っているサラマンダーズにとっては、秋のドラフトに向けて吉兆となるビッグニュースとなった。

独立リーグ界をコロナが席巻

初の沖縄遠征を行ったB-リングスだったが、ブルーオーシャンズのコロナ騒動に巻き込まれたかたちとなった(写真提供・大分球団)
初の沖縄遠征を行ったB-リングスだったが、ブルーオーシャンズのコロナ騒動に巻き込まれたかたちとなった(写真提供・大分球団)

 めでたい知らせの一方、リーグはコロナにさいなまれている。

 8月にサラマンダーズ、B-リングスの両チームは、琉球ブルーオーシャンズとの交流戦を実施したが、ブルーオーシャンズの選手、コーチ複数名が九州本土遠征の際に夜の街で深夜まで接待をともなう飲食を行い、結果として15人の新型コロナ感染者を出してしまったのだ。ブルーオーシャンズの本拠、沖縄には緊急事態宣言が発令されている。その中での、遠征時の夜の街での飲食、クラスターの発生は、今後の活動に大きな影響を及ぼすことは間違いないだろう。

 ブルーオーシャンズのクラスターとの因果関係はわからないものの、サラマンダーズでも感染者が発覚、B-リングスも濃厚接触者のPCR検査実施のため、活動自粛に追い込まれた。その結果、8月20日から再開されるはずだったリーグ戦も中断となった。

 それでも徹底した感染防止対策を行い、活動自粛は8月末で解除となり、リーグ戦は再開となった。11日の試合で、サラマンダーズが勝利すると、サラマンダーズの優勝が決まる。

 独立リーグトップクラスといっていい豊富な戦力を誇るサラマンダーズを率いる細川監督は開幕当初から、2チームによるリーグ戦制覇よりも「独立リーグ日本一」を目標として掲げてきたが、これもコロナ禍にあって、実現不可能となった。8月31日、統括団体である日本独立リーグ野球機構は、昨年に続き日本独立リーググランドチャンピオンシップの開催見送りを発表した。

 最後にもうひとつ、コロナ騒動を起こしたブルーオーシャンズの主力選手だった、元ソフトバンク・中日の亀澤恭平内野手が8月31日、引退を発表した。一連の騒動に際しては、チームの活動停止を受けて、憤りをSNSで発信。「これ俺の野球人生終わりか」とのコメントを残していた。引退とコロナ騒動は関係ないと31日にはコメントしているので、8月末の引退は既定路線だったのかもしれないが、チームが活動停止のままの引退は、本人にとっても花道を失ったという点で不本意だったに違いない。

 ブルーオーシャンズは、沖縄県に発令されている緊急事態宣言の期限である12日までは活動停止。選手たちは自宅待機となっている。選手救済のためと、3人の選手をルートインBCリーグの茨城アストロプラネッツに「派遣」することを発表したが、緊急事態宣言のさらなる延長が囁かれる中、このままシーズンを終えてしまう可能性も否定できない。

ベースボールジャーナリスト

これまで、190か国を訪ね歩き、23か国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆のほか、NPB侍ジャパンのウェブサイト記事も担当した。プロからメジャーリーグ、独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌に寄稿の他、NTT東日本の20周年記念誌作成に際しては野球について担当するなどしている。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020、24カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。2024年春の侍ジャパンシリーズではヨーロッパ代表のリエゾンスタッフとして帯同した。

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