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愛媛マンダリンパイレーツ、リーグ記録の3打席連続本塁打を含む5ホーマーで圧勝

阿佐智ベースボールジャーナリスト
リーグ記録となる3打席連続本塁打を放ちダイヤモンドを一周する安西将輝(愛媛MP)

 6月12日の四国アイランドリーグplusで大記録が生まれた。

 今シーズン、なかなか波に乗り切れず最下位に低迷する愛媛マンダリンパイレーツ(愛媛MP)だが、新居浜市営球場に徳島インディゴソックス(徳島IS)を迎えた前期4回戦、ホームラン5本を集めて8対1で圧勝した。

開場と同時にスタンドに陣取る熱心なファン(新居浜市営球場)
開場と同時にスタンドに陣取る熱心なファン(新居浜市営球場)

 初回、徳島ISに1点を先制された愛媛MPだったが、その裏にまず仁木敦司(広島国際学院大)がライトスタンドへ先頭打者ホームラン。

 早々に追いついた愛媛は、2回には小田原将之(松山大)のソロで逆転。そして、2アウトからこの日8番に入ったキャッチャー、安西将輝(日本文理大)が、まずはこの日1本目のソロホームランをライトスタンドに叩き込む。前回に対戦していた徳島IS先発・間庭周人(飛龍高)に内角球で仕留められていたことを思い出し、まずはそこに来るだろうと振りぬいた。

徳島IS先発の間庭だったが、この日は4回5失点と愛媛MPのホームラン攻勢の前に試合をつくることができなかった。
徳島IS先発の間庭だったが、この日は4回5失点と愛媛MPのホームラン攻勢の前に試合をつくることができなかった。

 安西は、4回にも右中間に2ランを放ち試合を決める。本人曰く、「変化球にうまく対応できた」。さらに6回。初球に狙いを定め振りぬいた打球はライトスタンドへ一直線。徳島ISにとどめを刺す3ランとなった。

 昨年、アイランドリーグの門を叩いた安西は香川オリーブガイナーズに入団するも、控えに甘んじ、27試合の出場で打率.118に甘んじた。放った安打はたったの4本。新天地を求めて愛媛に移籍したものの、定位置確保には至っていなかった。前日のナイターでの先発マスクは、ライバルとも言える金高真大(環太平洋大)だった。逆転負けを受けて、回ってきたスタメンのチャンスを生かした。前日までシーズン3安打3打点だった男が、3ホーマー6打点の大暴れだった。1試合3ホーマー、3打席連発はいずれもリーグ記録だ。

安西将輝(愛媛MP)
安西将輝(愛媛MP)

 残念ながら4打席目は回って来ず、新記録の4打席連発は持ち越しとなった。試合後、お立ち台でそのことに話を向けられると、安西は「それは意識せず、やっていきたい」と言っていたが、本音はもちろん別のところにある。試合後のこのヒーローインタビューで初めて自身がリーグ記録に並んだことを知った安西は、ベンチ裏では「そりゃ、次も意識しますよね」と照れ笑い。「みんなの手前、ああ言ったけど、やっぱり狙いたいですね」。と虎視眈々だ。

 ちなみに、これまでの野球人生の中で3連発どころか連続ホームランじたいがなかったという安西。試合後のインタビューで、この日の打線の爆発に「勘違いして大味な振りにならないように」と次戦からの心配をしていた河原純一監督(元巨人など)をよそに、安西は、次の打席に新記録をかける。

ヒーローインタビューでは控えめな発言に終始していたが、やはり記録は狙っている。
ヒーローインタビューでは控えめな発言に終始していたが、やはり記録は狙っている。

 ちなみにプロ野球(NPB)の連続打席本塁打は、4打席。過去に「世界のホームラン王」・王貞治ら13人が達成している。これに加え、その他8人(ソレイタ/日本ハムは「4打席連続本塁打」も別に達成)が四死球を挟んだ「4打数連続本塁打」を記録している。

 なお、独立リーグでは、ルートインBCリーグの石川ミリオンスターズの宮澤和希が、2018年7月27日の対富山GRNサンダーバーズ戦で3打席連続ホームランを達成しているが、前年の8月12日の対福井ミラクルエレファンツ戦で、オリックスでもプレーした群馬ダイヤモンドペガサスのフランシスコ・カラバイヨが4打席連続本塁打を放っているので、これが日本の独立リーグ記録ということになる。

 さらに視野を広げると、上には上がいるようで、マイナーのテキサスリーグでは、1902年に8打席連続本塁打が記録されている。カナダ生まれのニッグ・クラークという捕手が1試合で打ち立てた記録というから、よほどの相手投手が撃ち込まれたのだろう。

愛媛MPの圧勝を示す新居浜市営球場のスコアボード
愛媛MPの圧勝を示す新居浜市営球場のスコアボード

 愛媛MPは、今日13日も新居浜市営球場で試合を行う。同じく徳島ISを迎えてのダブルヘッダーが予定されている。1試合目のプレーボールは11時となっているから、「新記録」をその目に焼き付けたい人はぜひとも足を運んでいただきたい。また、愛媛MPでは、試合のネット配信も行っているので、それで「歴史的瞬間」を視聴することも可能だ。

(文中の写真は筆者撮影)

ベースボールジャーナリスト

これまで、190か国を訪ね歩き、23か国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆のほか、NPB侍ジャパンのウェブサイト記事も担当した。プロからメジャーリーグ、独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌に寄稿の他、NTT東日本の20周年記念誌作成に際しては野球について担当するなどしている。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020、24カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。2024年春の侍ジャパンシリーズではヨーロッパ代表のリエゾンスタッフとして帯同した。

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