プロ野球、ファームもWithコロナでシーズンゴールへ。大阪・舞洲で行われた「ジュニア関西ダービー」
東京五輪の熱狂に包まれるはずだったのが、ふたを開けてみれば、新型コロナに振り回された2020年のスポーツ界。プロ野球も全世界的に困難に見舞われた。海の向こうでは、マイナーリーグとメキシカンリーグが休止。メジャーリーグは60試合という例年の半分以下のレギュラーシーズンを行うべく世界中のプロ野球リーグで最も遅い開幕を迎えたが、一番早くワールドシリーズに突入しようとしている。国を挙げてのコロナ対策が功を奏したアジア各国の野球リーグは、100試合以上のペナントレースを行ったが、韓国、台湾ともレギュラーシーズンの最終盤を迎えようとしている。
日本のプロ野球もいよいよレギュラーシーズンのラストスパートの時期に入っているが、ファームもシーズン最終盤に差し掛かっている。今年のプロ野球ファームは、一軍に合わせ6月19日に開幕、交流戦含め各チーム92~98試合を戦い、東のイースタン、西のウェスタンそれぞれのリーグのチャンピオンを決め、例年通り宮崎でファーム日本選手権を行うことになっている。
観客の扱いについては様々だ。関西のオリックス、阪神両球団の場合、オリックスは大阪・舞洲にあるオセアン・バファローズスタジアムでの主催ゲームにおいて、ソーシャルディスタンスに考慮しながらチケットの販売を行っている(前売りのみ)。社会情勢を鑑みて10月に入り観客数を増やしているが、それでも近年のファーム観戦の需要の高まりもあって、開幕以来全試合で完売状態が続いている。
一方の阪神は、鳴尾浜球場でのファーム公式戦はすべて無観客試合で実施、メディアに対してもかなりの制限がなされている。
ともに球場の収容人数は500と小さいのだが、阪神の方は、普段からファーム戦のチケット販売を行っていないこともあり、観客の管理ができないということなのだろう。
オリックスの「虎の穴」、舞洲スポーツアイランド
オリックスバファローズのファームの本拠は一軍の本拠、京セラドーム大阪の目と鼻の先にある舞洲という人工島のスポーツコンプレックスにある。大阪の高校野球のメッカ、大阪シティ信用金庫スタジアム(シティ信金スタジアム)に隣接するオセアン・バファローズスタジアムがそれだ。2015年シーズン後、オリックスは神戸から大阪への移転の総仕上げとしてファーム施設の移転を行った。京セラドームを保有するグループ企業、大阪シティドームが大阪市が保有していたシティ信金スタジアム(当時の名称は舞洲スタジアム)を買収。周辺を含めた土地の50年にわたる定期借地権を取得し、2016年シーズンを前にアマチュア用のメイン球場に隣接してファーム専用球場を新設したのだ。
大阪湾に面する人工島に位置するため、公共の交通機関では少々不便だが、自動車でなら京セラドームまではすぐ。一二軍の選手の入れ替えや一軍首脳の視察にも便利とあって、一軍の選手も頻繁に調整に利用している。
見どころが多い「ジュニア関西ダービー」
昨日20日。平日のデーゲームにもかかわらず、バファローズスタジアムには多くのファンが来場していた。若い選手の多いファームとあって、女性ファンの姿が目立つ。
この日の対戦相手は同じ関西に本拠を置く阪神。普段から小さなスタンドが札止めになる人気カードだ。この日のスタンドもある程度入場制限がなされているはずだが、見たところほぼ満席になっている。
阪神の先発は斎藤友貴哉。一方のオリックスは一軍のローテーション投手、山崎福也。先週の福岡でのソフトバンク戦に先発して6回3失点の後、登録抹消となっていた。この日の登板は次回一軍先発のための調整登板だろう。山崎は「一軍」の投手らしく阪神のファーム選手に格の違いを見せつけ、6回を1失点で試合をつくった。
その山崎から1点を先制したのは、先日一軍初安打を放った高卒ルーキー井上広大のバットだった。この日一軍は甲子園でのナイター。初安打を放ったものの、通算では10打数1安打。上では打席にも立つ機会が限られる中、実戦感を養うため、一軍に籍を残しながらの「ダブルヘッダー」だった。井上は2打席目、ランナーを2塁においてクリーンヒット。第3打席は三振に倒れたものの、第4打席でも安打を放つと、いい感触を残したまま甲子園の一軍戦へと向かっていった。
この他、阪神のメンバーには先日のコロナ騒動で登録を外れていた陽川尚将、木浪聖也、江越大賀らの面々も名を連ね、溌溂としたプレーで一軍復帰に備えていた。とくに江越は、7回表にオリックス2番手飯田優からダメ押しとなる2号3ランを左中間に放ち試合を決めた。
一方の、オリックスは一軍同様、打線の弱さが目立った。4番にはシーズン序盤にサヨナラホームランを打つなど活躍したロドリゲスが座るも、いいところなし。阪神が繰り出す4投手を前に2安打完封を喫していた。
その中で、井上と同じ高卒ルーキー、紅林弘太郎の軽快な動きが目立った。この日ショートのスタメンに入った紅林は、その大きな体から受ける印象に反して、素早い動きで打球をさばき、次世代の大型ショート誕生に期待を抱かせた。
(写真は全て筆者撮影)