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侍ジャパンシリーズで大活躍。オリ戦士たちのシーズン前激励パーティー

阿佐智ベースボールジャーナリスト
13日に大阪市内のホテルで行われたオリックス・バファローズ激励パーティー

大盛況、オリックス・バファローズ激励パーティー

 例年、シーズン開幕が目の前に迫ったこの時期、オリックス・バファローズは、スポンサー、シーズンシート購入者を中心とするファンを招いて「激励パーティー」を行う。ファン・支援者を大事にする球団の姿勢そのままに、このパーティーの参加者は年々増え、今年は会場を歩き回るのも難しいほどだった。

 パーティーの冒頭で行われる宮内オーナーのスピーチでは、今シーズンのチームの前評判は決して良くないと半ば自虐的なセリフも飛び出した。しかし、先日、本拠・京セラドーム大阪で行われた野球日本代表の強化試合・ENEOS侍ジャパンシリーズでは、オリックス勢が大活躍とあって、金子(日本ハム)、西(阪神)、中島(巨人)といった主力の流出にもかかわらず、場内は今シーズンへの期待と熱気に包まれていた。

 オーナーに続いてスピーチに立った後援会長からも、「オリックスには、日本代表、メキシコ代表双方の4番がいるから大丈夫」との言葉があったように、侍ジャパンシリーズでもオリックス勢の活躍もあって、参加者一同は、新体制となった今シーズンのオリックス・バファローズに大いに期待していた。

ファンにとっては夢のような時間、目の前に選手が

 このパーティーには、毎年監督、コーチングスタッフ、選手一同が参加し、参加者をもてなす。オープン戦の最中ともあって、選手にはかなりの負担にはなっているだろうが、やはりファンあってのプロ野球、各テーブルに陣取った選手たちは時間の許す限り、写真撮影やサインなどのファンサービスに応じる。

 この場で、サインにどれだけの列ができるかというのは、各選手の活躍度を示すバロメーターである。主力選手、人気選手の前には長蛇の列ができるが、二軍でくすぶっている選手になると、ファン配布用に球団から手渡されたベースボールカードをもてあましてテーブルで所在なく過ごすことになる。そんなところにもプロ野球の世界のシビアな現実が垣間見られる。

 さすがに侍ジャパンシリーズメンバーの前には、人だかりができていた。

大人気の侍戦士

大城晃二内野手
大城晃二内野手

 まずは、大城晃二。イケメン選手として元々女性からの人気は高かったが、この日も、選手がゲストテーブルへ向かう合図となる乾杯の音頭の前から多くのファンが、大城の名が掲げられたテーブルに陣取っていた。侍ジャパンシリーズでは、第2戦の途中出場で2三振と悔しい結果に終わったが、本人が登場すると、ファンから早速、「侍ジャパンお疲れさまでした」の声がかけられていた。

山本由伸投手
山本由伸投手

 

 続いて、山本由伸投手。昨シーズンはセットアッパーとして大活躍、32ホールドを記録した。オールスターにも出場したものの、その直後に疲労もあり、ファームでの調整を余儀なくされた。そのこともあって、昨オフは、U23ワールドカップでも日米野球でも侍ジャパン入りはならなかったが、先日の侍ジャパン初登板では2イニングを無失点2奪三振と危なげなく抑えた。秋のプレミア12、続く東京五輪での代表入りが期待される。

 彼もまた若くてイケメンとあって、女性ファンを中心に多くのファンに囲まれていたが、笑顔を絶やさず、気さくに応じていた。今シーズンは、先発に転向し、2本柱の抜けた穴を埋める。

山岡泰輔投手
山岡泰輔投手

 その山本を上回る人だかりができていたのが、第1戦で山本と同じく2番手としてマウンドに上り、2イニングを無失点3奪三振のピッチングを披露した山岡泰輔だ。あまりの人だかりの多さに球団広報が交通整理をしている。他の選手の場合、パーティーということもあり、サインも数点OKで写真も一緒に撮れるのだが、あまりの人気に、並んでもらったすべてのファンにいきわたるよう、「サインは1点のみです」とアナウンスされていた。昨年までは、金子、中島といったイケメンベテラン選手に女性ファンの長蛇の列ができていたが、今年からは、山岡、山本の投手コンビが、ローテーションだけでなく、女性ファン獲得の両輪になっていくだろう。

知名度急上昇、日本、メキシコの両主砲

メキシコの4番、ジョーイ・メネセス
メキシコの4番、ジョーイ・メネセス

 侍ジャパンシリーズで、最もその知名度を上げたのは、敵方・メキシコの主砲として2試合計8打数5安打、そのうちツーベースが4とまさに大暴れしたジョーイ・メネセスだろう。通常、1年目の助っ人外国人選手にはさほどファンも殺到しないのだが、あの大活躍を見せられるとファンの足も彼のいるテーブルに向くというものだ。早速彼の背番号が刺しゅうされたレプリカユニフォームを手にしたファンは、それにサインをもらい記念撮影をしてご満悦の表情。昨年のアメリカ3A二冠王は、日本でも十分やってくれるだろう。

ジャパンの新4番、吉田正尚外野手
ジャパンの新4番、吉田正尚外野手

 そしてなんといってもジャパンの4番、吉田正尚。5打数4安打7打点、2試合目の初回には早々と試合を決める満塁ホームランと、侍ジャパンシリーズで「全国区」になったといっていいだろう。それまでジャパンの主砲だった筒香(DeNA)のメジャー移籍が取り沙汰されている中、この秋からの国際大会での侍ジャパンの「顔」となる可能性が高い。

 外国人特有の「動く球」を引き付けて捉え、遠くにはじき返す技術とパワーを兼ね備えた打者はなかなかいない。新しい「ジャパンの顔」に、もちろんファンは殺到。彼だけは、テーブルにつかず、舞台前に設けられた柵沿いにファンが並んでサイン会が開かれていた。

 宮内オーナーは、「チームからスターが去っていったが、ここに新しいスターたちがいます」と選手を紹介した。その言葉どおり、侍ジャパンシリーズでは、オリックスのニュースターたちが躍動した。オーナーの「毎年同じことを言っていますが、もう一度騙されてやってください。今年は期待できます」の言葉を信じて、この夜集まったオリックスファンは、開幕を待ちきれない様子だった。

(文中の写真は筆者撮影)

ベースボールジャーナリスト

これまで、190か国を訪ね歩き、23か国で野球を取材した経験をもつ。各国リーグともパイプをもち、これまで、多数の媒体に執筆のほか、NPB侍ジャパンのウェブサイト記事も担当した。プロからメジャーリーグ、独立リーグ、社会人野球まで広くカバー。数多くの雑誌に寄稿の他、NTT東日本の20周年記念誌作成に際しては野球について担当するなどしている。2011、2012アジアシリーズ、2018アジア大会、2019侍ジャパンシリーズ、2020、24カリビアンシリーズなど国際大会取材経験も豊富。2024年春の侍ジャパンシリーズではヨーロッパ代表のリエゾンスタッフとして帯同した。

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