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あまちゃんで33億円、“じぇじぇ!”は地域活性化に貢献できるか

安藤光展サステナビリティ・コンサルタント
あまちゃんで復興支援はできるのか?

何かと話題のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」。

今月の始めに、「NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の放映に伴う岩手県経済への波及効果(PDF)」というデータが出て、さらに昨日、「<あまちゃん>じぇじぇじぇ!視聴率23.9% 今作最高をまた更新」という高い視聴率をマークした話もありました。

「行列のできる店に、行列ができる」的な群集心理が、人気に拍車をかけております。

さて、今回は「あまちゃん」が岩手県に経済効果として約33億円の効果というデータがありましたが、地域活性化として今後どんな展開があるか考えてみます。

地域活性化の事例

地域活性化には毎度登場する話ではありますが、このテレビ(ドラマ、アニメなど)の短期的な影響をどれだけできるかがポイントと言われます。でも、普通にしてれば実際不可能に近いんですよ。そもそも観光客が来る、ポテンシャルが高い地域はすでに観光資源がある所ですからね。それを言うと元も子もないので、いくつか事例を見てみましょう。

実在の町が舞台の「ご当地アニメ」で町おこしをする!という動きはちょくちょく見聞きします。

「らき☆すた」(チバテレビなど、07年4~9月放送)。舞台の埼玉県久喜市(当時は鷲宮町)には、 作品の世界観を体感しようとファンが殺到。放送終了後も断続的にファンが来ていたので、商工会がグッズ販売などに乗り出し、08年5月までの半年間で約4000万円の経済効果を町にもたらしたそうです。

登場する神社のモデル、鷲宮神社にはファンが「聖地巡礼」に訪れ、初詣客は07年の13万人が12年はなんと47万人になったとか。ここまで盛り上げられれば上々でしょう。

人工知能にゲームで戦う親子・親族の絆を描いたアニメ映画「サマーウォーズ」(09年)に描かれた長野県上田市(僕の親戚がいます)。

映画に登場する上田電鉄などに今でも多くのファンが訪れているとか。まぁ、あの新幹線で降りると、駅前何もないんですよね。ロータリーは近代的ですけど。田舎なんてそんなものといえばそんなものなんですよね。

ただ、映画というメディアのせいかわかりませんが、そこまで大きな経済効果は生まれてないようです。観光客が1万人増えたかどうか、くらいだそうです。

秩父エリアを舞台にした大人気アニメーション映画「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(2013年8月31日全国ロードショー)はテレビアニメは以前に終了してますが、映画が来週から公開というだけあって、まさに今、地域活性化をしている最中といった所のようです。

サイバーエージェントと西武鉄道、秩父の地域活性化を目的に  “スマホ×アニメ×街”をテーマにしたO2Oキャンペーン「あの花Smile Check-in」を実施」という動きもあり、大手ウェブ系企業と地元であの手この手で仕掛けを色々作ってるみたいです。

他にもいくつも有名な事例があるようですが、映画という単発のものではなく“連続でテレビ放映されたもの”だと、聖地まで訪れるファンが獲得しやすいのかもしれません。

大河ドラマで言えば、地域活性化の“夢”らしいです。大河ドラマで取り上げられれば、数百億の経済効果も夢じゃないってなわけです。大河ドラマ「龍馬伝」は最終的な経済効果は535億円とも言われているそうで、ここまでくると、えらいこっちゃなわけです。地方の地域が話題になると必ず“経済効果はどれくらいだ?”といった話になります。

あまちゃんの経済効果の社会性

で、前置きは長くなりましたが、本題に入ります(笑)

地域活性化というビジネス・カテゴリーは、社会貢献ジャンルでも人気なものとなっています。実は、それは当たり前で、NPO法人(特定非営利活動法人)は、法律で定められた20種類の活動分野のどれかに属してなければいけません。

地域活性化でいえば「まちづくりの推進を図る活動」「観光の振興を図る活動」「農山漁村又は中山間地域の振興を図る活動」「経済活動の活性化を図る活動」の4カテゴリーが該当すると思います。まぁ、20分の4なら、多くのNPOは地域活性化に何かしらつながるっている可能性が高いわけです。

それもあって、地域活性化はソーシャルセクター(社会貢献系ビジネス領域)としても、とても注目度が高いのです。NPOやら自治体やらが入り交じって、大河ドラマやアニメ(例はかなり少ないけど)などの誘致活動を行うわけです。数百万円から数百億円の経済効果が期待できるとすれば、皆さん本気で色々動きます。

そんな背景もあり、今回のあまちゃんは、被災地だったということもあり、ソーシャルセクターの人たちもその経済効果に一喜一憂しているのです。

被災地を舞台にしたエンターテイメントって、正直、ほとんど聞いたことがありません。だからこそ、注目が集まるあまちゃん。

あまちゃんファンはぜひ現地を訪れてみて、泊まって、お土産買って、現地にお金落として下さい。巡りめぐって、社会貢献にもつながるあまちゃんの影響力に期待です。

テレビドラマが岩手の被災地復興につながる。今後も目が離せそうにありませんね。

サステナビリティ・コンサルタント

サステナビリティ経営の専門家。一般社団法人サステナビリティコミュニケーション協会・代表理事。著書は『未来ビジネス図解 SX&SDGs』(エムディエヌ)、『創発型責任経営』(日本経済新聞出版)ほか多数。「日本のサステナビリティをアップデートする」をミッションとし、上場企業を中心にサステナビリティ経営支援を行う。2009年よりブログ『サステナビリティのその先へ』運営。1981年長野県中野市生まれ。

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