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イモムシ女子もビビる目玉だらけの怪物=セスジスズメ幼虫#イモムシ

天野和利時事通信社・昆虫記者
目玉模様だらけのセスジスズメ幼虫。イモムシ女子もちょっとビビる。

 セスジスズメの幼虫は、どこにでもあるヤブガラシという雑草を好んで食べるので、蛹になるため地上に降りた大きな幼虫を街中の路上で見つけることも多い。それが踏みつぶされていたりすると、非常にグロテスクだ。

 イモムシ好きの勇猛な女子でも、突然この目玉だらけの大きなイモムシに遭遇すると、一瞬「ギョッ」とすることがあるという。

 セスジスズメ幼虫の食草は、ヤブガラシ、ノブドウ、ホウセンカ、サトイモなど。幼虫の食欲はすさまじいので、花壇のホウセンカに発生すると、すべて食べつくされてしまうことも。私はサトイモで見つけたことはないが、この調子で食べたら、農業被害も大きいだろう。

路上を歩いていたセスジスズメ幼虫を救助。
路上を歩いていたセスジスズメ幼虫を救助。

ホウセンカを食べるセスジスズメ幼虫。この目玉模様には天敵威嚇効果もありそうだ。
ホウセンカを食べるセスジスズメ幼虫。この目玉模様には天敵威嚇効果もありそうだ。

ヤブガラシを食べるセスジスズメ幼虫。
ヤブガラシを食べるセスジスズメ幼虫。

 街中でセスジスズメの幼虫を一番多く見かけるのは、フェンスや生垣に絡み付いたヤブガラシの茂み。このヤブガラシという雑草は、「藪枯らし」の名からも分かるように、生垣の植物などに絡み付いて、太陽光を独占し、支柱になった植物を枯らしてしまうほどの繁殖力を持つ。なので、ヤブガラシを爆食する場合は、セスジスズメの幼虫は益虫と言えるかもしれない。

 大きくなると不気味なセスジスズメ幼虫だが、小さい時は非常に可愛い(異論もあるだろうが)。小さい幼虫は、黒い胴体に黄色の窓がたくさん並んだような姿で、銀河鉄道999とか、観光用の潜水艦のようにも見える。

銀河鉄道999の列車ようで可愛いセスジスズメ若齢幼虫。ヤブガラシの新芽に多い。
銀河鉄道999の列車ようで可愛いセスジスズメ若齢幼虫。ヤブガラシの新芽に多い。

 しかし、「可愛いから」と持ち帰って育てると、あっという間に巨大化、不気味化する。大きな幼虫の食欲はすさまじいので、餌の補給が間に合わなかったり、糞の掃除に大わらわの状態になったりするので、注意が必要だ。ここでちゃんと忠告したので、それでも飼いたいという人は、後になって昆虫記者に文句を言わないでほしい。自己責任でお願いする。

 成虫はいかにもスズメガの仲間という感じの、ステルス戦闘機のような精悍な姿。スズメガの仲間は英語ではホークモス(HAWK MOTH)と呼ばれる。タカ(HAWK)のように素早く飛ぶからだろう。

ステルス戦闘機を思わせる精悍な姿のセスジスズメ成虫。
ステルス戦闘機を思わせる精悍な姿のセスジスズメ成虫。

(写真は特記しない限りすべて筆者撮影)

時事通信社・昆虫記者

天野和利(あまのかずとし)。時事通信社ロンドン特派員、シンガポール特派員、外国経済部部長を経て現在は国際メディアサービス班シニアエディター、昆虫記者。加盟紙向けの昆虫関連記事を執筆するとともに、時事ドットコムで「昆虫記者のなるほど探訪」を連載中。著書に「昆虫記者のなるほど探訪」(時事通信社)。ブログ、ツイッターでも昆虫情報を発信。

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