国際宇宙ステーションからの「宇宙犯罪」はなかった。NASA宇宙飛行士への告訴取り下げ

マクレイン宇宙飛行士 (C)NASA/Elizabeth Weissinger

「国際宇宙ステーションに滞在中の宇宙飛行士が、元妻の銀行口座に不正アクセスした」と2019年に訴えを起こされた件について、2020年4月6日米テキサス州のヒューストン連邦大陪審は訴えを退けるとともに、虚偽の申し立てを行ったとの理由で元妻を起訴したと発表した。NASAのアン・マクレイン宇宙飛行士にかけられていた史上初の「宇宙犯罪」の疑いは根拠になる事実が存在しなかったことになる。

2019年8月、米空軍に所属するサマー・ワーデン氏は、所有するUSAA銀行の口座に元パートナーのアン・マクレイン宇宙飛行士が不正にアクセスしたとして、NASAおよび連邦取引委員会(FTC)に申し立てを行った。

USAA銀行の口座は、ワーデン氏とマクレイン宇宙飛行士が共同で管理できる口座としてアクセス権を設定されていたものだ。しかし、2人の離婚後に口座のアクセス権が変更されたため、マクレイン宇宙飛行士が国際宇宙ステーション(ISS)に滞在していた2018年末から2019年6月までの期間に口座にアクセスした行為は不正利用にあたる、というのがワーデン氏の主張だった。

申し立てが事実であれば、ISSから犯罪を実行した史上初の「宇宙犯罪」だとして大きな話題になった。ところが、連邦大陪審の発表によれば、ワーデン氏の申し立ては口座開設などの時系列が事実と異なるという。

Credit: NASA
Credit: NASA

ワーデン氏の申し立てでは、「2018年9月に口座を開設し、元パートナーがアクセスできないようにアクセス権を変更した」とされていた。しかし調査の結果明らかになったところでは、実際に口座が開設されたのは2018年4月で申し立ての日付とは異なり、また2019年1月までアクセス権の変更は行われていなかったという。

ワーデン氏は、NASAとFTCに対して虚偽の申し立てを行ったとして起訴され、2020年4月13日に裁判が行われることになっている。有罪の場合は、最大で5年間の懲役、最大25万ドルの罰金となる可能性がある。

アン・マクレイン宇宙飛行士解説による「宇宙生活で大切な5つのスキル」

アン・マクレイン宇宙飛行士は2013年にNASAに選抜された陸軍出身の宇宙飛行士。ISS第58次長期滞在クルーとして2018年12月から2019年6月までISSに滞在し、スペースXのドラゴン宇宙船の無人ドッキング試験などのミッションにあたった。NASAが2024年に月面有人探査の再開を目指す「アルテミス計画」に選抜されており、史上初の女性による月面探査を行う候補となっている。