台風15号 衛星画像で停電地域を見る

NASA WORLDVIEWサイト画像より筆者作成

台風15号によって発生した停電の被害は、どの程度広がっているのか。外からは見えにくい停電という事象を、米海洋大気局(NOAA)の気象衛星が捉えた夜間の地表の明るさの画像を、台風の前後で比較することによって可視化を試みた。

Suomi NPP(SNPP)は、2011年にNOAA、NASA共同で打上げられた気象・地球観測衛星。地球を南北方向に周回し、日本の上空を午前1時30分、午後1時30分の1日2回通過する。SNPPには雲や海面、地表面の植物などを観測する可視光と近赤外のセンサー「VIIRS」を搭載している。VIIRSには「昼夜観測バンド」と呼ばれる夜間の地表観測が可能な波長があり、地表の明るさを捉えることができる。

地表で明るく見える光源は、人工照明だけでなく雷、火炎、オーロラなどがある。雲や霧によって観測しにくくなることも多く、明るさの変化をすべて停電の影響と考えることは難しい。だが、継続して観測、公開されている衛星画像を利用することで地上の災害を把握する一助となる。

4枚の画像は、2019年9月7日から9月10日まで関東地方の夜間(午前1時30分)の明るさ(夜間光)をSNPPが撮影した画像。台風直前の画像では、関東地方の多くの地域で白く明るく見え、都市の人工照明を反映していると考えられる。台風通過中の9月9日、千葉県、茨城県など60万軒以上で停電が続く9月10日の画像では、千葉県市原市や君津市などで明るい地域が減少し、夜間光の低減から停電を反映している可能性がある。

2019年9月7日(1:30)

台風接近前の関東地方。全域が非常に明るく見える。

NASA WORLDVIEWサイト画像より筆者作成
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2019年9月8日(1:30)

台風15号接近前日。地表は明るく見えるものの、雲が多かったため画像が不明瞭になっている。

NASA WORLDVIEWサイト画像より筆者作成
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2019年9月9日(1:30)

台風15号通過中の関東。東京電力ホールディングスの発表によれば、9日午前1時の時点で約4万6100軒が停電していた。

NASA WORLDVIEWサイト画像より筆者作成
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2019年9月10日(1:30)

台風15号通過翌日の関東。東京電力ホールディングスの発表によれば、10日午前0時の時点で約63万3000軒が停電していた。

NASA WORLDVIEWサイト画像より筆者作成
NASA WORLDVIEWサイト画像より筆者作成

Suomi NPP衛星の観測画像は、NASAの「WORLDVIEW」サイトで毎日無料公開されている。夜間光の画像は1日1回、全世界の画像が撮影され、翌日日中に公開される。任意の地域を画像として可視化、比較検討することも可能だ。NOAAのサイトでもデータが公開され、地図や人口統計などのデータと重ね合わせて、災害対応のために解析するといった利用にも役立つものだ。