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日本でも離婚後の「共同親権」導入を(親子が親子であることを当たり前の社会へ)

明智カイト『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事
9月には浅草でウォーキングフェスを開催しました。

法務省は離婚後も父母の両方が親権を持つ「共同親権」の導入の是非について検討する研究会を年内に設置すると発表しました。結論を受けて導入が必要と判断すれば、法相が民法改正を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する見通しです。

離婚後の「共同親権」導入の是非を検討へ 法務省(NHK)

現在の日本の民法では離婚後の親権は父親か母親のどちらか一方しか持つことができない「単独親権」が規定されていますが、海外の先進国では両親がともに持つ「共同親権」が主流となっていて、法務省は海外の制度や運用状況の調査を進めていました。

なぜ共同親権が必要なのか?

日本では親権を巡って親同士で子どもの奪い合いが生じ、その過程で子どもの連れ去りや親子引き離しが容認されてしまっています。親権者が再婚した場合、親権のない親の同意無く、子どもを親権者の再婚相手の養子に入れることもあります(代諾養子縁組)。その場合、裁判所では再婚夫婦から親権のない親への親権者変更の手続きができなくなります。

子どもの連れ去りについては過去の記事をご覧ください。

隠れた課題、断絶された親子たちについて考える。(明智カイト)

また、親権を失った親が養育に関わりにくくなり、子どもとの交流を絶たれるなどの問題点が指摘されています。研究会では別居中の親と子どもとの面会をどう促進するかや、離婚時にその後の子どもの養育計画を作ることを義務化すべきかなどについても検討するそうです。

一方で、共同親権が制度化されることによって、協力関係が築けない元パートナー同士での争いが子どもを巡って継続するという意見や、DV加害者にも親権が認められてしまい子どもにとって良くない関係を継続しなければいけないという批判があります。

今後はDVなどの問題を考慮する必要があること、共同親権に移行することで懸念される問題についても検討していく必要があるようです。

親子が親子であることを当たり前の社会へ

日本では、単独親権制度があるために共同親権が「スタンダード」とは思われていません。両親が離婚したら子どもは「パパかママか」を選択するしかないのです。しかし、共同親権になれば両親が別れても、子どもにとって「パパもママも」が当たり前になり、両方の親が引き続き子どもの成長に関わるようになれます。そして海外の多くの国では単独親権から共同親権へと法律を変えてきたのです。

また、離婚や未婚といった親の選択で、子どもが両親から養育を受ける権利を損なわないために、そして違う道を歩み始めたパートナー同士が子どものために譲り合えるようになって欲しいと思います。

最近では「共同親権運動・国家賠償請求を進める会」が発足し、単独親権制度を撤廃するための署名活動を始めています。

9月には共同養育が当たり前の社会にするために、親子が引き離されない社会を当たり前にするために浅草でウォーキングフェスが開催されました。

このウォーキングフェスではTwitterの呼び掛けを見た当事者などが150人ほど参加しました。また、日本で子どもを連れ去られて会うことができなくなった外国人の親たちも参加していたので、国際的なテーマとしても注目されています。

9月に浅草で開催されたウォーキングフェスの様子

多様な家族、多様な子育て

共同親権のことを知ったときに別居親が子どもに会えないのは、DVや虐待など問題のある加害親だからだという差別や偏見の中にいることを知りました。でも、ひとくちに家族といってもいろいろな家族、いろいろな子育てがあります。みんなその形、考え方は異なるのです。たしかに加害親もいますが、子どもに会えない別居親の全てを加害親として決めつけるのは間違っています。

私は権利とか人権とか難しいことを言わなくても「親子が親子であることは当たり前」だと思っています。この当たり前の共同親権が日本にも導入されることを願っています。

『NPO法人 市民アドボカシー連盟』代表理事

定期的な勉強会の開催などを通して市民セクターのロビイングへの参加促進、ロビイストの認知拡大と地位向上、アドボカシーの体系化を目指して活動している。「いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン」を立ち上げて、「いじめ対策」「自殺対策」などのロビー活動を行ってきた。著書に『誰でもできるロビイング入門 社会を変える技術』(光文社新書)。日本政策学校の講師、NPO法人「ストップいじめ!ナビ」メンバー、などを務めている。

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