結婚で「女性=姓を変える」に物申す!改姓して通称使用している男性の話。

サイボウズ株式会社の青野慶久社長が日本人と外国人との結婚では同姓か別姓かを選べるのに、日本人同士の結婚だと選択できないのは「法の下の平等」を定めた憲法に反するとして国を提訴するそうです。

<夫婦別姓>サイボウズ社長「選択できず不利益」国を提訴へ

そこで、今回は男性側の視点から夫婦別姓について考えてみたいと思います。

矢野さんは40代の男性です。「ヨッセンス」というブログを運営してブログの収益で生活しているプロブロガーです。生まれは、矢野さんいわく「香川県のド田舎」で、母方の祖母、両親、弟、妹の六人家族の中で育ったそうです。現在、矢野さんは共働きの妻と子どもたちと一緒に香川県丸亀市に暮らしています。

矢野さんは25歳で結婚式を挙げ、30歳で婚姻届を出しました。その際、矢野さんが改姓し、現在は旧姓(矢野)を通称使用しています。「ずっと夫婦別姓制度を待っていたのですが、子どもができたのを機に婚姻届を出しました。不本意だったんですが」と矢野さん。妻は三姉妹の長女で、「女性だからという理由で姓を変えさせられるのはおかしい」という考えでした。しかし、矢野さんは、自分が改姓したのは妻に頼まれたからではない、と言います。「私の方から姓を変えると言いました。法律では男性が変えてもよいのに96パーセントのカップルで女性が変えている現実に違和感を常に持っていたからです」

男性の改姓には、男性本人が了解しても男性側の親戚が反対して、結局女性側が折れることも多いようですが、矢野さんの場合、特に反対はなかったそうです。「たぶん、元々『変わった子』という認識をされていたので、何を言っても『この子だからしゃーない』という感じでした」

今、矢野さんは父親として育児にも積極的に関わっています。小学校のPTA役員も引き受けていますが、旧姓を使用しています。子どもたちは妻の姓なので、矢野さんとは姓が違いますが、子どもたちが持ち帰る役員用の手紙はすべて「矢野」宛です。子どもたちの連絡帳にも「矢野」でサインしています。

職場での旧姓使用は世間でも広がりつつありますが、矢野さんのように、子どもの学校関係で親が旧姓使用をするのは、まだまだ珍しいのではないでしょうか。実際、子どもの学校関係で旧姓使用をしているものの、周囲の無理解に苦しんでいるという女性もいます。このことについて矢野さんは「私が男性だということが有利に働いているという自覚はあります」と言います。「女性の場合、旧姓を使い続けることを『わがまま』だと取る方が多いです。同じことをしているのに、性別でぜんぜん違った反応をされること自体がおかしいんですけどね」

家族で姓が違うことを子どもたちがどう受け止めているのか、矢野さんに伺ってみました。沢山のエピソードを期待しての質問でしたが、矢野さんの回答は実にシンプルでした。「なんの反応もないですね」。子どもたちが幼い頃には、病院で父親(矢野さん)が戸籍名で呼ばれるのを聞いて、「病院の人、ほんとは矢野なのに間違えているね」と言っていた子もいるそうですが、「今は私が矢野なのは当たり前すぎて、なんの反応もないです」。確かに夫婦同姓の家族には「同姓でお子さんの反応はどうですか?」とは聞きませんし、もし聞かれても、反応やエピソードがあるとは限りません。

矢野さん自身も子どもの頃、姓の違う祖母と同じ家で暮らしていたそうです。「生まれたときからそうだったので、何一つ疑問に思いませんでした。まさに『そういうもの』という感覚でした。逆に、よその家で、両親とおばあちゃんの姓が同じなのを知って『へぇ! 珍しいな! 同じ姓だなんて』と思っていました。当たり前に育つということはこういうことなんだなぁと今になって思います」

実は、矢野さんの祖母も母親も跡継ぎ娘だったそうです。「このため、父は母の家に住みました。でも、姓は母が変えました。父に悪いから、と」。矢野さんは、祖母が「本当は父に姓を変更してもらいたかった」と何度も言っていたのを覚えています。その祖母の姓は、数年前に祖母の死と同時に消滅しました。珍しい姓だったので、矢野さんも「寂しいな」とは思っています。夫婦別姓制度があれば、少なくとも母親にその姓が今でも残っていたはずだと矢野さんは考えています。そろそろ夫婦別姓制度の実現に向けて進み出しても良いのではないでしょうか。