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全豪OPレポート:「テニス面では6.5点も、精神面は8点」 新コーチのもとで大坂なおみが好スタート!

内田暁フリーランスライター
(写真:ロイター/アフロ)

女子シングルス1回戦 ○大坂なおみ 7-5,6-2 K・クコワ

「相手のプレーは、あまり気にしないようにしている。勝敗は自分のプレー次第だろうから」

 今大会のドローが決まった時、大坂は初戦の鍵をそのように分析しました。

「(コーチの)サーシャにも、プレーを安定させること、そしてポジティブに考えるようにと、いっつも言われている。私はすぐに、ネガティブになっちゃいがちだから……」

 大坂はそう言うと、いたずらを咎められた子どものように、決まりの悪そうな笑みをこぼしました。

 果たして迎えた初戦――大坂は立ち上がりで4-1とリードするも、クコワの深く鋭いカウンターに手を焼き、4-4に追いつかれます。まるで彼女の内面的成長を試すかのような局面ですが、ここで大坂は「グランドスラムに出ている選手で、簡単に勝てる相手はいない」と自分に言い聞かせました。5-5からのサービスゲームではブレークの危機に瀕するも、自慢のフォアとサービスで窮状を切り抜けます。

「もしあの場面でネガティブになっていたら、試合の流れは変わったと思う」

 試合後、本人も真っ先に言及したこのターニングポイントを取りきった時点で、勝者の権利は大坂に渡ったと言えるでしょう。

■新コーチも安堵の表情 取り組む課題に示した解■

「今日の彼女のプレーは、十分に評価できる。風が強かったし、相手は低いボールをしっかり打ってくる良い選手。しかも過去に勝った相手ということもあり、本人も含め、多くの人がナオミの方が有利だと思っていた。プレッシャーも感じる状況だが、そこでポジティブな姿勢を崩さなかった点が良かった」

 今季から大坂のコーチに就任したサーシャ・バジンは、安堵とうれしさの混じった明るい声で、大坂の勝利を評しました。バジンが教え子に求めるのは、「安定感と、ポジティブな姿勢」。その2点に改善の兆しが見られたことを、コーチは何より喜んだようです。

 現在33歳のバジンは、セレナ・ウィリアムズやアザレンカ、さらにウォズニアッキの“ヒッティングパートナー”を歴任した、女子テニス界のキーパーソン。正式に“コーチ”として就任するのは今回が初めてですが、本人は「肩書きは関係ない。セレナやキャロラインにやってきたことと、ナオミに対してやることに変わりはないから」と言います。周囲が彼に向ける評価は「選手の情報をたくさん持っていて、分析や戦略立案がうまい。プレーヤーとしては、器用で色んなショットが打てる」というもの。大坂に言わせると「ともだち」のような存在で、なおかつ「とても明るく社交的。私に必要なものを持っている」人物です。

 プレーの安定感、そして前向きな姿勢を失わないこと――この試合で試された2つの課題に対する、大坂の自己評価は「テニス面では(10点満点で)6.5点、精神面は8点」。

 及第点で初戦を突破し、なおかつ伸びしろを感じながら、2回戦では第16シードの試合巧者、ベスニナとの一戦に挑みます。

※テニス専門誌『スマッシュ』のfacebookより転載。連日大会レポート等を掲載

フリーランスライター

編集プロダクション勤務を経て、2004年にフリーランスのライターに。ロサンゼルス在住時代に、テニスや総合格闘技、アメリカンフットボール等の取材を開始。2008年に帰国後はテニスを中心に取材し、テニス専門誌『スマッシュ』や、『スポーツナビ』『スポルティーバ』等のネット媒体に寄稿。その他、科学情報の取材/執筆も行う。近著に、錦織圭の幼少期から2015年全米OPまでの足跡をつづった『錦織圭 リターンゲーム:世界に挑む9387日の軌跡』(学研プラス)や、アスリートのパフォーマンスを神経科学(脳科学)の見地から分析する『勝てる脳、負ける脳 一流アスリートの脳内で起きていること』(集英社)がある。

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