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先住民とグレタさん「国王に会いたい」王宮前に座り込み

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
王宮前で座り込みを開始した先住民サーミ人と市民たち 筆者撮影

ノルウェー先住民サーミ人の人権と風力発電所問題で、サーミ人の若者と市民らは抗議活動を続けている。13日は11の省庁前の出入り口を封鎖した。若者たちは鎖で自分たちを縛り、違法行為である「市民的不服従」で撤去することを拒んだ。

数時間後、省庁前では警察官によって出入口前から運び出されたが、そのまま市民らは「王宮」へと向かった。

王宮広場前にサーミ人の移動式住居ラヴヴォを設置し、座り込みを開始。要求は「国王との面会」だ。

この日は10度でずっと雨が降っており、外での長時間の座り込みは体力的に大きな負担となる 筆者撮影
この日は10度でずっと雨が降っており、外での長時間の座り込みは体力的に大きな負担となる 筆者撮影

「私たちには他に行くところがない。ですから、国王が私たちに会って、耳を傾けてくださることを謙虚に願います。私たちはただ話を聞いてもらいたいだけなのです。サーミの人々にとって、私たちの民族は何世代にもわたって国王に助けを求めてきました。ある意味、国王に直談判するのはサーミの伝統と言えるかもしれません」とノルウェーサーミ民族協会ユース部の代表はノルウェー公共局NRKに応えている。先住民が国王に助けを求める伝統は1600年代から確かに存在していると歴史家は同局に応えている。

グレタさんは草の根団体「フライデー・フォー・フューチャー」のスウェーデンの仲間たちと12人で電車でオスロまでやってきた 筆者撮影
グレタさんは草の根団体「フライデー・フォー・フューチャー」のスウェーデンの仲間たちと12人で電車でオスロまでやってきた 筆者撮影

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんも前日からサーミ人との連帯のために抗議活動に参加しており、警察に運ばれて省庁前から強制撤去されたひとりだ。

「サーミの人と共に」というメッセージが書かれた布を地面に置き、仲間たちとトマトスープの炊き込みを始める 筆者撮影
「サーミの人と共に」というメッセージが書かれた布を地面に置き、仲間たちとトマトスープの炊き込みを始める 筆者撮影

エッラ・マリエ・ハエッタ・イーサクセンさん(右から2人目)と自然と青年団体のギルベール代表 筆者撮影
エッラ・マリエ・ハエッタ・イーサクセンさん(右から2人目)と自然と青年団体のギルベール代表 筆者撮影

活動の中心人物のひとりであるサーミ人のエッラ・マリエ・ハエッタ・イーサクセンさんは、仲間たちの前で泣きながら「11の省庁を封鎖できたことを誇りに思う。けれど、またここまでしなければいけなかったことが辛い」と話し、王宮から返事がくるまで、王宮広場でみんなで静かにずっと待とうと呼びかけた。

参加者の表情には疲労が漂う 筆者撮影
参加者の表情には疲労が漂う 筆者撮影

サーミ国旗の布を地面に広げている。疲労で寝ている若者もいる 筆者撮影
サーミ国旗の布を地面に広げている。疲労で寝ている若者もいる 筆者撮影

筆者撮影
筆者撮影

Photo&Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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