「仕事の話はサウナで」北欧フィンランドでは水着で名刺交換?スタートアップSlushのサウナ村に潜入

仕事を効率化させたいなら、サウナへ? Photo: Asaki Abumi

北欧最大級のスタートアップ祭として有名なのは、フィンランドの首都ヘルシンキで開催される「SLUSH」(スラッシュ)。

Photo: Asaki Abumi
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北欧だけではなく、世界各国から起業家や投資家が集まるこの場は、学生たちが発端となって始まったイベント。新しいビジネスを自分たちで興すことを、「かっこいいもの」にすることに貢献してきた。

Photo: Asaki Abumi
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スタートアップ×サウナの相乗効果

フィンランドといえば、「サウナ」の先進国としても有名だ。

フィンランドには、540万人のフィンランド人が同時に入るに足りる数のサウナが存在すると言われていますが、それは本当で、サウナの数は2‐300万個だと推定されています。

出典:VisitFinland 公式HP

イノベーションやスタートアップの集まりは世界各国にある。スラッシュを個性的にしているのは、「真っ暗な会場で照明がまぶしいナイトクラブ」の雰囲気だけではない。

会場内には、「サウナ村」というものが存在しており、業界関係者の間ではよく話のネタになっている。

北欧スタートアップの本場にある「サウナ村」とは

噂に聞いていたサウナ村を、この度、実際にみてきた。

会場内にある受付、水着とタオルがセットでサウナ入浴料は25ユーロ(約3000円)Photo: Asaki Abumi
会場内にある受付、水着とタオルがセットでサウナ入浴料は25ユーロ(約3000円)Photo: Asaki Abumi

女性用のロッカーで水着に着替え、外にあるサウナ村に入ると、広場の中央では、男性たちが体から白い煙をもくもくと出して、たき火の周囲で外気浴をしながら休憩していた。

Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi

広場には、温水・冷水に漬かることのできるジャグジーと5種類のサウナがあった。特に現地の人に人気だったのは、家庭のサウナでは体験が難しいスモークサウナ。

温水であたたまる Photo: Asaki Abumi
温水であたたまる Photo: Asaki Abumi
車の中がサウナになっていた Photo: Asaki Abumi
車の中がサウナになっていた Photo: Asaki Abumi

私は当初、「1時間くらいサウナ村を体験したら、本会場に戻って取材を続けよう」と思っていた。

しかし、意外とサウナで記事ネタがごろごろと見つかるので、長居をすることにした。

サウナに入っていると、中にいる人たちと自然と会話が始まる。

みんな初対面、フィンランドや欧州各国からの企業家たちと、温水であたたまる
みんな初対面、フィンランドや欧州各国からの企業家たちと、温水であたたまる

誰もが水着を着ているので、肩書は予想不可能。起業家や投資家、報道陣、世界各国の企業や大学関係者に加え、会場で働くスタッフも休憩している。

Photo: Asaki Abumi
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自分たちの自己紹介が始まると、相性のいい起業家と投資家がマッチングすることもあり、「ロッカーに名刺があるから、交換しよう」という会話がちょくちょく発生していた。

スタッフが薪を割る側で、来場者はバスローブや水着で歩き回り、異なるサウナをハシゴする Photo: Asaki Abumi
スタッフが薪を割る側で、来場者はバスローブや水着で歩き回り、異なるサウナをハシゴする Photo: Asaki Abumi

私も記事になりそうな情報、勉強中のフィンランド語を教えてもらったりと、人や知識の輪がぐんぐんと広がった。

Photo: Asaki Abumi
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フィンランドのスタートアップ会場でしか見られない光景に、もちろん国外のメディアも仰天する。他国のテレビカメラマンたちも、撮影にきていた。

「サウナのほうが、仕事の話がしやすいよ」と口を揃える参加者 Photo: Asaki Abumi
「サウナのほうが、仕事の話がしやすいよ」と口を揃える参加者 Photo: Asaki Abumi

商品開発をするなら、サウナで使えるかがカギとなる

フィンランドの人のサウナへのこだわりは、会場内でも感じた。

「この国で今注目のスタートアップは?」と聞くと、何人もの関係者が口にして絶賛したのが「OURA」(オーラ)という「指輪」だった。

OURAのコーナーで指輪のサンプルを試す人々 Photo: Asaki Abumi
OURAのコーナーで指輪のサンプルを試す人々 Photo: Asaki Abumi

ユニセックスでシンプルなデザインの指輪は、心拍数などの睡眠状態をモニタリングする。体調管理の目安として、データはスマホのアプリで確認し、睡眠の質の改善に役立てることができる。    

Photo: Asaki Abumi
Photo: Asaki Abumi

生理用品とサウナの意外な関係性にも触れた、別記事「北欧フィンランドで月経カップが人気の理由 生理用品の革命は女性をより自由にするか」があるのだが、フィンランドの月経カップを手掛けるルネッテ社のクリアネン社長もこの指輪をつけていたことに、後から気づいた(記事の動画をチェック)。

会場のブースで指輪の説明を聞いていると、「サウナでも装着可能なんだよ!」ということが、熱心に協調されていたのがおもしろかった。

商品開発では、「サウナでも使えるか」が、この国では大事なセールスポイントらしい。

                

ミッリャ・インケリ・マケラさんは、フィンランド初となるであろう中東の公衆浴場、ハマム(ハンマーム)サウナのスタートアップに携わる。サウナのオープンのために、スラッシュで投資家を探していた Photo: Asaki Abumi
ミッリャ・インケリ・マケラさんは、フィンランド初となるであろう中東の公衆浴場、ハマム(ハンマーム)サウナのスタートアップに携わる。サウナのオープンのために、スラッシュで投資家を探していた Photo: Asaki Abumi

サウナで交流の輪を広めよう

「サウナの首都」とも呼ばれる街タンペレでサウナに入っていた時のことだ。

連れのフィンランド人女性が、たまたま一緒にサウナにいた人たちと会話を始めた。知り合ったばかりなのに、そのまま後で名刺交換をしていた。

彼女にとって、「サウナで名刺交換はよくある」そうだ。

ノルウェーでは普段から名刺を持ち歩いていない人が多いので、フィンランドでの名刺交換率の多さは意外なカルチャーショックでもあった。

確かにサウナに入っていると、人との会話もはずむし、リラックス効果で新しいアイデアも生まれる。フィンランドでのサウナは意外なほどに、ビジネスに大きな影響を与えているのかもしれない。

Photo&Text: Asaki Abumi