ノルウェー法務大臣 内縁の妻の逮捕で辞任へ「政府よりも家族を優先」

辞任を発表するヴァーラ法務大臣(左)と、記者会見するノルウェー首相(右)(写真:ロイター/アフロ)

ノルウェーのトール・ミッケル・ヴァーラ法務・移民大臣が、28日の記者会見で辞任すると発表した。

ヴァーラ氏の同居人であり、内縁の妻であるライラ・アニータ・ベルトゥーセン容疑者は、自宅の車の放火と虚言などの容疑で15日に逮捕された

ベルトゥーセン容疑者は、ヴァーラ法務大臣と住む自宅の映像を、ノルウェーの演劇で無断で使用されたとして、昨年末から演出者と公の場で対立していた。

同時に、法務大臣の自宅では、車への放火や脅迫などの事件が相次ぐ。地元警察は「なぜか」明白な証拠を見つけられず、犯人特定に難航していた。

突然捕まった容疑者は、事件が起きていた敷地内に住んでいた、被害者を装っていた法務大臣の同居人だった。まさかのドラマのような展開は、国内外でニュースとなった。

ベルトゥーセン容疑者は犯行を否定。国家公安警察は、過去8件のすべての脅迫事件などに、彼女が関わっているとして捜査を進めている。

劇を演出したアーティストらとの対立がきっかけで、「同居人が精神的におかしくなったのではないか」とされる法務大臣には、同情の声もあった。

法務大臣となると警察のトップでもある。公正な捜査がされるためにも、容疑者の家族であるヴァーラ氏が大臣でい続けることは難しいだろうとされていた。

「怪しい手紙」は法務大臣の自宅だけではなく、同じ政党のイングヴィル・スミーネス・ティーブリング=イェッデ危機管理大臣にも届いていた。

ヴァーラ法務大臣は、記者会見で、自分の小さな家族にとって、ここ最近の出来事はとてもつらいものだったと語る。

「政府以上に私を必要としている人たちがいる。辞任の決断は簡単だった」と、自分をこれまで支えてきてくれた家族を、今度は自分が支えたいとした。

容疑を否定している同居人をどう思っているかという、地元報道陣からの質問の回答は大臣は避けた。

ソールバルグ政権が2013年に発足して以来、法務大臣の辞任はこれで4人目となる。連立する極右、右翼ポピュリスト政党「進歩党」から「スキャンダル大臣」が続く状況は、ソールバルグ首相にとっては好ましくない。

ノルウェー警察のトップの身内が犯罪を起こしたであろう一連の出来事は、異例として現地で注目を集めている。

Text: Asaki Abumi