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売上が20~60%増!ノルウェーのクリスマス・コーヒー市場

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
今年おすすめのコーヒー、デザインも華やかに Photo:Asaki Abumi

11月後半からノルウェー各地のカフェ店頭に並ぶ「クリスマス・コーヒー」(Julekaffe)。

コーヒーの消費量が高いとされる北欧各国。ノルウェーではイースター、サマー、クリスマスという季節限定のコーヒーが人気だ。

クリスマスに売られるコーヒーは、各焙煎所がおすすめする「今年のクリスマスに大切な人との時間を過ごし、クリスマス料理に合いそうな品種」。

「クリスマス・コーヒー」という名称がついていなくとも、クリスマスの時期のコーヒーの売上高は大幅にアップする。

ノルウェーのコーヒー連盟Kaffeの広報イルデランさんによると、12月のコーヒーの売り上げは全体で20%ほど増加する傾向に。最大規模のコーヒーブランドともなると、12月最後の2週間には、週の売り上げが通常よりも60%もあがるという。

ノルウェーのコーヒーカルチャーやライフスタイルを日本へと伝える「窓口」となっているカフェは、東京・富ヶ谷にある。「フグレン」(Fuglen)は、オスロ中心地にある、観光客も訪れる人気カフェ。その国外第一号店が「フグレントウキョウ」だ。

フグレン・オスロ店にて販売中のクリスマスコーヒー。東京にあるフグレン・コーヒーロースターズで焙煎された Photo: Asaki Abumi
フグレン・オスロ店にて販売中のクリスマスコーヒー。東京にあるフグレン・コーヒーロースターズで焙煎された Photo: Asaki Abumi

本店であるオスロでは、先日、クリスマス・コーヒーのカッピング(味見会)が開催された。

ずらりと並んだ17種類のコーヒーは、どれもが最高品質のスペシャルティコーヒー。コーヒー好きの人々が集まり、どのコーヒーが好きだったか投票。人気の豆はフグレンの店頭で販売される。

「クリスマスコーヒーは大人気。クリスマスプレゼントとして何袋も買っていく人が多い」とフグレンのホップストック氏は話す。

カッピングの説明をするホップストック氏(中央) Photo: Asaki Abumi
カッピングの説明をするホップストック氏(中央) Photo: Asaki Abumi

コーヒーはナショナル・ドリンク

「寒くて暗い冬を迎えるノルウェーでは、家の中で心地よいクリスマスを過ごすことが大切な行事。コーヒーは、私たちにとっては『ナショナル・ドリンク』ともいえます」と、コーヒー連盟のイルデラン氏は取材で答える。

「小規模な焙煎所はシングルオリジンで、大規模なコーヒー会社はブレンドで出すことが多いですね。どのような焙煎が良いかは人によって好みは分かれますが、ノルウェーでは伝統的にライトローストです」。

この時期には。クリスマス限定のマジパンやソーセージなどの商品がたくさんあるが、特に大事なのは「コーヒーとケーキ」だと同氏は話す。

「焼いたばかりのジンジャーブレッドと、淹れたばかりのコーヒーは、まさにノルウェーらしいクリスマス。コーヒーは1年中飲みますが、この時期になると、飲むことがさらに楽しみになります」。

お客さんが選んだベストコーヒー3は、1位がElida Estate(Langora社)、2位がMormora(Jacobsen og Svart社)、3位は同点でNacimento(Tim Wendelboe 社)、Oko(Jacu社)、Mbirizi(Lippe社)
お客さんが選んだベストコーヒー3は、1位がElida Estate(Langora社)、2位がMormora(Jacobsen og Svart社)、3位は同点でNacimento(Tim Wendelboe 社)、Oko(Jacu社)、Mbirizi(Lippe社)

Photo&Text: Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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