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新絶景「トロルのおちんちん」に起きた悲劇とは/ノルウェー

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
妖怪トロルの性器にそっくりの岩場 Facebook: Trollpikken

ノルウェーでは「トロルの舌」という絶景の崖が登山好きの間で話題となっているが、新しい観光名所となるであろう絶景が発見された。その名も「トロルのおちんちん」(Trollpikken/トロルピッケン)だ。

トロル(トロール)とはノルウェーの山奥に住んでいるとされる妖怪だ。南部エーゲルスンにある岩の形は、トロルの性器にそっくり。「トロルの舌」と同程度の観光名所になる素質があるとして、自治体の関係者が「トロルのおちんちん」の宣伝を始めたばかりだった。「トロルの舌」はセルフィー写真が撮影できる場所として、世界中から登山観光客が集まっている。

「トロルのおちんちん」の存在がノルウェー国民に知られたのは、ほんの数日前。13日に地元紙が報道し、国営放送局NRKが20日に伝え、その衝撃的な岩の形がユーモアをもって受け入れられた。

すでに登山客が訪れ始めていたPhoto:Facebook,Trollpikken
すでに登山客が訪れ始めていたPhoto:Facebook,Trollpikken

その特別な名前を、報道陣の名前で口にすることを地元の市長はためらっていたが、地元の政治家や観光局はこれから宣伝していくことに乗り気の姿勢を見せていた。

しかし、24日に観光客が現場を訪れたところ、おちんちんの部分が切断されたことが判明。鋭利な道具で切られた跡が残っており、警察はまだ犯人を特定できていない。

切断された岩部分 Photo: Facebook, Trollpikken
切断された岩部分 Photo: Facebook, Trollpikken

「トロルのおちんちん」の宣伝大使となっていたKjetil Bentsenさんは「こんなことをしようと考える人がいるなんて、これほど悲しいことはない」と地元の報道局にコメント。

ノルウェーでは「自然はみんなのもの」という考え方があり、登山好きな人が多い。

破壊された「トロルのおちんちん」の映像は人々に衝撃を与え、「トロルのおちんちんを元に戻そう」という支援キャンペーンがすぐに始まった。わずか1日ですでに532人が寄付をし、115万円が集まっている。

Kjetil Bentsenさんは電話での取材で、「年内の夏あたりにはトロルのおちんちんを再現しなおせると思います。この岩は海賊ヴァイキングがいた時代からずっと存在していたのです。目に届かない場所にあったので、地元民でも実際に見たことがある人は少なめでした。日本人の方にも、きっと楽しい観光スポットになるのではないでしょうか」と答えた。

回復作業へ取り組む動きがでている Photo:Facebook, Trollpikken
回復作業へ取り組む動きがでている Photo:Facebook, Trollpikken

「トロルのおちんちん」の現地情報はFacebookInstagramにて。

写真はBentsenさんの許可を得て借用

Text:Asaki Abumi

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

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