オスロ市、大気汚染がひどい日にはディーゼル車禁止へ 混乱必須で、政治家たちの喧嘩に市民は困惑

大気汚染悪化が深刻化するオスロとベルゲン Photo:Asaki Abumi

大気汚染の悪化が深刻化している2つの都市オスロとベルゲンでは、政治家たちが口論する一方、かたや呼吸困難で外出できない子どもや年配者が肩を落とし、かたや一方的に悪者扱いされている運転手が怒りを募らせ、政治家の急な政策発表に交通機関や警察があたふたと臨機応変な対応を迫られている。

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2月3日、オスロ市議会で環境・交通通信局長のラン・マリエ・ヌイェン・ベルグ氏(緑の環境党 MDG)は、委員会で緊急市政案を発表し、大気汚染が悪化する日には一般のディーゼル車の使用禁止を提案した。提案は4日に委員会で決議されるが、大多数の賛成で可決される見通しだ。

1月は数日間において大気汚染警報が注意レベルに達し、一部のオスロ市民は呼吸に困難を覚え、被害を受けやすい幼稚園に通う子どもたちへの影響が懸念されていた。

市道はだめで、国道はOK? 運転手の間で混乱必須

これより、大気汚染の悪化日には、オスロ市内の公共駐車場は使用禁止され、ディーゼル車は中心地を中心とする市道を走ることができなくなる。

ただし、一部の中心地エリアや国道は走行可能であるため、市内のどこが市道か国道か把握していない運転手たちの間では混乱が予想される。

ベルグ氏は、メディアや市の公式ホームページなどを通して、今後も市民にわかりやすい詳細を伝えるとしているが、誰もが常にインターネットなどで情報を追っているわけではなく、ノルウェー語にハンデがある在住外国人や移民をも考慮した対応とはいいがたい。

緑の環境党による理想的で効果のない政策?

これに対して、一方的なディーゼル車禁止は、理想的そうにはみえるが、実際は効果のない「シンボル政治」だと眉をしかめる者もいる。「大気汚染の原因は船や薪ストーブでもあり、(市内の一部だけでディーゼル車を一時的に禁止させても)全体的な排ガス削減は効果は限られている。市議会は政治力があることをみせようとしているが、運転手たちを困惑させるだろう」と、ノルウェー車連盟(NAF)は苦言を呈す(国営放送局)。

口論が絶えない政治家たち

緑政策を推し進めるベルグ氏 Photo:Asaki Abumi
緑政策を推し進めるベルグ氏 Photo:Asaki Abumi

市の委員会会議では、反対勢力である首相率いる保守党から、「なぜ市民が咳込んでいた1月中に早急に対応しなかったのか」という抗議に対し、ベルグ氏は明らかな苛立ちを顔にだした。「保守党が率いた前市議会は、18年間なにもできずに、我々は3か月でここまできた」と、ベルグ氏は反論している。

緑の環境党を代表する同氏は、市内の道路や車の規制には国家レベルでの協力も必要なため、ベルゲン市議会と共に、運輸・通信大臣と議論を続けている。だが、同大臣は最も環境問題には関心が低いとされる反対勢力の進歩党のため、積極的な協力を得られずにいる。進歩党と緑の環境党は、政策において最も距離がある対照的な2党である。

環境問題においては、「なんとかしなければ」という意思は多くの政党で共通しているが、反対勢力であるというだけで、互いに責任を押し付け合い、足を引っ張り合う傾向にある。メディアを通して報道される政治家たちのケンカは、市民に「またか」と思わせている一面があることは疑いの余地がない。

Photo&Text:Asaki Abumi