Yahoo!ニュース

第2のアナ雪効果を狙う?ノルウェー伝説のバンド「メイヘム」がハリウッド映画に

鐙麻樹北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員
今でも圧倒的な人気を誇るメイヘム Photo:Asaki Abumi

ノルウェーのブラックメタルバンド、「メイヘム」(Mayhem)のストーリーがアメリカで映画化されるようです。ノルウェー国営放送局やローリング・ストーンの報道によると、メイヘムのベーシストであるネクロブッチャーは、映画のベースとなる書籍のクオリティに満足しておらず、映画化には反対。

プロデュースに関わるのが『エイリアン』や『グラディエーター』などで知られるリドリー・スコット監督と、マドンナなどのミュージックビデオ制作などに携わった、隣国スウェーデンのJonas Akerlund氏ということも、どうやらお気にめさないようです。ローリング・ストーンの取材では、「スウェーデン人とハリウッド映画のやつらに、地獄に落ちろと伝えてくれ」と、ネクロブッチャーは憤慨のコメントをしています。

90年代の教会放火や殺人事件の恐ろしいエピソードは、どのように映画化されるのでしょうか。撮影は、ノルウェーで今年の秋頃に予定されています。Aftenposten紙によると、撮影はベルゲンにて10月に6~8日ほどおこなわれる予定とも。

第2のアナ雪効果を狙えるか?

映画『アナと雪の女王』は、制作スタッフがノルウェーを実際に訪れ、風景やデザインからインスピレーションを受けて、登場人物のコスチュームや、舞台の背景やお城がデザインされました。上映後は、映画の世界観を味わおうと、アメリカなどからの外国人観光客が倍増。

ノルウェーのブラックメタルは、もともと国際的な音楽市場でも知名度の高いジャンルで、熱狂的なファンがノルウェー語を学んだり、ノルウェーを訪れたりするほどです。そのなかでも、ブラックメタルの歴史において、メイヘムはまさに伝説となっている存在。映画効果で、ノルウェーを再び国際的にPRしようと、舞台裏では着々と関係者同士で話が進んでいても不思議ではありません。

メイヘムの映画は、第2のアナ雪効果を生み出せるでしょうか?

参考

Rolling Stone「Madonna Video Director to Helm Norwegian Black-Metal Movie」

NRK「Norske kirkebranner blir Hollywoodfilm」

北欧・国際比較文化ジャーナリスト|ノルウェー国際報道協会役員

あぶみあさき。オスロ在ノルウェー・フィンランド・デンマーク・スウェーデン・アイスランド情報発信15年目。写真家。上智大学フランス語学科卒、オスロ大学大学院メディア学修士課程修了(副専攻:ジェンダー平等学)。2022年 同大学院サマースクール「北欧のジェンダー平等」修了。ノルウェー国際報道協会 理事会役員。多言語学習者/ポリグロット(8か国語)。ノルウェー政府の産業推進機関イノベーション・ノルウェーより活動実績表彰。著書『北欧の幸せな社会のつくり方: 10代からの政治と選挙』『ハイヒールを履かない女たち: 北欧・ジェンダー平等先進国の現場から』SNS、note @asakikiki

鐙麻樹の最近の記事