米主要紙もついに大絶賛

米主要紙ニューヨークタイムズは8月1日、「メダルに値する食事を見つけたとき」というタイトルで日本のコンビニエンスストアの素晴らしさを、一面およびスポーツ面で大きく報じた。

同紙は識者や日本に駐在する特派員が中心となって、これまで、日本での新型コロナウイルスの感染拡大を懸念して大会中止を訴えたり、金の亡者として腐敗したIOCを非難したりする記事を発信し、東京オリンピックの開催について反対姿勢をとっているのが特徴的だった。

8月1日発行号では一転し、一面を使って日本のコンビニ文化を大枠で取り上げた。

8月1日号の一面:

  1. アメリカでワクチン接種率の低い州
  2. 議事堂襲撃事件のその後
  3. アフガニスタンからの難民増加 ── など

これらに加えて、「メダルに値するほど」上質な日本のコンビニの食べ物や文化を一面(右下枠)で、そして続きをスポーツ面の大枠で紹介している。

8月1日のニューヨークタイムズの一面。(新聞は筆者が撮影)
8月1日のニューヨークタイムズの一面。(新聞は筆者が撮影)

一面の続きのスポーツ面。(新聞は筆者が撮影)
一面の続きのスポーツ面。(新聞は筆者が撮影)

普段はアメリカ国内で活動するアンドリュー・ケー(Andrew Keh)記者は、オリンピック取材のため、東京に滞在中だ。初の日本滞在か否かは不明だが、同記者はこのように述べている。

「ホテルからプレスセンターまで徒歩10分。この間、3つのコンビニがあるが、それらが私を誘惑しなかった日はほとんどない」

「アスリートでさえ、パンパンに詰まったコンビニ袋を提げている姿を見かけるほど」

滞在先から会場への移動中、バスの車窓から見えるさまざまな飲食店に誘惑されているそうだが、記者も選手らと同様に、感染拡大防止のため、取材先への往復以外での外出は禁止されている。そんな厳しい取材規制が敷かれる中、彼らを救っているのが、日本のコンビニだそう。

コンビニは言わずもがなアメリカで誕生したものだ。日本では1973年、セブン-イレブンの前身となるヨークセブンが設立され、アメリカの7-Elevenとライセンス契約を締結し、翌年に第1号店を東京都江東区にオープンした。本家アメリカの7-Elevenは今も健在だが、日本のそれとは比べものにならない。

日本のコンビニはどこも蛍光灯で明るいが、本家は小暗い。売られているラインナップも日本のものとはまったく異なる。「いらっしゃいませ」のような元気の良い掛け声もなければ、サービスもよろしくない。

アメリカの7-Eleven一例。(c) Kasumi Abe
アメリカの7-Eleven一例。(c) Kasumi Abe

関連記事

筆者が以前レポートした、アメリカのセブン-イレブン

アメリカの「セブンイレブン」、日本と「商品」は全然違っていた…!(現代ビジネス)

ケー記者によると、東京オリンピックのプレスセンターには、2つのレストランがあるという。うどんやビーフカレーなど、日本の定番ランチを提供するカフェテリアと、ピザやハンバーガーなどを提供するレストラン。しかし同記者は「ホテルにある飲食店もそうだが、どこも量が少なく、いつも同じで限られたメニュー」。

そんな彼らの胃袋を満たしているのが、コンビニというわけだ。コンビニは「クオリティが高く、バラエティ豊かで、24時間営業していて、どこにでもある」。

筆者が知る限り、このような店はアメリカには見あたらない。

また同記者は、日本のコンビニを以下のようにも絶賛している。

セブン-イレブンのコーンドッグに付いてくるケチャップのパックは、ひとつまみでケチャップとマスタードが同時に噴出する(便利な)作り。

冷たいそばは、麺がピタッとくっついて見た目が悪い。しかしつゆ、ネギ、ワサビ、ふわふわのとろろなど、プラスチックの袋に入ったたくさんの付属品を(イケアの商品のように組み立てが必要だが)開けて入れると、戸惑いは満足感へと変わった。

(準備していなかったが現地で必要となった)日焼け止めをファミリーマートで、ハンカチをローソンで、シャツとネクタイをセブン-イレブンで調達できた。

日本のコンビニには、リカー類からお泊りセットまで何でもあるが、アメリカでリカー類を購入するためには、基本的にリカーストアに行かなければならない。アメリカのドラッグストアが日本のコンビニに一番近いが、コンビニほどの商品ラインナップと品揃え(&美味しさと安さ)がしかもコンパクトなスペースで実現できている事例を見たことがない。

また、日本に住んでいたらきっと当たり前すぎて気づかないだろうが、カットしやすい切り口のパッケージや、片手でもカットできる作りのサランラップ、おにぎりの白米と海苔を分けたパッケージのアイデアや機能も秀逸だ。痒いところに手が届く商品開発は、日本独自のアイデアと技術と顧客への思いやりからだろう。

コンビニもスタバもマクドも、もとはアメリカで誕生したものだが、日本に上陸後、日本独自の工夫で進化しているのだ。

万能ではないコンビニ、問題点は?

ケー記者は、コンビニの落ち度にも目を向ける。彼の目を通した問題点は、「信じられないほどの量のプラスチック包装」。

筆者もこれには同意する。日本は見た目の良さが重視されるあまりに、過剰包装が異常に多い。雨の日に紙袋にかけられるビニール袋もアメリカにはない。アメリカにも以前は無駄な包装があったが、環境保全のためにプラスチックが年々削減され、代わりに紙製のパッケージが使われるようになった。

ほかに同記者は、「コンビニの店員は日本の終わりの見えないコロナ戦争の最前線に立たされ、常に感染のリスクを背負っている。その割には、国内でもっとも低賃金の仕事の1つだ」と、劣悪な労働環境にも目を向けた。

アメリカ人が恋しいアメリカ食は?

ニューヨークタイムズの記事から外れるが、アメリカにも美味しい食べ物はたくさんある。ホットドッグ、熟成ステーキ、グリルドチーズ、マックアンドチーズにアルフレッドパスタ、肉汁滴るハンバーガー・・・。日本の食べ物のクオリティが高いと言っても、きっとどの選手もしばらくすると自国の食べ物が恋しくなるはずだ。

女子体操競技のオールラウンドで金メダルを取り一躍大スターとなったスニ・リー(Sunisa Lee)選手も、日本での滞在が長くなり、アメリカ食が恋しくなった様子。

同選手は国民食の代表格、ペペローニピザをホテルの自室で頬張りながら、メダル獲得を祝ったことが報じられた。

これを見たアメリカの人々も「なんて完璧な食べ物でお祝いを」と同調している。

ところで筆者は、4月に発表した東京オリンピック関連の記事で、このように書いていた。

また開催地、日本のイメージアップにも繋がっていくことは必至だ。報道やソーシャルメディアを介し、選手が発信していく素晴らしいオリンピック体験(試合はもちろん、日本文化、食べ物、コンビニ、自販機、日本人から受ける親切、ウォシュレットなど)は、必ずや「日本」という国の存在感を再び高めていくことになるだろう。

コンビニが外国人ウケすることは、容易に想像できた。今回は米主要紙でコンビニがクローズアップされたが、きっと自動販売機や公衆トイレも記者の心を掴んでいると、筆者は密かに思っている。

キラキラした見た目でハイテクで、なんでも出てくる安くて美味しい自動販売機。世界一清潔で高機能の(しかも無料で使える)トイレ(ウォシュレット、音姫、パウダールーム・・・)。これらも当たり前にあるようで、実は世界から俯瞰して見ると当たり前ではない。筆者は3年前、TOTOのニューヨーク支社を取材した。当地でウォシュレットを購入するのは、日本の駐在員に加え、日本旅行から戻って来たばかりのアメリカ人も多いとのことだった。

世界に誇ることができる、知っているようで知らない日本のスゴさ。実は外国人から教えてもらうこともあるのだ。

(Text and photos by Kasumi Abe) 無断転載禁止