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#コロナとどう暮らす】NY初の死者ゼロになった日、海開きしたビーチに行ってみたら・・・

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
老舗レストランのキャラもマスク姿。(c) Kasumi Abe

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響で、日本では今夏、海開き中止が相次いで発表されている。海もそうだが更衣室やシャワー室の混雑も予想され、十分な感染予防対策ができないのが理由だ。ただし、砂浜の散歩などは禁止されていない。

そんな中で海水浴場の利用自粛を知ってか知らでか、県をまたいだ移動自粛要請の解除後、至る所でビーチの混雑ぶりが報告されている。無法地帯化を避けるため、警備員による見回りやライフセーバーを派遣した自治体も出ている。

もうすぐ夏本番の中、「私たちはコロナとどう暮らす」特集の中にある「新型コロナの影響で海水浴場が開設中止に、どう思う?」には、3万2000を超える意見が寄せられた。

投票結果によると68.6%が「妥当」25.8%が「妥当ではない」と回答している。

閉鎖派

「海は来年もそこにあるし、第二波を考えると開設の中止は妥当」

「海水浴自体は問題ないが、海の家やシャワー室などが危険」

「県外から来る人が多いから中止は仕方ない」

開設OK派

「密集していない屋外で感染拡大した例はない」

「海のような野外は3密にはなりようがない。社会的距離は十分保てる」

「新規感染者がほとんどいない地域の開設中止は無意味」

「閉鎖したって行く人は行く」

など、さまざまな声が聞こえてきた。

かつての感染爆発地、ニューヨークは今

一方、筆者の住むニューヨーク市内の海水浴場はと言うと・・・パンデミック以降、散歩以外の人の立ち入りを禁止し、夏本番のこの時期にオープンするしないでだいぶん揺れていた。しかし、結局7月1日にオープンした。

この決断は、現在の感染状況を表すデータ(数値)に基づいて下された。

7月10日、1日の最多感染数6万7000人が報告されるなど、今も感染数が急増しているアメリカ(感染者数は累計で330万人超え、死者13万5205人)。一方で3、4月の最悪期を乗り超えたニューヨーク市は、この2ヵ月ほど感染のスピードが落ち着いている。(感染者数累計40万6000人以上、死者3万2029人)

今でも大イベントやパレードは中止されているが、6月22日以降、飲食店は屋外スペースのみ営業可となり、たくさんの人々が屋外飲食を楽しんでいる。密になりにくい屋外は感染の危険性が低いという判断からだ。(よって屋内飲食はいまだ認められていない)

ビーチがオープンして2週間以上になるが、オープン後も今のところ感染数に変化は見られない。また7月12日には、市内でのコロナ関連の死者が、3月11日以来初めてゼロになった!

3月16日〜7月12日までの間の、NY州の入院患者(重症者)数を表す曲線。出典:twitter.com/NYGovCuomo
3月16日〜7月12日までの間の、NY州の入院患者(重症者)数を表す曲線。出典:twitter.com/NYGovCuomo

とはいえ、ビル・デブラシオ市長はかねて、気を緩めるとビーチの群衆は手に負えなくなり、ウイルスを蔓延させる可能性に繋がるものとして「パンデミックはまだ終わっていない。気を引き締めて行動するように」と市民に再三注意喚起している。

感染拡大防止のため、海に行く際の注意点

  1. 世帯メンバー(同居している家族や恋人、ルームメイトなど)と行く
  2. 他人と社会的距離(約1.8メートル)を保つ
  3. ビーチマットや椅子などを利用する場合は、他人と約3メートルの距離を保つ
  4. 水中以外の場所で社会的距離を保てない場合はマスクを着用し、また集団活動を避ける
  5. ビーチの利用は午前10時から午後6時まで

ちなみにビーチ以外の夏のレジャーの再開状況としては、ゴルフ場、キャンプ場、バーベキュー場、バスケやテニス施設など屋外アクティビティがすでにオープンしている。ただしここでもマスクやバンダナで顔を覆い、ソーシャルディスタンシング(社会的距離)を保つことが求められている。ビーチから遠方にある15箇所のプールも、7月24日にオープンする予定だ。

実際に行ってみた

ブルックリン最南端に地下鉄で気軽に行ける「コニーアイランド」というビーチがある。マンハッタンから電車で1時間ほどの距離で、カラフルでレトロな2つの遊園地が併設されている、庶民の夏のリゾート地だ。

電車を降り、目に入ってきたものにギョッとした。

どこかで見た光景・・・。

(現在感染拡大が進む)「マイアミのビーチの様相だ!」

日曜日ということもあってかものすごい人出で、つい数ヵ月前のロックダウン中の苦くて辛い記憶が吹っ飛ぶほどの賑わいだ。

例年、暑い日で100万単位の人が訪れる人気ビーチ、コニーアイランド。(c) Kasumi Abe
例年、暑い日で100万単位の人が訪れる人気ビーチ、コニーアイランド。(c) Kasumi Abe

砂浜の中では、一応グループごとに距離を置いてビーチマットが敷かれていた。しかし、明らかに友人同士とみられる集団が同じビーチマットをシェアし、おしゃべりに興じたり日光浴を楽しんだりしていた。

1920年から稼働し今年「100歳」のレトロな観覧車。(遊園地は休園中)(c) Kasumi Abe
1920年から稼働し今年「100歳」のレトロな観覧車。(遊園地は休園中)(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe

毎年7月のホットドッグ早食い競争で必ずコニーアイランドに遊びに来ていると言うキャサリンさん。ビーチの開設について話を聞くと「夏の定番なので、ここで過ごせてとても嬉しい」とにっこり。「コニーアイランドなしの夏は考えられない。カラフルな色合いといい形といい雰囲気といい、ここは私にとってアメリカのバックボーン(=背骨。この国を支える、ここぞアメリカというような意味)だから」。

クイーンズ区からやって来たキャサリンさん(左)とサラさん。ホットドッグ早食い元チャンピオンの小林尊氏と今年優勝した須藤美貴氏のファン。「なぜ日本人は早食いが強いの?」と聞かれた。(c) Kasumi Abe
クイーンズ区からやって来たキャサリンさん(左)とサラさん。ホットドッグ早食い元チャンピオンの小林尊氏と今年優勝した須藤美貴氏のファン。「なぜ日本人は早食いが強いの?」と聞かれた。(c) Kasumi Abe

砂浜に設置されている大人用のアスレチック設備では、男性のグループがトレーニングで利用していた。誰もが、自宅待機中の時間を取り戻すかのように、楽しみながら体を鍛えている。筆者がこのグループを見つけた際は「コンテストを見逃したね〜」と言われたので、イベントも行われたようだ。

その中の男性の1人はビーチ再開について、「最高だね。風と太陽に当たりながらリフレッシュできるし、自由を手に入れられたような気がする」と語った。

(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe

人気ホットドッグ屋の前では皆、社会的距離を保ちながら列を作っていた。

コニーアイランド名物で毎年早食い大会を開催しているホットドッグの老舗、ネイサンズ。(c) Kasumi Abe
コニーアイランド名物で毎年早食い大会を開催しているホットドッグの老舗、ネイサンズ。(c) Kasumi Abe

「社会的距離」と「マスク着用」のお知らせサインが各所に設置されている。

(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe

マスクやフェースカバリングについて、ボードウォークを歩く人々は着用していたが、残念ながら砂浜にいる人のほとんどは着けていなかった・・・。

筆者は3週間前にも郊外のビーチに足を運んだが、そこは車社会なので駐車場の入り口で入場数を50%以内にコントロールできていた。しかしコニーアイランドへは地下鉄で行くことができ入り口などは特にないため、入場数が規制されていない。ライフガードやパトロール用の警官は配備されていたが、人数制御はしていなかった。

コロナのパンデミック中であることを忘れるほど、この場所だけは「いつもの夏の風景」だった。コロナが収束したとはまだ言えないが、これだけの人数が集まり感染が広がらなければ、それに越したことはない。

ニューヨークでコロナの感染爆発が起こっていた3、4、5月ごろ、何処吹く風のフロリダ州マイアミのビーチには若者が大挙して押し寄せた。そして現在フロリダは感染爆発する全米主要都市の1つだ。ニューヨークが二の舞にならないことを祈る。

そのほか写真で見るパンデミック中のコニーアイランド in 2020

NYPDの警官。カメラを向けると笑顔を見せてくれた。(c) Kasumi Abe
NYPDの警官。カメラを向けると笑顔を見せてくれた。(c) Kasumi Abe
蛇と一緒に散歩したり、オウムを連れてギターを弾いたり。(c) Kasumi Abe
蛇と一緒に散歩したり、オウムを連れてギターを弾いたり。(c) Kasumi Abe
水着にならないさまざまな民族の人々も訪れていた。(c) Kasumi Abe
水着にならないさまざまな民族の人々も訪れていた。(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe
(c) Kasumi Abe

(Text and photos by Kasumi Abe)  無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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