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北朝鮮の金正恩、重篤説について米CNNに次ぎニューヨークタイムズも速報

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
昨年6月の米朝首脳会談。肥満はコロナで重症化しやすいので今の時期注意が必要だ。(写真:ロイター/アフロ)

米CNNは現地時間4月20日夜、北朝鮮の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の重病説を第一報で伝えた。

北朝鮮の内部事情に精通しているアメリカ当局者の証言として「金正恩氏は手術を受け、その後重大な危機状態にある」という。

金正恩氏が最後に公の前に姿を現したのは今月11日の政府会合の場で、その4日後に行われたもっとも重要なイベントの1つである、祖父にあたる故、金日成(キム・イルソン)主席の生誕記念式典に姿を見せなかった。このことでさまざまな憶測が飛び交っている。

CNN(日本語)「北朝鮮の金正恩氏、手術を受け重篤の情報」

CNN(英語版)US monitoring intelligence that North Korean leader is in grave danger after surgery(北朝鮮指導者が手術後に重大な危機に瀕しているという米国の監視情報)

またこの報道の2時間後には、ニューヨークタイムズ紙も速報を出した。こちらは、重病説について疑問を呈する内容だ。

Is Kim Jong-un Ill? South Korea Disputes Report Saying He Is(金正恩は病気か? 韓国側が異議を唱える)

同紙は、韓国政府からの公式のコメントはないとしているが、ソウルにある匿名の政府高官が、金氏が手術の後に治療を受けていたという報道内容について「信憑性に欠け、確認すべきことは何もない」と証言したと報じた。

北朝鮮内の内部事情を報じる韓国のウェブニュース、デイリーNKの報道では、金正恩氏は今月12日、Hyangsanという歴代で使っている病院で心臓血管の外科手術を受け、手術後は首都平壌の北側、Mohyang山の麓の別荘で療養していたが、快方に向かったため、招集されていたほとんどの医師が1週間後に平壌に戻ったと報じた 。

韓国の通信社、聯合(ヨンハップ)ニュースも、ソウル市内の匿名の政府高官のコメントを引用し、デイリーNKの報道は「真実ではない」と報じている。

またニューヨークタイムズは、正恩氏にとっての祖父と父に当たる故、金日成氏と金正日(キム・ジョンイル)氏が共に心臓疾患による合併症で死亡したと、心臓に弱い家系についても触れ、その上で重病説の噂の引き金になっているのは、15日に行われた金日成生誕記念式典に欠席し、またそれ以来世間から姿を消したからだとしている。

またNBCニュースの記者は「正恩氏が脳死状態にある」とツイート(現在削除)するなど情報が錯綜し、混乱気味だ。

ちなみに上記の記事では、同氏の新型コロナ感染説については一切触れられていない。しかしこの時期に突然公の場から姿を消したことで、ウイルスに感染しているのではという疑いも否定できない。正恩氏が愛煙家で(おそらく)遺伝により心臓が弱い体質であり、さらに隣に並んだトランプ大統領でさえスリムに見えるほどの肥満体型は、コロナにかかるともっとも重篤化しやすいのだ。筆者は新型コロナ重篤説も捨てきれないとさえ思っている。

(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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