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船内隔離生活綴ったNYのVlogger夫婦ら チャーター便で米国到着(ダイヤモンド・プリンセス)

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
自衛隊のバスで、ダイヤモンド・プリンセスから羽田空港に輸送された乗客。(写真:ロイター/アフロ)

新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、横浜港に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号。乗員乗客3711人のうち、現時点で454人の感染が確認されており、感染者数は日に日にうなぎのぼりとなっている。

乗員乗客のうち、アメリカ人は428人。米当局は自国民を退避させるべく、チャーター2機を用意し、最終的には380人弱(ニューヨークタイムズ紙や河野大臣の発表では328人との情報)が、2月17日羽田空港から帰国の途に就いた。

乗船していたアメリカ人のうちウイルス感染がわかった44人はチャーター機に乗らず、日本国内の病院で治療を受ける。

中には「帰国後のさらなる隔離生活」や「陽性かもしれないほかの乗客と機内で同乗すること」を心配し、チャーター機での帰国を選ばなかった人が30人以上いた。

また今回の脱出劇には、予想だにしなかったすったもんだがあった。空港への移動の過程で行われたウイルス検査で14人から陽性判定が出たのだ。結果的には、この14人はチャーター機での帰国を許可された。機内の「専用収容スペース」に入れられ、ほかの乗客とは完全隔離されたという。

2機は2月17日、アメリカに無事に到着。1機はカリフォルニア州のトラヴィス空軍基地に、もう1機はテキサス州のラックランド空軍基地にそれぞれ着陸した。

隔離生活をVlogで発信した夫婦も帰国

今回チャーター機で帰国した人の中には、ダイヤモンド・プリンセスの船内での隔離生活をたびたびYouTubeを通してVlog(映像を使ったブログ)で発信してきたシェリル&ポール・モレスキー(Cheryl&Paul Molesky)さん夫妻も含まれている。夫妻は、ニューヨーク州シラキュース市からクルーズ船の旅に参加していた。

モレスキー夫妻のVlogから、検疫期間中、過酷な心理状態ながらも前向きな気持ちで過ごしてきたことが伝わってくる。

From the Coronavirus Front Lines, Sterile Room Service Dilemmas

隔離される前から隔離後まで、船内での食事Vlog。

Coronavirus We’ll Know in Three Days

下船前のウイルス検査を受けるモレスキー夫妻。「陽性だった場合は2〜3日で、陰性だった場合は4〜6日でお知らせします」と担当検査官に説明されている。

全米での感染者は29人に

モレスキー夫妻を含む、今回のチャーター便で帰国した全員(陰性結果の人も含む)は、これからさらに14日間の検疫のために、隔離生活を余儀なくされる。つまり、ダイヤモンド・プリンセス号での隔離期間も含めると、「外界」に出るまで合計約1ヵ月も隔離生活を余儀なくされることになる。しかし、国内の衛生状態を保つために致し方ないこととして、避難者全員は従っている。

帰国直前に陽性判定が出た*14人の追加で、アメリカ国内での新型コロナウイルス(COVID-19)感染者は全部で*29人となっている。

( *Updated: その後ダイヤモンド・プリンセス号からチャーター便で帰国した乗客の中で陽性判定が出たのは18人となり、現在アメリカ国内での感染者数は計35人となっています)

ニューヨークタイムズ紙による、現在の症例数がわかる中国近辺および世界のマップ(アップデート中)

(Text by Kasumi Abe)  無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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