時間を蝕むマイクロタスクたち
マイクロタスクは時間を食いつぶし、仕事をしている時間を限りなく伸ばしてしまう。もっとひどいことに、時間を節約しようと思っているのに、実際には逆のことが起きてしまう。そんなマイクロワークから抜け出すためのカギをいくつか紹介しよう。 スーパーのレジに並びながらメールを読んだことはありますか?スケジュールの合間に、移動中の地下鉄で書類に目を通したことは?ベッドに入ってから職場のコミュニケーションアプリを開いて返信したことは?答えがイエスなら、あなたは"マイクロワーク"をやっていることになる。"マイクロワーク"とは業務時間外に「サッと」やってしまう小さな仕事のことを指すが、実際にはプライベートな時間を食いつぶすものだ。「仕事の、日常の中への侵入です」とフェミニストのキャリア・コーチング企業であるPowHER ta carrièreを立ち上げたサラ・ジトゥニさんは忠告する。「数秒間しか掛からないから、と思っていても、実際にはマイクロタスクは仕事から離れる権利を蔑ろにします」 この権利の法制化の分野でフランスは第一線に立つというのに、なぜ我々は職場を離れても仕事にしがみつこうとするのだろうか。「FOMO(英: Fear Of Missing Out、フォーモ、取り残されることへの恐れ)はありますね」とSNSではCareer Kueenの名で知られるキャリーヌ・トリウリエさんは考える。「有力な情報や機会を逃してしまうことを恐れているのです。瞬時にメッセージに返信しないと、野心がない、仕事熱心ではないと思われないか不安なのです。」
頭は霧の中
もっとも、マイクロワークは今までにないほど効率的になった。そのため退社してすぐにメールボックスを確認してしまう。不運なことに、一通(複数)のメールが届いている。重要なメールなので返信するには考えをまとめないといけない。結局は翌日に取り掛かることにして、忘れないようにメールを"未読"に戻す。しかし、時すでに遅し。その内容は一晩中、頭の中を駆け巡ることになる。「すぐその晩に返信するつもりがないのであれば、そもそもメールを読んだ意味がありません」とサラ・ジトゥニさんは指摘する。「ただ頭の中に霧が立ちこめた状態になっただけです。」そして、休息も中途半端になってしまう。 逆に早く返信しすぎてファイルの添付を忘れてしまったり、スペルミスを残したまま送信してしまうこともある。結果として、急いでこなした仕事も、同時進行でやっていたことも(洗濯機を回す、友人と一杯やる、スポーツのエクササイズを始める)、全てにおいて質の低下を招いてしまう。「仕事とは、テーブルの端っこで片手間にできるようなものではありませんよね」とPowHER ta carrièreの創立者は言う。「事務所の外で仕事と距離を置くことができないなら、夕食後に仕事をする時間を設けた方がいいでしょう。時間の長さも決めた上で」