18世紀の邸宅で、歴史と創造性を美しくミックス。|アーティストの別荘訪問(3)
Bedroom
同年12月に購入したものの、住むには若干の工事が必要だった。 「1950年代に増築されたガレージを壊して、当初の状態を復元することに。昔の外観を取り戻したかったので、唯一残っていた壁の造作を頼りに想像力を働かせました。また、張り替えられていた1階の床には、18世紀の床のままだった2階の床に似た寄せ木張りの床を探して替えました。自分たちも修復が専門なので壁を削ってみたのですが、壁紙は見つからず......。もともとグレージュの塗装壁だったのがわかってがっかりしました」
とはいえ、ふたりがこの家の歴史を損なうことなく修復した結果はご覧のとおり。ここはセカンドハウスとしてではなく、どうやらふたりは腰を据えるらしい。一部のスタッフがこの地で働き始め、レストランを併設した新ショップもオープン。提供する料理もふたりが作っているそう。手をかけたふたりの田舎暮らしが始まっている。
『Chez Antoinette Poisson, ou l'Art de Vivre au Fil des Saisons(アントワネット・ポワソンの家、四季折々の暮らし)』
2023年10月にフラマリオン社から出版。単なるインテリア本ではなく、古さとクリエイティビティをどうミックスさせるべきか、の指南書にもなっている。アントワネット・ポワソンのスタイルにどっぷり浸かれる全240ページ。ヴァンサン・ファレリー&ジャン=バティスト・マルタン著 Flammarion刊 55ユーロ
ヴァンサン・ファレリー & ジャン=バティスト・マルタン
オーベルニュ地方の歴史建造物を修復している時に、18世紀の壁紙、ドミノペーパーを発見。当時の手法を蘇らせ、2012年にブランドを設立。パリ11区にアトリエを持つ。 *「フィガロジャポン」2024年9月号より抜粋 photography: Ruth Ribeaucourt(Flammarion, 2023) text: Vanessa Zocchetti(Madame Figaro)