【最果タヒさん】インターネット発詩人の「SNSとの付き合い方」「顔出ししない理由」
自分が積み重ねてきた作品や仕事に対して、つねに最善を尽くしたい
詩は、いつもスマートフォンで書いているという最果さん。「詩を書く時の気持ちはとてもフラット。自分の話をしようとすると面白くないし、どこか辻褄合わせをしようとするから、言葉としてもっとプレーンで、自分の予想からはみ出ているようなものがふっと出てくる瞬間を待っています。そんな言葉が書ければ、その言葉が次の言葉を呼んできてくれる。自分でも予想しなかったところに作品が着地すると嬉しいです」。長年書き続けてきた意地と誇り、詩と出会った人をがっかりさせたくないという真摯な気持ちが書くモチベーションになっています。 「いろんなところで詩を書かせてもらうけれど、その詩が誰かにとっては『初めまして』の詩なんだなということをいつも考えます。そこで、1人の人が偶然私の詩と出会って、好きになるかがっかりするか決まる。1回きりだと思って手を抜いてしまったら、その人にとっての私が終わってしまう。もっと美しい出会いがあったはずなのにできなかった、で終わらせたくない。初めての媒体やメディアに書く時はいつでも緊張します。 私はこの仕事して17年ですが、自分が“よし!”と思えないと出せない。どこからがよし!なのかはあまりわからないけど、でも自分が納得するまでどうしてもひっぱってしまうところがあります。出してから後悔するような作品は、出したくないから……。自分が積み重ねてきた作品や仕事に対して、つねに最善を尽くしたいという感覚があるのかな、と思います。答えがない世界なので、自分が納得しているか、自分を恥じていないか、が唯一の道標みたいなところがあるんです。それを見失いたくはなくて。ちょっとスポーツっぽい考え方かもしれないですね。自分の誇りを保てるように、自分がどうしてもいやなことしないし、自分を恥じるようなことはしないように、ずっとずっと気をつけています。それが刺激的で楽しいんです。ただ頑固なだけかもしれないですが(笑)。それが私にとってのモチベーション、エネルギーになっています」