【選手権】0-6の大敗から3年、後輩たちが青森山田を撃破!高川学園の江本孝監督「身体を作らないと全国では勝てない」
12月31日、第103回全国高校サッカー選手権の2回戦が首都圏内の各会場で行われ、NACK5スタジアム大宮の第1試合で高川学園(山口)が前回王者の青森山田(青森)を2-1で見事に破り、3回戦に進出した。 【フォトギャラリー】2回戦試合風景 「何かを起こしてやろうと思っています」 これは高川学園の江本孝監督が12月6日に行われたプレミアプレーオフの1回戦でガンバ大阪ユースに1-2で惜しくも敗れた試合後に、この青森山田戦に向けて残した言葉だ。その言葉通りに選手たちは躍動し強敵を撃破してみせた。 立ち上がりから距離感を詰めた守備で青森山田を苦しめた高川学園。エースFW10大森風牙(2年)が前線で起点を作ることで、守備陣もラインを上げられた。FKのチャンスはあったが、それでも決定機と呼べるものはなく、スコアレスという前半の結果は妥当だった。 そして迎えた後半7分、選手たちが「何かを起こす」時がやってきた。この試合1本目のCK。4人が手を繋ぎ3年前に旋風を起こした「トルメンタ」の構えに入った。今では日本全国、地区予選でもよく見られるようになった、回転して相手マークを撹乱するトリックプレーだが、本家である先輩たちのプレーを後輩たちがアレンジ。ゴール前で直接合わせるのではなく、ゴール前を警戒させてニアサイドにグラウンダーのボールを通した。 グルグル回る自分のマークを確認していた青森山田DF陣はブロックされボールに寄せられない。フリーでパスを受けたDF2柿本陽佑(3年)はすぐさま左足でファーサイドを狙った。これはポストに弾かれたが、折り返しをFW大森が押し込み待望の先制ゴールとなった。 その後、PKで加点した高川学園は青森山田に1点差に詰め寄られながらも逃げ切りに成功した。 「3年前の青森山田戦で1回もセットプレーをやらせてもらえなかったんですよ。『先輩のためにも1回ぐらいトルメンタをやってくれないかな』とは言ったんですけど、まさかその流れで点が入るとは思わなかった」 自身の何気ない一言に対し、選手たちが期待を上回る結果で応えてくれたことに指揮官は笑顔をみせた。 確かにこのトルメンタの一撃はこの試合のハイライトになった。しかし、この試合を勝ち切れた要因はそこに至るまでの戦いぶりにある。球際での競り合いや走力で相手を上回る。そのプレーの連続があったからこそ0-0で前半を折り返し、あの場面に繋がったと言える。 3年前の第100回大会では旋風を巻き起こし、4強入りを果たした高川学園。しかしその大会で敗れた相手が青森山田。準決勝で0-6という大敗を喫した相手はMF松木玖生(ギョズテペSK)、MF宇野禅斗(清水)の超高校級の強烈なダブルボランチに、その他のポジションにも錚々たるメンバーを擁し、歴代最強とも呼ばれる相手に一矢報いることもできず、完敗を喫した。 「3年前に準決勝で0-6で負けちゃったので、その時の悔しさというか、これぐらいの身体を作らないと全国では勝てないというのが正直あったので、それを3年かけてOBの子たちも本当に頑張ってやってくれた。特に今年はメンバーだけじゃなくて全部員がプロテインや食事の面で凄く強化してきたので、それが今日の結果に間違いなく結びついた」