高齢者は本当に家を借りにくい?終の棲家は必要?人気建築家が<家に人生を捧げがちな日本の住まい方>を見直して気づいたこと
子どもがもうすぐ独立、このまま独身で生きようかと考えている、親がそろそろ要介護、定年退職が見えてきた、…など、人生のセカンドステージを迎える時期だからこそ、住まいの観点から新しい生き方を考えてみませんか。小さな家・二拠点生活・古民家・空き家活用など、時代に合った「住まい方」に挑戦した、50代以降の女性達を多数紹介した書籍「人気建築家と考える50代からの家」より一部を抜粋して紹介します。 【書影】人生の節目で一旦立ち止まり、理想の未来と家を考えるきっかけに…湯山重行さん著書『人気建築家と考える50代からの家』 * * * * * * * ◆人生のステージごとに家を着替える ここ数年の物価高騰で、モデルハウスに行くと新築住宅は否応なく3000万円からという時代になった。住宅ローンを組むと返済期間は30年を超えてしまう。 30代で購入した場合、ようやく支払いを終える頃がリタイアのタイミングだから、体が元気なうちにと今度はバリアフリー工事が必要になって、これまた出費がかさむ。 これでは家に人生を捧げ、支配されるようなものである。日本は災害大国でもあるので、水害、風害、地震があれば補修もままならない。精神的にも負担が大きい。 だから、「家を持つのはちょっと先に」「人生の大部分を賃貸で」という選択肢もアリだ。自分と家族の価値観や健康も時の流れとともに変化する。 家だってその都度、変化したほうが楽しいに決まっている。若いうちはヤドカリのように住み替えるほうが自分の人生にその都度、アジャストできる。 日本を脱出して世界を覗きたい衝動に駆られるときだってあるだろう。そう考えると、賃貸暮らしも悪くない。 社会人になったら、とりあえずワンルームを借りて住む。パートナーが加わったら50平方メートル程度の住まいを借りる、子どもを養う必要が出たら一戸建てやファミリー向けの住まいに移る、子どもが巣立ったらまた50平方メートルぐらいの家に戻ってみる。
◆家は借りたほうが楽なのか? 高齢になると賃貸物件を借りにくくなるという心配もあるが、既に日本の人口の3分の1は老人であるから、貸す側も高齢者はお断りと言っていられないようになるだろう。 中古住宅だって手の届く価格帯で豊富に存在しているから、リタイアメント前後に購入するのも手だ。 小さくてちょっとオシャレな中古住宅やビンテージマンションを手に入れ、家具や食器などにこだわってみる。 趣味を極めてみる。そんなふうに自分のセンスで生きるのがカッコいいと思う。 まだ若い方であれば、早めに中古マンションを購入し、ちょっと住んだあとに賃貸に出すという方法もある。 不動産投資に興味があり、長期的に考えて動くことができるなら、将来家を購入するときの足しになるし、住む家がない場合のセーフティネットにもなろう。 家も服のように人生のTPOに応じて何度も着替えようではないか。
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