小林麻美が語る松田優作、根津甚八、寺尾聰との知られざる思い出 “伝説のミューズ”が考えるジェントルな男性とは?
伝説のミューズ、小林麻美が“ジェントルマン”について考える新連載がスタート。 Vol.4は、彼女が実際に会ってきた“ジェントルな男性”について語る。 【写真を見る】現在の小林麻美さん(6枚)自前のサンローランを華麗に着こなす
「気遣いができる人に弱いんです」
危険な人が好き。やさしさの中に刃物のような怖さがある。そんな男性に魅了されるという。やさしさは気配りや心配り。刃物のような怖さはミステリアスな内面や甘く危険な香りだとか。松田優作、根津甚八、寺尾聰……。 昭和を代表する伝説のカリスマと共演し、間近に接してきた彼女が思うジェントルな男性とは? そして彼らに共通するチャームとは。 「ジェントルな男性ですか? うーん、最近ですと寺尾聰さんかな。昨年の紅白にもご出演なさっていて、かっこよかったです。あの年齢であの感じはなかなか出せません。実は歌手でデビューする前に一度、共演しています。50年以上前ですが(笑)。それ以来、ご縁がなかったのですが、数年前、友人に誘われて寺尾さんのライブに行き、その時のライブがあまりに忘れられなくて、今年もまた行きました。とてもお元気で、3時間近くのライブ。『ルビーの指輪』でクライマックスを盛り上げて、ステージを降りたのち、最後にギター抱えて出てきて、『アロハオエ』を弾き語りで切々と歌うの。それもお客さんひとりひとりを眺めるように歌ってくれて、もう泣きそうでした。『アロハオエ』って、別れの悲しい歌ですよね、沁みたなあ。盛り上げたままじゃなくて、やさしく鎮めてくれて、最後に『気をつけて帰ってね』ですって。おかげで帰り道がとてもいい気分でした。まさにジェントルマン、大人ですよね。ライブが終わって、バックステージに呼んでもらって、50年ぶりかにお話をしたのですが、『久しぶりだな』とドラマで共演したことも覚えていてくれました。大昔の話なのに。それもうれしかったです。 ライブのお礼に、トム・フォードのボティローションをお送りしたら、翌日早速お礼の電話がありました。送り状から電話番号知ったのでしょうね。『もしもし寺尾です』って。これがいい声なんです。照れくさそうに『こんなことをするなよ』と。で、最後に『お前も頑張れよ』ですって。こういう気遣いができる人に弱いんです。気遣いというより心遣いかな。余裕があるんでしょうね。ガツガツしていない感じがジェントルです」