「お前は責任取れんのか?」復興支援に奮闘するなすび、福島の風評被害に直面 #知り続ける
東日本大震災からまもなく11年間。俳優、タレント・なすびさんは震災以降、故郷である福島の復興支援を続けてきましたが、困難や課題を感じることも多々あったといいます。「こうやって福島のもん売ってるけど、なすびお前は責任取れんのか?」物産展で面と向かって投げられたという言葉は、福島が直面している風評被害の深刻さの表れです。20年以上前の“裸”イメージが強く、今でもなお「今日は服着てるんだね」と言われることもあるというなすびさんは、一度根付いたイメージを払拭することはとても難しいことだと語ります。(Yahoo!ニュース Voice)
初心者からエベレスト登頂 「売名」と非難も
――なすびさんは今、どんな生活を送っていますか? 東京に住み、俳優活動を軸にしつつ福島のテレビやラジオにレギュラー出演しています。講演会やイベント出演のほか、原発関連のシンポジウムにも参加しています。 ――2016年にはエベレスト登頂に成功されましたが、これも復興支援活動の一つだったそうですね。 計画を立てた当時、僕は登山未経験者だったんです。もしこんな僕がエベレストに登頂できたら、それはもう奇跡だなと。福島や東北になにか明るいニュースを伝えたい、お金や物ではない「心の復興」につながるような何かを達成したいという思いで、挑戦を続けました。 でも最初は、売名行為や便乗商売だと散々非難されてしまいました。「なすびがエベレストに登って、なんで福島が元気になるの?」「復興の何の役に立つの?」という意見もたくさん受けました。けれどその一方で、被災地の皆さんからの励ましもたくさんいただき、僕は皆さんのおかげで頂上に登らせてもらえたなという感覚でいます。
――今後の目標は? エベレスト登頂という大きな目標を達成したように見えるからか、実はよくこの質問をいただきます。でも実際僕は、エベレスト登頂そのものを目指していたわけではないんです。あくまで、福島・東北の皆さんに元気を届けることと、多くの人が被災地に目を向けるきっかけをつくるということが目的で、今後もそれは変わりません。 もうすぐ3月11日。この日付は、きっと皆さんの心にも深く刻まれていることでしょう。被災地のことを考えてくれたり、なにか行動をしてくださる方にはとても感謝しています。 でも、逆に言えば、3月11日以外の364日間もずっと被災地のことを考え続けるというのは、世間一般的にはなかなか難しい。だから僕は残りの364日の間、どうやって福島・東北に向き合っていけばいいかを考えていきたい。これからなにができるのか、常に自分に問いかけながら行動し続けるつもりです。