「久保建英に若い記者たちがサインをねだり…明らかにカオス」インドネシアで日本代表は“アイドル目線”?“中継には映らなかった”舞台ウラ
久保建英に現地記者がサインを求め…明らかにカオス
後半17分に交代でピッチに入る瞬間、この日一番の歓声を浴びたのはMFプラタマ・アルハン(水原FC)だった。アルハンはインドネシアの得点源であるロングスローの担い手として大人気の選手で、ブンカルノ競技場にも彼の背番号である12番のユニフォームを着たファンが大勢いた。しかし、得意のロングスローは日本のゴールマウスを守るGK鈴木彩艶の位置まで飛んだものの、決定機にはつながらなかった。 アルハンは2022年、23年の2年間、東京ヴェルディでプレーしていた経験がある。試合後には日本選手と交換したユニフォームを手にして歩く姿も見えたのでミックスゾーンで声をかけたが、笑顔を浮かべながらも取材には応じなかった。 そのミックスゾーンでは日本の3倍ほどの人数のインドネシアメディアが狭いエリアにひしめき、熱気ムンムンで選手がやってくるのを待っていた。平均年齢も若く、活気あふれる記者たちは日本選手を積極的に呼び止めてコメントを取る熱心な仕事ぶりだったが、一方でMF久保建英が目の前を横切ろうとするやいなやサインを求める奔放な様子が見られた。長谷部誠コーチを呼び止めてスマホで2ショット写真を撮っているメディアもいた。ミックスゾーンは明らかにカオスだった。
先発11人中9人が帰化選手
そうこうしていると、11月にオランダからインドネシアに帰化し、日本戦が代表デビューとなったDFケビン・ディクス(コペンハーゲン)が地元メディアに英語で対応していた。ディクスは右ウイングバックで先発したが負傷の影響で前半のうちに交代でピッチを退いていた。さぞかしガッカリしているだろうと思いきや、ディクスは「インドネシア代表として戦えたことはアメージングだ。スタジアムの雰囲気も素晴らしかった」と高揚感たっぷりに答えていた。 インドネシア代表は北中米W杯の出場国がこれまでの32から48に増えることが決まってから、かつての宗主国であるオランダからの帰化選手を数多く招集しているが、その流れはアジア最終予選を迎えてより加速し、日本戦では先発11人中9人が帰化選手だった。実力が伸びているのは間違いなく、アジア最終予選ではサウジアラビア、オーストラリア、バーレーンから勝ち点1ずつを奪っている。 また、現時点ではグループC最下位だが、2位以下の5チームは勝ち点3から6の間にひしめいており、インドネシアにも本大会出場権を獲得する可能性や期待がまだまだある。それだけに日本代表に対するアイドルを見るような目線はやや不思議でもある。